2002年/アメリカ/監督:サム・メンデス/出演:トム・ハンクス、ポール・ニューマン、ジュード・ロウ、ダニエル・クレイグ、タイラー・ホークリン、リアム・エイケン、ジェニファー・ジェイソン・リー、スタンリー・トゥッチ/第75回アカデミー撮影賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
日本の漫画「子連れ狼」をモチーフにした映画。
「子連れ狼」と言えば私の世代だと、原作漫画よりも映画やTVドラマの実写版か「しとしとぴっちゃんしとぴっちゃん」のテーマ曲、もっと言えば「ダウンタウンのごっつええ感じ」で松っちゃんとひがしのりがパロって遊んでいた印象の方が強いんですけども。
自分の一族を皆殺しにした柳生一族への復讐を誓う拝一刀 の幼い息子・大五郎を演じた「西川君(西川和孝)」の末路も有名。
ちゃん!
映画【ロード・トゥ・パーディション】のあらすじザックリ
ハリウッド版「子連れ狼」?
「子連れ狼」がモチーフだからと言って“ハリウッド版「子連れ狼」”みたいな認識で観るとちょっと当てが外れるかも知れません。正直私は「どこがやねん」って思いましたし。日本の“大五郎”に当たる主人公の息子もデカ過ぎる。「ちゃん!」も言 えへん。
※大五郎は父親のことを「ちゃん」と呼びます。
まあね、そこは「リメイク」じゃなくて飽くまで「モチーフ」ですからこんなもんでしょう。
マイケル(タイラー・ホークリン)とピーター(リアム・エイケン)、2人の息子を持つサリヴァン(トム・ハンクス)は、妻アニー(ジェニファー・ジェイソン・リー)も加えた4人家族で町はずれの大きな一軒家に暮らしていました。
お使いもして、勉強もして、普通の子供と変わらない生活を送るマイケルにはひとつだけ気にかかることがあります。
「仕事が入った」と言っては昼夜問わず出掛けていく父サリヴァンが、どんな仕事をしているのか知らないのです。
実はサリヴァンはマフィアの“殺し屋”で、マイケルやピーターが“優しい親戚のおっちゃん”くらいに思っているジョン・ルーニー(ポール・ニューマン)はその組織のボス。ルーニーは賢く誠実なサリヴァンを実の息子のように可愛がっていて、当然彼の息子達のことも孫のように溺愛しています。
それを良く思っていないのがルーニーの一人息子コナー(ダニエル・クレイグ)。典型的な二代目バカ。
そう言えば【ロード・トゥ・パーディション】の2年前に公開された【グラディエーター】にも似たような二代目バカが出てきますよね。
2000年/アメリカ/監督:リドリー・スコット/出演:ラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス、コニー・ニールセン、リチャード・ハリス、オリヴァー・リード、ジャイモン・フンスー/第73回アカデミー作品・主演男優・衣裳デザイン・録音・[…]
こちらの大たわけ者コナーの手でアニーとピーターを殺されたサリヴァンが、生き残ったマイケルを連れて復讐の旅に出る物語です。
「パーディション」って町はない
タイトル【Road to Perdition】とは、直訳すれば「地獄への道」となります。
一応サリヴァンとマイケルの旅の終着点として「“パーディション”に住む叔母さんの家へ行く」という目的があるのですが、「Perdition(=地獄・破滅)」は架空の地名です。
嫌ですよねこんな地名がホンマにあったら。
「自分どこ住んでるん?」「地獄3丁目」とか。
鬼の住所やないねんから。
キャストも映像も良いけれど
月並みなことを言いますけど、トム・ハンクスってやっぱりすごいですよね。めちゃくちゃ好きな訳じゃないのにどの映画を観てもいつも感心してしまいます。
メグ・ライアンとロマンティック・コメディ演 ってる時はイラつかせるし、【フォレスト・ガンプ/一期一会】でフォレスト・ガンプを演ってる時は愛おしいし、【フィラデルフィア】でエイズと闘うゲイの青年アンディを演ってる時は泣かせてくるし、【ロード・トゥ・パーディション】で殺し屋演ってる時は無双感を出してくる。
「バリバリ役作りしてますねん!」って押し出して来ないのにどんな役にもサラリと馴染めるんですよねこの人って。不思議な俳優です。
1994年/アメリカ/監督:ロバート・ゼメキス/出演:トム・ハンクス、サリー・フィールド、ロビン・ライト、ゲイリー・シニーズ、ミケルティ・ウィリアムソン、ハーレイ・ジョエル・オスメント/第67回アカデミー作品・監督・脚色・主演男優・[…]
1993年/アメリカ/監督:ジョナサン・デミ/出演:トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン、アントニオ・バンデラス、メアリー・スティーンバージェン、ジェイソン・ロバーズ/第66回アカデミー主演男優・歌曲賞受賞注※このサイトは映[…]
トム・ハンクスだけでなく若い頃のダニエル・クレイグは意外とバカ息子コナーが板についてるし、サリヴァンを狙うイカれた殺し屋兼カメラマン、マグワイア役のジュード・ロウも存在感あります。
大スター、ポール・ニューマンは言うに及ばず。
キャストの良さに加えて【ロード・トゥ・パーディション】は映像も美しい映画で、それもそのはず本作の撮影監督は【明日に向って撃て!】、【アメリカン・ビューティー】、【ロード・トゥ・パーディション】で3度アカデミー撮影賞に輝いたコンラッド・L・ホール。
1969年/アメリカ/監督:ジョージ・ロイ・ヒル/出演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス、ストローザー・マーティン、ジェフ・コーリー、ジョージ・ファース/第42回アカデミー脚本・撮影・作曲・主題歌賞受賞[…]
1999年/アメリカ/監督:サム・メンデス/出演:ケヴィン・スペイシー、アネット・ベニング、ソーラ・バーチ、ウェス・ベントリー、ミーナ・スヴァーリ/第72回アカデミー作品・監督・主演男優・脚本・撮影賞受賞注※このサイトは映画[…]
最晩年のポール・ニューマンが雨の中に佇むカットなんてその美しい映像の最たるもので、約20年ぶりの再視聴で映画の内容全然覚えてなかったのにここだけ脳裏に焼き付いていたほどでした。
最近めっきり映画館に足を運ぶこともなくなってしまった私ですが、こういう映画はやっぱり映画館で観たいなあって思います。
映画【ロード・トゥ・パーディション】の感想一言
唯一惜しいのは「陰鬱映画」に振り切ってくれなかったことでしょうか。
旅の途中、まだ子供のマイケルがサリヴァンに車の運転を教えてもらって、でも中々前に進まなくてプスンプスン…みたいな、ちょっと笑える場面があるんですよ。
いやいやそんなんいらんねんと。
1950年代のフィルム・ノワールみたいに救いようもなく暗い映画であって欲しかったところです。
特に「復讐もの」に「ハッピーエンド」とか、要らなくね?
参考 フィルム・ノワール=1940~1950年代末にかけてアメリカで製作された、堕落して歪んだ人物を描いた陰鬱で退廃的な映画群。主に犯罪映画や探偵映画を指す。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。