1996年/アメリカ/監督:ティム・バートン/出演:ジャック・ニコルソン、グレン・クローズ、アネット・ベニング、ピアース・ブロスナン、ダニー・デヴィート、マーティン・ショート、サラ・ジェシカ・パーカー、マイケル・J・フォックス、ジャック・ブラック、ナタリー・ポートマン、ロッド・スタイガー、パム・グリア、トム・ジョーンズ
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
B級テイストに仕上げられたティム・バートン監督によるSF映画。
敢えて「B級テイスト」と書きましたが、世間一般にもB級映画の認識が高いと思われますけど、並み居る豪華出演俳優陣をかんがみると強ちB級映画とも言えないような…。
俳優陣の出演料だけでも相当いってんちゃうの?
て、別に製作費とか劇場規模とか調べたりしませんけど。
低予算だろうが超大作だろうが公開劇場が少なかろうが、私にとって大好きな映画であることには変わりないんで。
突如地球に降り立った火星人たちが意味不明な殺戮を繰り広げるSF映画、【マーズ・アタック!】です。
映画【マーズ・アタック!】のあらすじザックリ
5月10日未確認飛行物体接近中
オープニング。
背筋がぞわぞわとするようなサスペンスフルな音楽に乗って、うようよと地球の周りに集まってくるレトロな感じのUFO集団。
まずもって数がおかしい。
彼らの目的は一体なんなのか。
その頃、地球のアメリカ合衆国ケンタッキー州ではなぜか火事になってる牛が暴走。
なんのこっちゃかよく分からない(そんな描写はいくつも出てくる)んですけど、最後の方でどうやらこの時の牛だと思われる動物が宇宙船の中にいることが確認できます。
食用に保存しようとしてたんですかね?
AM11:25 ワシントンD.C.
地球に接近中の未確認飛行物体に対するリアクション会議をしているアメリカのトップ達。
●ジェームズ・デイル大統領(ジャック・ニコルソン)…人の目を気にしてばかりで決断力に欠けるええかっこしい。演説はうまいけど中身が伴ってないので全然響かない。
ジャック・ニコルソンは2役で出てます。
決断力がないので他人の意見を求めるアメリカ大統領。
それぞれの考えはこんな感じ。
高度な文明を持っている種族です。
友好的で間違いありません。
大衆の評価を気にする大統領はジェリー広報官の意見を採用。
国民に宇宙人が接近している事実を発表することにします。
一方、国家の危機も地球の危機もどこ吹く風、ホワイトハウスで暮らすファースト・レディと大統領令嬢のお2人。
●マーシャ・デイル大統領夫人(グレン・クローズ)…ホワイトハウスを私物化することに忙しい外面オバケ。意外にも身を挺して夫を護ろうとする。
「無数の未確認飛行物体が地球に接近中」という国家の一大事への采配は、こんなやる気があるのかないのか分からないアホどもに委ねられています。
PM1:43 ラスベガス
そんな国家の一大事など知る由もないラスベガスのとあるカジノ。
勤務中の従業員バイロンは離れて暮らす妻と電話。
バイロン夫婦の関心事は目下思春期の息子2人を含めて家族みんなで暮らすこと。
●ルイーズ(パム・グリア)…ワシントンD.C.で息子2人と暮らすバイロンの妻。大型バスの運転手。思春期の息子達に愛情たっぷりに手を焼いている。
奇怪な形をした「ギャラクシー・ホテル」の経営者アート・ラングは豪快に酒で喉を潤し、アル中で酒を断っている妻のバーバラに見せつけてる。
●アート・ランド(ジャック・ニコルソン)…ラスベガスのホテル経営者、実業家。ハゲ散らかしてるのでウィッグ着用。
アートは終盤で素晴らしい名言を残しています。
宇宙人から逃げようと提案するバーバラに対して、宇宙人すらもビジネスチャンスであるとした上で、
お前は昨日を見てる。
俺が見てるのは明日だ。
うお、かっこええ。
その直後ご自慢のギャラクシー・ホテルごと爆撃で吹っ飛ばされるんですけどね。
PM5:26 ニューヨーク
さすがホワイトハウスの機動力。
宇宙船の接近を確認してからわずか数時間で全国ネットのTVで緊急放送が流されます。
内容はズバリ「未確認飛行物体が接近している」事実の発表と宇宙人と友好を結ぼうという国家の意向の伝達、プラス大統領の人気取り。
