1988年/アメリカ/監督:リチャード・ドナー/出演:ビル・マーレイ、カレン・アレン、ジョン・フォーサイス、アルフレ・ウッダード、デイヴィッド・ヨハンセン、キャロル・ケイン、ロバート・ミッチャム
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
1984年の映画【ゴーストバスターズ(1984)】で一躍有名になったコメディアンで俳優のビル・マーレイが、その4年後にまたも「ゴースト」を冠した映画に出演。
1984年/アメリカ/監督:アイヴァン・ライトマン/出演:ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、ハロルド・ライミス、シガニー・ウィーバー、リック・モラニス、アーニー・ハドソン、アニー・ポッツ、ウィリアム・アザートン注※このサイ[…]
原題はチャールズ・ディケンズの小説「クリスマス・キャロル」の強欲冷徹な主人公の名前から取った【Scrooged 】なのですが、公開当時原題を知らなかった私は「ビル・マーレイってゴーストものばっかり出てる人なんだな…」と変な誤解をしていたことを覚えています。
日本のお笑い芸人にも言えることですが、コメディアンって寸劇(コント)で鍛えられてるからなのか意外と演技が上手な人が多いように思います。少なくともビジュアル売りの変なアイドルなんかよりよっぽど上手い。
ビル・マーレイなんて今やもう名優の域でしょ。
【3人のゴースト】です。
映画【3人のゴースト】のあらすじザックリ
TV業界のパワハラに納得
TV局の重役会議。
社員が一生懸命試行錯誤して製作したCMも番組もことごとくこき下ろす傲慢で冷徹な若社長フランク(ビル・マーレイ)。
何考えてんねんお前ら。
こんなしょっぼいCMゲロが出るわ。
(……「ゲロ」?)
(「ヘド」ちゃうのん?)
字幕にツッコんでもしゃあないんでここはスルー。
自分で考えたいかがわしいCM案を押し通すため絶賛暴走中の悪名高き若社長(=フランク)に勇気を出して意見した重役は、即クビ。
よく気が利いて手足のように動いてくれる秘書のグレイス(アルフレ・ウッダード)への今年のボーナスは、社名ロゴ入りタオル。
会社の得意先へのクリスマスプレゼントもタオル。タオル。タオル。この先も使えそうな取引先にはビデオデッキ。他はタオル。タオル。たった1人の弟からのパーティの誘いも断ってタオルだけ贈る。
タオル、タオル、タオル……。
けち~っ!
クリスマス・イヴの日、そんなドケチで人でなしのフランクの前に、数年前に亡くなった前社長のルー(ジョン・フォーサイス)のゴーストが現れます。
ルーは言います。
「忠告しに来たったんや。まだ間に合うから自分の行いを悔い改めろ」
「これから3人のゴーストがお前の元にやってくるからな」
「ええか、悔い改めるんやぞ」
フランクの前に現れる3人のゴーストたち
ルーの忠告通り、フランクの前には次々とゴーストが現れ、否が応でも醜いケチんぼの自分と向き合わされることになります。
イカしたノリのタクシードライバー「過去のゴースト」
最初に現れたのは一見普通の人間に見えるやたらノリの軽いブラザー系ゴースト(デイヴィッド・ヨハンセン)。
このゴーストは「過去」をつかさどっていて、フランクを「過去の再放送を視聴する旅」へ誘います。
流すか!
俺は絶対流さへん!
とか言いつつオカンに会って号泣したりとかしてね。
昔の恋人のクレア(カレン・アレン)との馴れ初めから同棲時代までも回顧しますが、懐かしさと涙はこみ上げるもののまだまだ「自分の行いを悔い改める」とまでは行きません。
林家パー子師匠にしか見えない「現在のゴースト」
続いて現れたのは、チャチな羽つきのドレスを身に纏ったディズニープリンセスみたいな姿のゴースト(キャロル・ケイン)。ご担当は「現在」です。
陽気な過去のゴーストの100倍くらい陽気でハイテンション、いつも朗らかな笑顔を絶やしませんが実は3人のゴーストの中で最も暴力的。
不意打ちでキ○タマを蹴り上げたり、「目を閉じて」と言ったのに閉じないフランクに容赦なく目潰しを仕掛けてきたり、禁じ手もお構いなしのデストロイヤー。
現在のゴーストは秘書グレイスや弟のジェームズ(ジョン・マーレイ)、そしてホームレスの人々に奉仕する団体で働く元カノのクレアが、貧しくともどれほど愛に溢れた優しいクリスマス・イヴを過ごしているかをフランクに見せます。
体内に亡者的なものを飼っている「未来のゴースト」
最後に出てくる「未来のゴースト」は、「未来」という神々しい印象を受ける言葉とは程遠い風貌をしています。
その様はまるで「死神」のイメージそのもの。
まあね、人はいずれ死ぬんで。
「未来のゴースト」が「死神」ってのは理に適っとるわけですけども。
死神の姿をした未来のゴーストはフランクに、「死後焼かれるフランク」を見せます。
傍らにはさめざめと涙を流す白髪混じりのジェームズとその妻だけ…。生前誰に対しても善き行いをしてこなかったフランクの葬儀には、弟夫婦以外誰も来ていません。
やめてくれ!俺の体を燃やさんでくれ!!
そんなに簡単に改心する?
「あんな死に方ぜってえ嫌!」とようやく自分の人生のしょーもなさに気付いたフランクは現実に立ち返り、生放送中の番組に飛び入りしてカメラに向かって懺悔します。
まるでイタズラがバレてこっぴどく絞られた子供のように。
もうしません!
僕もっと人に優しくします!
番組のセットの向こうで笑う3人のゴースト達とルー前社長。
フランクは一応「極悪人設定」ではありましたが、善人であるクレアと心を通わせることができたり、ルー前社長に「お前ならまだ間に合う」と救いの手を差し伸べてもらえたり、善き行いをできる素質は持っていたんだと思います。根っからの極悪人ではなかったってことですね。
やっぱり「クリスマス・キャロル」はどの時代にどう持って行っても凄いね。
映画【3人のゴースト】の感想一言
今までの自分はバカでしたと認めこれから改めようとする素直で真摯なフランクに、陰ながら「頑張って」と声援を送りたくなりますよ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。