映画【十戒】で海ぱっかーんなるシーンのチャールトン・ヘストン(モーセ)

映画【十戒】あらすじと感想。モーセが怒って海と石板がぱっかーん

映画【十戒】で海ぱっかーんなるシーンのチャールトン・ヘストン(モーセ)

1956年/アメリカ/監督:セシル・B・デミル/出演:チャールトン・ヘストン、ユル・ブリンナー、アン・バクスター、セドリック・ハードウィック、ニナ・フォック、ジョン・デレク、デブラ・パジェット、イヴォンヌ・デ・カーロ/第29回アカデミー特殊効果賞受賞

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

ファラオに扮するユル・ブリンナー
©The Ten Commandments/十戒より引用

「~のだ」って言い方シブくないですか?

女性には真似できない迫力と凄味がありますよね。

 

「奴隷どもにやらせるのだ」とか。

「お前は俺の后になる運命なのだ」とか。

「パパなのだ」とか。

 

この映画を観ればファラオコスに身を包んだ超絶イケメン(定義による)から発せられる「~のだ」を死ぬほど堪能できますよ。

 

海が真っ二つにぱっかーんなる場面が余りにも有名なセシル・B・デミル監督最後の映画、【十戒】です。

「十戒」は「じゅっかい」ではなく「じっかい」と読みます。

 

 

 

海と石板がぱっかーんなる映画【十戒】のあらすじザックリ

ヘブライ人が奴隷とされていた時代、救世主の誕生を恐れたエジプトの王ファラオが男児の皆殺しを命令する。難を逃れナイル川に流された一人の赤ん坊は、王女ビシアに拾われ出生を隠して育てられる。モーセと名付けられた赤ん坊は武運に優れ知恵もある立派な青年に育ち、民衆から絶大な信頼を得るまでになっていた。

 

 

旧約聖書にある「出エジプト記」を描いた映画

【十戒】は「旧約聖書」にある「出エジプト記」を描いた映画です。

「聖書」って日本人には馴染みが薄くてややこしいですよね。とりあえず原作が「聖書」だからって映画【十戒】にイエス・キリストは出てきません。

ヨシュアとリリア
©The Ten Commandments/十戒より引用

そもそも「旧約聖書」と「新約聖書」には大きな違いがあるので、「『聖書』が原作」とザックリ捉えていると赤っ恥をかきます(←かいた)。

「旧約聖書」ではアブラハムから始まるイスラエルの民の源流が描かれ、これから現れる救い主メシアの存在が示唆されています。

そしてその救い主こそがイエス・キリストでありますぞと宣言しているのが「新約聖書」。

 

旧約聖書が原作である【十戒】にキリストが出てこないのは当然ですね。

参考サイト 聖書入門.com「新約聖書と旧約聖書、何が違うの?」

 

 

(相関図付き)エジプト王家の子として育てられたモーセ

奴隷であるヘブライ人のもとに救世主が誕生したことを知った当時のエジプト王ファラオは、「最近産まれたヘブライ人の男の赤ちゃん皆殺し!」という飛んでもないお触れを出します。

それを知った赤ん坊の母親ヨシャベル(マーサ・スコット)は、赤ん坊を籠に入れてナイル川に流します。

モーセを川に流すヨシャベル
©The Ten Commandments/十戒より引用

その籠を拾ったのが沐浴中だった王妃ビシア(ニナ・フォック)。

都合よくもビシアは子供のないまま夫を亡くしていて、赤ん坊を神からの授かりものだと喜んで自分の子供として育てることにします。

メムネットと共に籠を拾い上げるビシア
©The Ten Commandments/十戒より引用

笑ってしまうくらい無茶な展開ですけど原作が聖書だからしょうがない(変えようもない)。

 

流れてきたんですよ籠が。

拾ったんですよ王妃が。

 

王家によくある跡継ぎ問題も家系図(相関図)にしてすっきり!

“モーセ”(チャールトン・ヘストン)と名付けられた赤ん坊は、大衆の信頼も厚い立派な青年に成長します。

立派な青年になったモーセ
©The Ten Commandments/十戒より引用

かっこいいですねえチャールトン・ヘスト~ン。

【ベン・ハー】【猿の惑星】など、私の中で「布巻き付けただけの衣装が似合う俳優ナンバー1」のチャールトン・ヘストンが、【十戒】の後半は重そうな外套をずっと纏ってしまっているのが少々残念。

ほんとに彫刻のような美しい肉体ですよね。神話の世界から飛び出してきたみたい。

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【猿の惑星(1968)】ラストシーン

 

ところがどっこいこの優秀なモーセの足を引っ張るのが従兄のラメス2世(以下ラメス)(ユル・ブリンナー)。眉間にしわが寄ってない時がない。

ラメス2世(演:ユル・ブリンナー)
©The Ten Commandments/十戒より引用

優秀過ぎる弟を兄が疎ましく思うという、王家によくある骨肉の争いパターン勃発。

しかしちょっと待てその髪型!

時代考証ちゃんとしてあるんやろうけど おもろすぎるやろ!

この時代の正式な王家の辮髪 べんぱつだそうです。

 

さらにラメスはモーセと恋仲にあるのネフレテリ(アン・バクスター)も狙っています。

え?

ええ、妹です、実の。

ややこしいですね、図にしてみました。

モーセの十戒相関図
※クリックで拡大

最も本物のラメスとネフレテリに血縁関係はなく、2人が実の兄妹ってのは映画用の設定。

当時のエジプトではファラオの女性の長子に王位継承権があったことから、このような設定になったみたいです。

ネフレテリとラメス
©The Ten Commandments/十戒より引用

だからそもそもよくできた王子であろうがなかろうが、ネフレテリに愛されてたモーセにはバリバリ王位継承権があったということ。

しかしネフレテリとの結婚も間近という時、モーセは自分の出生の秘密を知ってしまいます。

 

出生が分かった瞬間奴隷に混じるモーセ

自分の出生が分かった瞬間、モーセはいきなり奴隷の同胞たちに混じって労働開始。

その間宮殿ではネフレテリ以外誰も探してる様子もないけど大丈夫?

