1987年/アメリカ/監督:ブライアン・デ・パルマ/出演:ケヴィン・コスナー、ショーン・コネリー、アンディ・ガルシア、チャールズ・マーティン・スミス、ロバート・デ・ニーロ/第60回アカデミー助演男優賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

実在のギャング、アル・カポネと、組織を追う捜査官エリオット・ネスの戦いを描いた娯楽色強めのギャング映画。
ケヴィン・コスナーが名を上げたことで知られますが、脇を固める老練のショーン・コネリーとエネルギッシュなアンディ・ガルシアも絶妙。
【アンタッチャブル】です。
映画【アンタッチャブル】のあらすじザックリ
本物のエリオット・ネスを気にしてはいけない
禁酒法時代のアメリカで最も有名なギャングのひとり、アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)。
当時のカポネの力は政財界や警察内にまで及び、彼が牛耳っていたシカゴは幼い子供までもが組織の勢力拡大の犠牲になるような無法地帯と化していました。
そんなカポネを引っ立てるべく、政府が派遣したのが財務省の捜査官エリオット・ネス(ケヴィン・コスナー)。


そうです、財務省。
金勘定が主な業務の省庁かと思いますけど、この頃(1930年代)は国家安全保障のもろもろも財務省の管轄だったんですって。
【アンタッチャブル】はアル・カポネ逮捕に貢献したとされるエリオット・ネスの自伝を元にしたTVドラマの映画化です。
でも実際のところ、ネスの功績は大したものではなかったのではないかと言われています。
映画の中でのエリオット・ネスは超カッコいいのに、この事実を知ってしまうと途端にネスが手前主義のナルシストに見えてくるので、あまり史実を調べ過ぎないようにしましょう(←調べ過ぎた)。
マローン名言「リンゴは木からもげばいい」
意気揚々と捜査に乗り出したネスでしたが、内偵からの情報で確実だったはずの手入れに失敗。警察の内部にまでカポネと通じている者がいることを知って愕然とします。
そんな時に出会ったのが、20年間ずっと見廻り勤務の警官ジム・マローン(ショーン・コネリー)。

ネスはマローンが「良い警官」であることに気付き、捜査チームに加わってくれるよう頼みます。


そうなんです。
マローンはどう考えても「良い警官」なのに、一見町をぶらぶらするだけのお巡りさん。
それだけこの時の警察上層部が腐り切ってるってことなんですね。なんらかの形でカポネと手を結ぶような奴しか出世してない。
最後の方でマローンはこうも言ってます。

これを正しい警察官に言わせてしまうわけですよ。これは悔しい。
幼気な少女が爆弾で吹っ飛ばされる冒頭のシーンもそうですけど、【アンタッチャブル】はフツフツと怒りをこみ上げさせる仕掛けが実に巧妙。
最初はマスコミの取材に笑顔で応え気の良いオッサン風に登場するアル・カポネ。しかしその本性が明らかになっていくたび、ジワジワと憎しみがこみ上げてきます。
もちろんカポネの権力におもねる警察組織や有力者も同罪。

腐り切った警察内部で協力者を探すことはできないと言うマローンは、警察学校で訓練中の狙撃の名手ジョージ・ストーン(アンディ・ガルシア)を引き抜くことに成功。
さらに財務省から助っ人としてやってきた経理担当のオスカー・ウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)を加えた4人で、めでたく対アル・カポネ特別捜査班結成となります。

タイトル「アンタッチャブル」の意味は?
タイトル「Untouchables」は「触れられない(手出しできない)奴ら」の意味。
政府から新手の刺客が送られてきたことに気付いたカポネは、とりあえず「いつものように」ネスに賄賂を贈ります。しかしネスは賄賂を突き返し、使者に向って宣戦布告。
この一件を知ったマスコミが、ネス率いる特別捜査班を讃えて付けた愛称が「アンタッチャブル」。
でもこの愛称は、あとで実に後味の悪い皮肉で返されるんですが。
乳母車の階段落ちは「オデッサの階段」へのオマージュ
ネスとストーンがカポネの組織の帳簿係を確保するため待ち伏せしている時の駅の階段のシーンは【戦艦ポチョムキン】の「オデッサの階段」へのオマージュ。

観てない人は是非元ネタ【戦艦ポチョムキン】観てみてください、カッタンカッタンと乳母車が階段を転げ落ちていく緊張感の再現度めっちゃ高いんで。
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乳母車を足で受け止めつつギャングに狙いを定めるストーンはカッコよすぎてよく見えない。もう神々しい。神の輝き。

ちなみにこの時のセリフは字幕の「まかせろ」より吹き替えの「バッチリです」の方が良いと思います。ボスであるネスに返事してるんで。駄目ね日本人て、上司に敬語使ってないと違和感あってね。
ロバート・デ・ニーロのアホ面に腹が立ってしょうがない
実物は小デブだったアル・カポネを演じたロバート・デ・ニーロですが、彼らしくなくあんまり太ってませんね。この後に別の映画の撮影が控えていて、思いっきり太ることができなかったみたいです。頭髪は抜いてるそうな。
その代わりというか何というか、仕草や表情でカポネに寄せてきていて、役が憑依してるんだか何だか分かんないけどこの余裕の笑顔が憎たらしいったらない。

マスコミのアホ取材に応えてる時のアホ面とかね。
食事会でバット振り回してアホの頭勝ち割る時のアホ面とかね。
法廷でニヤニヤすんなアホ!アホ!

いやあ~。さすがデ・ニーロ~。腹立つわ~。
映画【アンタッチャブル】の感想一言
ネスと組織の殺し屋フランク・ニッティ(ビリー・ドラゴ)のビルの屋上での最終決戦は、目を覆わんばかりの三流アクション風の仕上がり。
あれ以外完璧。
…ただしくれぐれも史実は調べ過ぎないようにしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。