斜めにしゃべんな斜めに。
ジャックされたTV局職員をはじめ驚きを隠せない国民一同。
●ジェイソン・ストーン(マイケル・J・フォックス)…ナタリーと同棲中の報道担当キャスター。TV映りを異常に気にする。ナタリーを愛していてヤキモチも焼いたりするが、基本的には自分の番組第一。
5月11日火星人からTVを介してコンタクト
宇宙人の権威であるケスラー教授は、ナタリーの番組で対談。
ケスラー教授の漂う色香にひと目で恋に落ちてしまったナタリーと、以前からTVに映るナタリーのファンであったというケスラー教授は、生放送中であるにもかかわらずお互いをファーストネームで呼び合うラブラブモードに。
何をやってんねん。
そんな中、ついに宇宙人の方から地球のTV電波をジャックしてコンタクトを取ってきます。
科学者が作った胡散臭い「宇宙後翻訳機」による彼らのメッセージの内容は以下の通り。
我々緑色人は800世紀前に生まれた火星の原生人類と他の星の生物の混血だ。
暗黒は麦と一緒に刈り取れ。
意味不明。
とりあえず彼らが火星人であることは間違いない模様。
AM9:37 カンザス州パーキンスビル
砂漠の真ん中の砂々しいトレーラーハウスに暮らすノリス一家は、父も母も長男ビリー・グレン推しで次男のリッチーはなぜかミソッカス扱い。
働いてる様子もなく戦争ごっこに明け暮れるビリー・グレンがなぜかこの家では英雄らしい。
ビリーグレンがジャック・ブラックだし、笑えるのは笑えるけどこの兄弟格差はちょっとシュール。
ビリー・グレンはアーミーマニアが高じて対宇宙人に特別編成された軍隊に志願します。
●おばあちゃん(シルヴィア・シドニー)…認知症で施設に入っているリッチーの祖母。ヘッドフォンでレコードを聴くのが好き。
演じたシルヴィア・シドニーはなんと、【マーズ・アタック!】が遺作。
これが遺作って…!
ええやん…!
5月13日未確認飛行物体がネバダ砂漠に着陸
歓迎セレモニー開催
宇宙船はネバダ砂漠に着陸。
軍隊や政府関係者や報道陣、野次馬などでごった返す中歓迎セレモニーが開催されます。
政府側の代表者はケイシー将軍。
しかしいざコンタクトを取ろうにも言葉が通じない。
おい、宇宙語翻訳機!
我々は友好のためにきた。
平和の遣いだ。
あ、翻訳機動いた。
火星人は地球人と友達になるためにやってきたと言っている?
「Love and Peace!」
観衆の一人が一匹の白い鳩を放し、セレモニー会場は拍手と安堵に包まれます。
「平和の象徴」鳩に激昂
しかし鳩を見た宇宙人は なぜか激おこ。
激おこぷんぷん丸(古い)。
鳩とケイシー将軍がまず光線銃で消滅させられ、無差別殺人開始。
ジェイソンとビリー・グレンも殉職、ナタリーとポピーはなぜか宇宙船内に拉致されてしまいます。
議論する気なんてサラサラなかった火星人
ちょっと逸れますけど、セレモニー会場での惨劇のあと、大統領に意見を求められたマーシャが「ぶっ殺すべきよ」と言った時のデッカー将軍の勝ち誇った(ホラーッ!)のリアクションは作中1、2を争う面白さなんで必見ね。
そうです、デッカー将軍の言う通り、ハナからぶっ殺すべきだったのです。
彼らの行動について深く考えてはいけません。
タフィが冷静に「鳩が嫌いだったんじゃない?」と分析していますが、これもたぶん違います。
一番有力なのはムシの居所でも悪かったんちゃうか?って説です。
たまたま鳩が飛んでる時に機嫌が悪くなったんですよきっと。
だってその後火星人はこの時の大量殺戮を謝罪したいと言って議会を招集しますが、その席でも謝罪も話し合いもせず皆殺し。
結論、こいつら 議論する気なんてサラサラない。
そして宇宙人研究の権威ケスラー教授までもが宇宙船内に連れ去られてしまいます。
犬ボディのケンタウロス系女子と落ち武者の霊系生首の恋
地球で軍関係者が集められ、火星人への総攻撃の是非が問われている頃、宇宙船内では好奇心旺盛な火星人たちによってナタリーとケスラー教授(とポピー)がおもちゃにされていました。
2人とも首をちょん切られ、ナタリーはポピーの胴体をくっつけられて滑稽な半人半獣の姿に、ケスラー教授は首だけ吊るされ亡霊状態。
それでもこの極限の環境の中、2人の愛は深まるのでした。
あ、首を斬られた犬のポピーですか?
