1939年/イギリス、アメリカ/監督:サム・ウッド/出演:ロバート・ドーナット、グリア・ガースン、テリー・キルバーン、ジョン・ミルズ、ポール・ヘンリード、ジュディス・ファース、リン・ハーディング、ミルトン・ロズマー/第12回アカデミー主演男優賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

原作は何度も映像化・舞台化されているイギリスの同名文学小説。
モデルになった人物がいるにはいるみたいだけど実話ではありません。
映画の大半は教育者の鑑のような人物アーサー・チッピング(愛称“チップス先生”)(ロバート・ドーナット)の回顧録になっているので少々面白みに欠けますが、学生時代を思い出してノスタルジックな気分に浸ることができます。
主演のロバート・ドーナットは25歳から83歳までのチップス先生をひとりで演じきりオスカーを獲得しています。
映画【チップス先生さようなら(1939)】のあらすじザックリ
チップス老先生の名言
1492年創立の歴史ある学校ブルックフィールド。
今年もここで多くの生徒たちが始業式を迎えます。

ところが今年はこの58年間で初めて、ブルックフィールドの生き字引である83歳のチップス老先生が風邪で欠席していました。
チップス先生は自宅の暖炉の前でうとうとと、これまでの教師生活を夢うつつに振り返るのでした。

今でこそチップス先生は生徒や同僚から愛され学校になくてはならない人気者ですが、新任時代から数年間は、度を越した生真面目さで生徒から煙たがられる存在でした。
教育熱心であることは間違いないけど何しろ勤直で娯楽にのめり込むこともなく人間味に欠けるため、授業以外で生徒が駆け寄ってくることなんて皆無。
そんなチップス先生を変えたのはスカートで自転車に乗って旅行をする風変りな美女キャサリン・エリス(グリア・ガースン)。
かなりの年齢差があるにもかかわらずひと目で惹かれ合った2人は、出会った旅行中にそのまま電撃結婚。チップス先生は学校の近くでキャサリンと暮らし始めます。

キャサリンがいなかったらチップス先生はただの近寄りがたく真面目過ぎる教育者で終わってたはず。
だってね、キャサリンは真面目一辺倒だったチップス先生に、「生徒たちを家に招いて親しくなって、冗談のひとつも言いなさい」ってアドバイスするんです。堅苦しい“チッピング”と言う名前を可愛らしく“チップス”と呼び始めるのも彼女。

お陰でチップス先生は毎年終業式ともなれば連休前の別れを惜しむ生徒たちに囲まれる人気者になるんです。
抑揚の少ない映画だけどラストの生徒たちに向けたチップス老先生のスピーチにはジンとくる何かがあります。
引退してもまた私を訪ねてきて欲しい。
もし名前を言えなくてもボケたと思わないで欲しい。
私は今の君たちを覚えているのだ。
そこが肝心だ。
出典:【チップス先生さようなら】字幕
あなたが20代ではこの言葉の深みは十分に伝わらないかも知れません。増してやこの言葉を聞いている10代の生徒たちなんて全然意味が分かってないことでしょう。
歳を取っても若い頃の自分を覚えてくれている人がいるっていうのは、本当に嬉しいことなんです。その人と話をするだけで輝いていたあの頃に戻ったような気にさえなってくる。
同年代の「友達」じゃダメなんですよね。
ずっと変わらぬ存在でいて、未熟だった自分達を覚えていてくれる人がいるなんて、素晴らしいことだと思います。
オスカー女優グリア・ガースン初出演作
ところで、存在感抜群のキャサリンを演じたグリア・ガースンはなんと、これが映画初出演。

グリア・ガースンはこの3年後に【ミニヴァー夫人】でオスカー獲ってます。
個人的にはミニヴァー夫人よりキャサリンの時の方が良い演技してると思う。狙ってない初々しさが功を奏して余計にオーラ全開なのかな。
1942年/アメリカ/監督:ウィリアム・ワイラー/出演:グリア・ガースン、ウォルター・ピジョン、テレサ・ライト、デイム・メイ・ウィッティ、リチャード・ネイ/第15回アカデミー作品・監督・主演女優・助演女優・脚色賞受賞注※この[…]
映画【チップス先生さようなら(1939)】の感想一言
チップス先生はなにしろ58年間も学校にいるので、今いる生徒たちのお父さんやおじいさんも教え子だったりします。
現校長も37年前のチップス先生の生徒。
子供のいないチップス先生の教え子全員が自分の子供だと言うセリフも暖かい。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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