1949年/アメリカ/監督:ロバート・ロッセン/出演:フレデリック・クロフォード、ジョーン・ドルー、ジョン・アイアランド/第22回アカデミー作品・主演男優・助演女優賞受賞
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1949年度アカデミー賞を3部門(作品、主演男優、助演女優)受賞しながら、政治の裏側を徹底して暴いているため、政治的圧力を受けて日本公開されなかった問題作。
出典:映画.com(オール・ザ・キングスメン(1949))

へえ~…。
日本で公開されなかっただなんて、よっぽど政治的に問題があったってことだよねえ?
でもさあ、観たところそんなに「問題作」って感じでもなかったよ?
政治家の通常運転でしょこれ?
戦後間もない1949年の映画ですから、当時は革命的だったのでしょうか。
こういった映画や小説が世に出たり様々な政治家の汚職が報道されてきた結果、私のような無教養のおバカさんにも「政治家=汚職・裏金」という基本的コンセプトが浸透したんでしょうね。これが真実かどうかはさておき。
まあ良かれ悪しかれ綺麗ごとだけでは世の中変えられへんわいな、【オール・ザ・キングスメン】です。
映画【オール・ザ・キングスメン(1949)】のあらすじザックリ
しやくそのおっさんウィリー・スタークが州知事に
メイソン郡の往来で息子を傍らにしどろもどろと演説をするおっさん。
日本でいうところのしやくそ職員ウィリー・スターク(フレデリック・クロフォード)が、議員の不正をただし学校や病院にもっと金を回すべきだと訴えています。

農民出のウィリーは議員らからの圧力にも毅然と立ち向かい、猛勉強の末に法学士の資格を取り、やがて州知事になることを夢みるようになります。
そんなウィリーの評判を聞いて取材に訪れたのは、若い新聞記者のジャック・バーデン(ジョン・アイアランド)。
ジャックは正直で弱者の代弁をするウィリーに感化され、取材者と被取材者の垣根を越えて個人的な付き合いをするほど親しくなっていきます。

ところがあとで分かることですが、ウィリーと関わったことで一番下手こいたのはこのジャック。
恋人アン(ジョーン・ドルー)をウィリーに奪われた挙句(!)、アンの兄で旧知の友であるアダム(シェパード・ストラドウィック)と地元の判事でもある恩師を亡くすという不幸に見舞われる。かわいそうすぎ。
「勝つための手段」を使ったまではよかった
ウィリーは絶大な人気を誇ったものの、一度目の州知事選には敗れてしまいます。
人気があったのにどうして敗けたのかって?
政治家が選挙に勝つために必要なものと言えば、アレしかないでしょアレ 。
要するにアレが足りなかったんですよ。

ウィリーは一度目の反省を踏まえ、4年後の再選では「勝つための政治家的な手段」を駆使するのです。
選挙に勝つため各方面にアレをばらまくウィリー。
出どころの分からないお金。
繋がり不明の人脈。
増えていく黒い手帳の謎のメモ。
しばらくウィリーのもとを離れていたジャックは、悪い意味で“政治家的”に変貌してしまった彼を目の当たりにして驚きを隠せません。

勝つためにはしゃあないねやあ~。
わかるやろ?
再会したウィリーは、二言目には「わかるやろ?」。
2度目の州知事選の辺りからやたらめったら誰にも彼にも「わかるやろ?」と問いかけるようになります。

これが政治家の「忖度」かあ~。
昔からあるんやなあ。
そんな風に「勝つための政治家的な手段」を駆使して州知事に勝利することができた人間が、就任後には選挙時の公約の通りクリーンな政治をする、なんてこたあるわきゃねえ。


弱者のために頭を抱え拳を握りしめていたしやくそのおっさんは、多くの政治家がそうであるように、私欲と金と女にまみれて自分を見失っていくのでした。
映画【オール・ザ・キングスメン(1949)】の感想一言
ウィリーはたまたますべてを失って敗残者と成り下がってしまったけれど、これを因果応報と言っていいのかどうか。
悪事がバレないまま左うちわで贅沢な暮らしを続けている要領の良い政治家なんて他にいくらでもいるんだろうにね。
ええなあ~…(いやあかんやろ)。
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