1937年/アメリカ/監督:ウィリアム・ディターレ/出演:ポール・ムニ、ジョセフ・シルドクラウト、ゲイル・ソンダガード/第10回アカデミー作品・助演男優・脚色賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

「ルーゴン・マッカール叢書」で有名な(知らんけど)フランスの文豪エミール・ゾラの伝記映画。
前半の1/3くらいでゾラが小説で名声を得るまでを、残りはユダヤ人のアルフレド・ドレフュスがスパイ容疑で逮捕されるという1894年に実際に起こった冤罪事件(「ドレフュス事件」)を主軸に描かれます。
【ゾラの生涯】です。
映画【ゾラの生涯】のあらすじザックリ
エミール・ゾラは屋根裏部屋で下積み生活
割れた窓にボロを詰め込み寒さをしのごうとする若者。
同居人で画家のポール・セザンヌ(ウラジーミル・ソコロフ)と共に大家の家賃取り立てに怯える日々を過ごす彼こそが、自然主義文学を定義したフランスの文豪エミール・ゾラ(ポール・ムニ)。

書けども書けども小説は売れず、現時点では自分の本を破ってストーブにくべて暖を取らなければならないほどのド貧民です。
「ナナ」を皮切りにヒット作を連発
ある晩ゾラは、持ち前の機転をきかせて警察の取り締まりから逃れようとする高級娼婦を救ってあげます。そして波乱万丈の彼女の身の上話からヒントを得て執筆した小説「ナナ」が大ヒット。
開眼したゾラはその後もヒット作を連発し、瞬く間に大作家先生となります。

ゾラの下積み時代から有名になるまでのこの下りは、たったの数十分で割とさくっとお手軽に描かれます。
「ナナ」のヒット以降何冊か出版したかと思ったら、あっという間に屋根裏部屋から豪邸に引っ越してるし。
人生転がりだすと早いよね。良い方にも悪い方にも。
「ドレフュス事件」無実のユダヤ人がスパイ容疑で逮捕
ゾラがその地位にあぐらをかいて在りし日の情熱を失ってしまったことで、旧友ポールがゾラの元を去っていった頃、フランス陸軍内である事件が起こります。
ガキの使いのような犯人特定

軍内にスパイがいる証拠となる手紙を入手したフランス陸軍参謀本部は、犯人を特定しようとして何やら相談します。
「いやー、あいつちゃうでしょ」
「こいつちゃうか?」
「あーこいつの筆跡、手紙と一緒ですわ」
「ホンマや、こいつ誰や?」
「アルフレド・ドレフュスです」
「はいコイツ逮捕。この件はこれでお終い」

って
おい「参謀本部」!
こんなガキの使いみたいなやりとりで、ドレフュスは無実の罪を着せられ、なんと5年もの間、フランスの重犯罪者が収監される逃げ場もない劣悪な環境の監獄「悪魔島」に投獄されてしまいます。
敵前逃亡も戦略のうち
逮捕された後に紛れもない真犯人が判明したにもかかわらず、「無実の人間を処罰した」という汚名を嫌った軍参謀部は 事実を黙殺 しようとします。
ここでようやくこれまでドレフュス事件に無関心を貫いていたゾラが登場。

ゾラは政治犯をかばった罪で裁判にかけられ一度は禁錮刑を言い渡されますが、亡命先のイギリスからあらゆる方面に真実を記した文書を出し続け、おかげで世界中がドレフュス事件を知ることとなり、ついに観念したフランス軍参謀本部の関係者達が自白するにいたります。
今で言えばSNSで世論を味方につけたような感じで、権力が正義(真実)に屈する顛末は実に爽快。
解放されたドレフュス
ゾラの尽力によって冤罪が証明されたドレフュスは、解放されてもしばらくは「信じられない」といった感じで、5年間閉じ込められていた牢屋から出たり入ったりするんですよね。
3回も。
3回もですよ。

何を隠そうここが【ゾラの生涯】で一番感慨深い場面で…って主人公ゾラについての場面とちゃうんかい。
だって有名な歴史的大事件を扱っているしそんなに長い映画でもないんだけど、ドラマティックな展開が少なくて淡々としているからまあまあ退屈。
ちなみに映画の冒頭に「この作品は必ずしも実話とちゃうで」と云う注意書きが出てきますが、割と忠実に描かれているみたいです。
映画【ゾラの生涯】の感想一言
ポール・ムニの演技力には舌を巻きますけど、晩年のゾラの特徴的な話し方だけはちょっとやりすぎ感があってどうしても笑ってしまいます。
過剰な役作りなような気がするんだけど…ゾラってホントにこんなしゃべり方だったんですかね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。