大丈夫です、生きてますよ。
ちょっとナタリーのボディくっついてますけど。
高速バスでホワイトハウス前に降り立った火星ガール
昼間の戦闘が嘘のように静まり返った夜、ホワイトハウス前に降り立ったあからさまに挙動と髪型がおかしい絶世の美女。
通りかかった女好きの広報官ジェリーが下心満載で正面からホワイトハウスに招き入れてしまいますが、彼女こそは火星人が送り込んだ刺客だったのです。
てどう考えても分かるやろ!
●火星ガール(リサ・マリー)…やたらと頭がデカい絶世の美女。マスクなしでも地球上で呼吸ができる特殊なガムをずっと噛んでる。
演じたリサ・マリーはかつてのティム・バートン監督のパートナー。
寝込みを襲われ妻のマーシャをも殺されてしまった大統領はデッカー将軍の希望通り核爆弾の使用を許可しますが、火星人には通用せず。ゲップみたいに飲み干されてしまいます。
デッカー将軍は特殊なビームで昆虫大に縮小されプチっと踏み潰され、取り巻くSPも全滅して、たった一人生き残った大統領は火星人に向って演説を始めます。
なぜ争わなければならないのだ。
手を取り合おうじゃないか。
分かり合えないことはないだろう?
ええこと言ってる感じですけど、別に聞かなくていいですよ。
この後結局旗台にされるだけなんで。
火星人が来た理由?遊びに来たんちゃう?
最終兵器核爆弾も通用せず、国は壊滅。
残された人類はもう逃げるしかありません。
死んだアートが残した自家用ジェットで逃げることを思いついたバーバラは、歌手のトム・ジョーンズ(本人)と顔馴染みのバイロン、カジノの従業員、初対面のカジノの客(ダニー・デヴィート)を連れて自家用ジェットを保管している倉庫へ向かいます。
ロボに追われながらおばあちゃんを助けにいくリッチー
セレモニー会場でビリー・グレンを亡くし悲しみに暮れるノリス家の元にも火星人が襲撃。リッチーは施設にいるおばあちゃんを助けるため家を飛び出します。
火星人の弱点と結末をネタバレ
素手で火星人と戦うバイロン、子供達と一緒に身を潜めるルイーズ、いつものようにヘッドフォンでレコードを聴いているおばあちゃんに襲い掛からんとする火星人の魔手…。
間一髪おばあちゃんの部屋に駆け込んできたリッチー。
何ごとかとおばあちゃんが振り返った拍子にヘッドフォンのジャックが抜け、おばあちゃんの大好きな曲“インディアン・ラブ・コール”が大音量で再生されます。
するとそれを聞いた火星人の大きな脳みそはぐにゃぐにゃと波打ち、緑色の液体をほとばしらせながら次々と破裂、火星人が次々と絶命していくではありませんか。
ワケの分からん弱点に気付いたリッチーとおばあちゃんはラジオ局やスピーカーを積んだ車から大音量の“インディアン・ラブ・コール”を流し反撃。
宇宙にまで到達するその響きは、飛来していた無数の宇宙船をも制御不能にし、火星人を一掃することに成功するのでした。
結局火星人は何だったのかを分かる範囲でまとめますと、鳩と拍手が嫌いで、“インディアン・ラブ・コール”を聴くと脳みそが破裂して、地球には観光がてら遊びに来ただけ(殺戮も破壊も人体実験も享楽の一環)だったと言うことですね。
全員死ぬのかと思いきや実は権力者やダメ人間だけが駆逐され、良識ある人間だけ(?)が生き残っているのが面白い。
最後は無数の円盤が墜落したタホ湖から聞こえてくる地球代表トム・ジョーンズの歌声にしびれましょう。
映画【マーズ・アタック!】の感想一言
ナタリー・レイク(サラ・ジェシカ・パーカー)の吹替を担当した雨蘭咲木子さんが最高です。
オツムの足りない乳のデカいお色気ネーチャンの吹替をさせたら肩を並べる者はいないと勝手に思ってます。
【スーパーマン(1978)】の悪の天才レックス・ルーサー(ジーン・ハックマン)の隣でいつもお花畑感をひとりで醸し出してるミス・テシュマッカー(ヴァレリー・ペリン)の吹替もこの方。
ナタリーのおバカ度を声だけで2割増しにしてしまう天賦の才能、一聴の価値ありです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。