ダスティン・ホフマンとジェイク・ギレンホール

映画【ムーンライト・マイル】あらすじと観た感想。可哀想な一家ではない

ダスティン・ホフマンとジェイク・ギレンホール

2002年/アメリカ/監督:ブラッド・シルバーリング/出演:ジェイク・ギレンホール、ダスティン・ホフマン、スーザン・サランドン、ホリー・ハンター、エレン・ポンペオ

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

ジョーとバーティー
©Moonlight Mile/ムーンライト・マイルより引用

ダスティン・ホフマンスーザン・サランドンホリー・ハンターという3人のオスカー俳優に周りを固められながらも存在感を失わないジェイク・ギレンホールエレン・ポンペオが素晴らしい映画。

 

登場人物の誰もが割と支離滅裂。クライマックスの法廷でのジェイク・ギレンホールのセリフも、良いこと言ってるようで実は何が言いたいんだかよく分からない。

でも近しい親族の誰かが急逝した遺族なんてそんなもんでしょう。

気も狂わんばかり、理性なんて吹っ飛びますよね。

何言ってるか何してるか自分でもさっぱり分からなくなりますよね。

 

1989年に恋人で女優のレベッカ・シェイファー(当時21歳)をストーカーに殺害されたブラッド・シルバーリング監督の実体験をもとにしています。

そういった意味でも綺麗にまとまりすぎておらずリアリティがあって、本当に実在する誰かの人生を見つめているみたい。

【ムーンライト・マイル】です。

 

 

 

映画【ムーンライト・マイル】のあらすじザックリ

1973年、マサチューセッツ州。結婚式を3日後に控えたダイアナは、発砲事件に巻き込まれて死ぬ。婚約者のジョーはダイアナの両親の元に一人残される。2人の力になることで悲しみを紛らわそうとしていたジョーだったが、どうしても言い出せない秘密を抱えていた。

 

 

結婚式の3日前に死んだ花嫁とその家族

ジョー(ジェイク・ギレンホール)と婚約中だったダイアナは、結婚式の3日前にまったく関係のない銃撃事件に巻き込まれて死んでしまいます。

ベンとジョージョー
©Moonlight Mile/ムーンライト・マイルより引用

ダイアナの父親ベン(ダスティン・ホフマン)は心配する周囲の人間にも丁寧に接しやたらに明るく、こんな時だと言うのに仕事にも意欲的。反対に誰もが偽善者にしか見えなくなってる母親のジョージョー(スーザン・サランドン)は人との関わりを避け仕事も放棄しています。

2人が精神崩壊寸前で耐えられているのは、ダイアナの死後もジョーがこの町に、家に、留まってくれているから。

ジョーは今も一緒に暮らすはずだったダイアナの部屋に寝泊まりし、ベンの不動産会社を手伝いながら過ごしています。

 

上辺は平和そうに見えるけど、義両親から「娘はいなくなったけどまだ息子は残ってる!頑張らないと!」という見えないプレッシャーをかけられているジョーの精神状態が心配になる距離感です。

 

言い出せなかったジョーの秘密

このままジョーさえいればダイアナの両親は立ち直っていくのかも…とも思えますが、実はジョーとダイアナは生前すでに婚約を解消していたことが明らかになります。

殺された当日、どうやらダイアナはベンにそのことを打ち明けようとしていたみたい。ベンと待ち合わせしていた食堂で事件に巻き込まれてしまったと。

 

それを知ってますます真実を言えなくなるジョー。

ジョー

俺たちが別れていなければ、ダイアナは死なずにすんだのに…。

 

ある日ジョーは結婚式の招待状を回収するために郵便局へ立ち寄ります。

その時郵便局で知り合ったバーティー(エレン・ポンペオ)の不思議な引力に導かれ、ジョーは彼女にすべてを打ち明けます。当然彼女は「どうしてすぐに別れてたことを言わないの?!」という反応を示す。

そうなんだけど。本当にバーティ―のおっしゃる通りなんだけど。

言えないでしょうよ。

 

ダイアナ死んだ。→ 俺もう別れてたんで関係ないっす。

 

いやいや、言えないでしょうよ。

 

彼女は「殺された花嫁」じゃない

ダイアナを殺した犯人の裁判を有利に持って行くため、ジョーは検事(ホリー・ハンター)から「ダイアナを“悲劇の花嫁”とする証言」を求められます。

検事ホリー・ハンター
©Moonlight Mile/ムーンライト・マイルより引用

しかし裁判でジョーは、検事の意に反して「真実のダイアナ」を語り始めます。冒頭にも書いた通り、なんだか的を射ない内容で。

法廷で証言するジョー
©Moonlight Mile/ムーンライト・マイルより引用

要するにジョーは、ダイアナは「可哀想な悲劇の花嫁」なんかではない、と言おうとしてるみたいです。

犯人がどうなろうとダイアナは戻ってこないし、両親も自分も救われない。

ダイアナは正直な人間だったから、嘘のイメージを作り上げて犯人が有罪になってもそれを喜ばないだろう、と。

 

こうしてまとめて書けば分かりますけど、法廷でのジョーはダイアナの思い出やベンやジョージョーのことをただ思いつくまま口に出しているので、結局何が言いたいのかよく分かりません。

でもそのセリフ回しが逆にリアリティを出してるんです。

本当に「今」の気持ちを自分の言葉で紡いでる感じがするし、上手に言えていない分逆にダイアナへの思いが痛いほど伝わってきて、私が裁判長だったら絶対犯人に死刑を言い渡します。

助手

だからそれをやめろって言ってるんじゃあ…。

 

裁判後、見え透いた綺麗ごとしか言わない他人に反発していたジョージョーは、ジョーの言う「真実のダイアナ」と向き合うため、嬉々としてダイアナの悪口をまとめ始めます。

スーザン・サランドン
©Moonlight Mile/ムーンライト・マイルより引用

もともと父娘関係がうまくいっておらず、唯一ダイアナとの思い出が残る事務所に固執していたベンは会社をたたむ決心をして、ダイアナとの接点でもあったジョーを「解放」してくれます。

ジョーにキスをするベン
©Moonlight Mile/ムーンライト・マイルより引用

家族が1人増えると喜んでいたのも束の間で、理不尽な事故によって結果的に2人の家族を失うことになってしまった初老の夫婦。

 

でも本当に故人のことを思うなら、悲しみすぎることなく「真実」から目を背けずに月灯りに照らされたその後のはるかな人生Moonlight Mileを歩まなければならないんですかね。

 

ちなみにジョーとバーティーが初めてダンスを踊るシーンでジョーがジュークボックスで選んだのが、「ムーンライト・マイル」という映画と同名の曲です。

ザ・ローリング・ストーンズの名曲のひとつ。

 

 

映画【ムーンライト・マイル】の感想一言

朱縫shuhou

ジョーが証言した判決の結果は映画の中では語られません。

だって犯人が無罪であろうが死刑であろうが、彼らのその後の人生に影響はないんでしょうから。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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