ファラオから見れば甥っ子だけど一応第2王子みたいな扱いだったし、「次期ファラオ」有力者が行方不明だってのに。

 

でもモーセが本当は奴隷の子供だと分かった時のセティ1世の落胆ぶりはちょっと可哀想…。だってモーセを愛する余り自分で刑罰も決められない有様。

出来がいいと思ってた方の王子が奴隷の子で、出来の悪い方の王子こそが正真正銘自分の息子だなんてね。

不憫。

奴隷に身を落としたモーセ
©The Ten Commandments/十戒より引用

モーセは僅かな水と食料、そして母親ヨシャベルが紡いだ赤い外套と、王笏おうしゃくとして罪人を縛る棒だけを渡され、砂漠に放り出されます。

この外套を身に着けた瞬間ちょっと嬉しくなる。

朱縫shuhou

あ…

モーセっぽくなった…♪

 

羊飼いの娘と結婚して安穏と暮らす

砂漠をさまよったモーセは、羊飼いの娘たちに助けられ、その中のセフォラ(イヴォンヌ・デ・カーロ)という女性と意外とアッサリ結婚します。

セフォラと羊飼いとして生きるモーセ
©The Ten Commandments/十戒より引用

あなたネフレテリに

モーセ
私の心は生涯君だけのものだ。

とかキッパリとおっしゃっていませんでしたっけ?

ほんと愛なんてかりそめよね。

 

エジプトを去ったモーセは、エジプトの同胞たちが過酷な労働を強いられ苦しみ続けていることなんて忘れたような顔して、子供まで作って平和な暮らしを満喫。

しかし神が宿るというシナイ山のてっぺんで神の声を聞き、妻子と同胞のヨシュア(ジョン・デレク)を連れて再びエジプトに戻ります。

神の声を聞くモーセ
©The Ten Commandments/十戒より引用

 

 

杖は蛇に、ナイル川の水は血に、長子は死に、海と石板はぱっかーん

神の啓示を受けたモーセは兄のアロン(今までどこにおったんやってツッコミたくなるほど急に出てきてモーセにくっついてる)とともにラメスを脅しにかかります。

モーセ

我が民(ヘブライ人の奴隷)を解放せよ。

さもなくば恐ろしい災いが降りかかる。

モーセが神から与えられた力は以下の3つ。

  1. 杖を蛇に変えられる
  2. ナイル川の水を血に変えられる
  3. 門に子羊の血を塗らない家の長子は全員殺す
ナイル川を血に染める
©The Ten Commandments/十戒より引用

ここでモーセよりむしろ、ファラオの力を思い知る描写があります。

モーセが杖を蛇に変えて見せた時のことです。ラメスは首をもたげるコブラに変わった杖を見ても微塵もひるまず、

ラメス
そのくらいうちの手品師でもできるわ。

と言って、実際にやってのけるのです。

しかも2匹。

 

もしかして神の力を得たモーセより、手品で杖を蛇に変えられるラメスの方がすごくない?

手品で神に及んでるやん。

 

まあ手品で海ぱっかーんは無理でしょうけど。

モーセの十戒での海が割れる場面
©The Ten Commandments/十戒より引用

 

海ぱっかーんよりヘブライ人大行列がすごい

しかし言うても「エジプト人の長子がみんな死んでしまう」という神の呪いはラメスにもどうしようもなく、ラメスとネフレテリの長男も死んでしまいます。

仕方なくラメスはモーセがヘブライ人を連れてエジプトを出ることを許可。

 

何万人もの奴隷がぞろぞろと列をなして宮殿から出てくる様子は、「これぞハリウッド!」って感じで感動に震える。今観ると合成バリバリの海ぱっかーんの場面よりある意味すごい。

 

もうホントに、すごい人数なんです。

すごい人数なのに、どこを見ても誰を見ても表情や小道具など細部に渡って非の打ちどころもない。

本物の奴隷が解放され、喜び勇んでエジプトを去っているようにしか見えない。

 

石板ぱっかーんの場面でもそう。

偶像崇拝や姦淫の禁止など、十の戒めが記された石板をモーセが持ち帰った時には、ヘブライの民の多くはエジプト流に偶像を崇め享楽に溺れていました。

怒ったモーセは信じられない言葉を発しながら群衆のど真ん中の偶像めがけて石板を投げつけます。

怒って石板投げつける寸前のモーセ
©The Ten Commandments/十戒より引用
モーセ
律法に従えぬ者は地獄へ堕ちろこの鼻タレのアホども!
朱縫shuhou

えっと…

神の使いが「地獄へ堕ちろ」は…、

 

いいんですかね?

浮足立ったヘブライの民は、石板を投げつけられて燃え盛る自分達が作った偶像とともに燃え尽きて行きます。阿鼻叫喚。

ノンCGですよノンCG。

 

こんな映画はもう観られないんでしょうね。

 

 

映画【十戒】の感想一言

ラメスをそそのかすネフレテリ
©The Ten Commandments/十戒より引用
朱縫shuhou

主演のモーセとラメスの2人以外では、ネフレテリを演じた可愛い顔してドスのきいた低い声のアン・バクスターと、ヘブライ人でありながらエジプトの権力にへつらう悪役デーサンを演じたエドワード・G・ロビンソンの演技が光ってます。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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