1925年/アメリカ/監督:ルパート・ジュリアン/出演:ロン・チェイニー、メアリー・フィルビン、ノーマン・ケリー、アーサー・エドマンド・ケアウィ、ギブソン・ゴウランド
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
歌劇愛好家の聖域パリのオペラ座。
それは中世の地下牢と拷問室の上に築かれていた。
出典:【オペラの怪人(1925)】字幕
実際パリのオペラ座の地下に何があったのかなんて知りませんけども。
知らなかったにせよそんないわくつきの土地の上に建物たてたらそらアンタ、不吉なことのひとつやふたつ起こって当たり前ですよ。日本にもあるでしょ?退けようとした工事関係者がなぜか事故に遭う巨大な岩とか。
文明社会だからってああいうのを軽視してはあきません。科学では解明できない超常的な事象には紙垂 付きのしめ縄巻いて敬意を払いましょう。
でないと【ポルターガイスト】みたいなことになりまっせ。
1982年/アメリカ/監督:トビー・フーパー/出演:クレイグ・T・ネルソン、ジョベス・ウィリアムズ、ドミニク・ダン、オリヴァー・ロビンス、ヘザー・オルーク、ビアトリス・ストレイト、リチャード・ローソン、ゼルダ・ルビンスタイン[…]
まあとりあえず本日の映画に超常現象は全然関係ないんやけども!
まあとりあえず本日の映画に超常現象は全然関係ないんやけども!
なんで綺麗に2回言うたんやって?
知るかい!
原作はフランスの小説家ガストン・ルルーによる怪奇推理小説「オペラ座の怪人」。
何度も舞台化・ミュージカル化・映像化されているうちの2度目の映画化作品に当たります、【オペラの怪人(1925)】です!
映画【オペラの怪人(1925)】のあらすじザックリ
“千の顔を持つ男”ロン・チェイニーの特殊メイク
数ある映像化作品の中でも最高傑作との呼び声高い映画です。
他の映像化作品との大きな違いのひとつにはタイトルロールの“怪人”が“怪人”であることが挙げられます。
いやタイトルからして「オペラ座の“怪人”」なワケだから他の映像化作品でも当然“怪人”は“怪人”なんですけど、他の映像化作品の“怪人”は9割方「ひとの心を持った人間」です。
見た目がちょっと醜悪なだけの、「人間」。
ところが【オペラの怪人(1925)】の“怪人”は見た目も性根も最悪。「血の通った人間」と言うよりは吸血鬼ドラキュラ伯爵に代表されるような「人間の皮をかぶった怪物 」に近い生き物として描かれます。
全国の吸血鬼( ヴァンパイア)ファンのみなさんこんばんは、朱縫shuhouです。夜の闇って最高ですよね。て私別に吸血鬼ファンじゃないんだけどね。 「西洋のモンスター」と聞いてラドンやサッキュバスを連[…]
ちなみに上の画像は、エドガー・アラン・ポーの短編小説「赤死病の仮面」のコスプレで仮面舞踏会に現れた“怪人”。
実はこの映画、仮面舞踏会の数分だけ彩色されていて、真っ赤な衣装に身を包んだ“怪人”が大階段からのしのしと降りてくる場面は圧巻です。
「オペラ座に出る幽霊」の正体はただれた顔の犯罪者
怪物のように醜い姿で産まれた“怪人”は母親から一切愛情を注がれず、酷く歪んだ性格に成長してしまいます。音楽の才能はあるものの黒魔術に傾倒していて、病的犯罪者として逮捕されてオペラ座の地下の牢屋に幽閉されたのが「オペラ座の怪人」の噂の始まり。
神出鬼没の噂の幽霊こそが地下牢を脱獄した“怪人”(ロン・チェイニー)。
その正体は、遠い昔“エリック”と呼ばれていたこともある、れっきとした「人間」。
“怪人”を見たことがあるという裏方スタッフのジョゼフ(バーナード・シーガル)によると、“怪人”は「ドクロのようで眼には光が無く、顔はただれた黄色の皮膚で覆われ、鼻がない」らしいです。
小説にはもっと詳しく以下のように書かれています。
「“怪人”は骸骨のようにがりがりに痩せていて、黒い燕尾服はだぶだぶだ。
目が深く落ちくぼんでいるので、じっと動かない瞳がどこにあるのか、よくわからない。まるで髑髏みたいに、黒々とした大きな穴がふたつあいているだけのように見える。
皮膚は太鼓の皮のように骨の上にぴんと張られていて、肌の色は白ではなくて薄汚れた黄色だ。鼻は横からは平らに見えるほどぺちゃんこで、それがなんとも不気味に見える。
髪の毛らしいものといえば、額と耳のうしろにかかる幾筋かの茶色い毛だけだ」
出典:「オペラ座の怪人」小説
それってつまりこんな顔?
1925年にこのメイク、すごいですよね。公開時映画館で失神者出たらしいよ。そりゃこの顔で「呪われろ!」とか言うんだもん、怖いって。
狂気の無差別大量殺人犯“エリック”
美しい舞台女優クリスティーヌ・ダーエ(メアリー・フィルビン)を愛してしまったエリックは、プリマドンナのカルロッタ(ヴァージニア・ピアソン)に毒を盛ったり劇場支配人に脅迫状を送ったりしてクリスティーヌをプリマドンナの座に押し上げます。
エリックのクレイジー加減を示す指標としてもっとも有名なのは、彼が劇場の巨大シャンデリアを観衆のど真ん中に叩き落す場面でしょうか。
満員の客席にあんな巨大なシャンデリアを落とすだなんて、罪もない人々もろとも誰彼構わず殺す気満々。
そうです、エリックは紛れもない「無差別大量殺人未遂犯」(原作小説によると、大勢の負傷者が出るも死亡者は1人だけだったとの記載があります)。
しかも無差別殺人にいたった動機は「クリスティーヌに愛されたいから」。
「命を賭けて守りたい」とか「何度も裏切られた」とかじゃなくて、ただ 「クリスティーヌに愛されたい」だけ 。
ほっほ。
かなりクレイジーだねエリック君。
半狂乱のエリックの末路はこれで正解?
でもね、エリックがクレイジーなのはどこからどう見ても明らかで、クリスティーヌをかっさらい半狂乱で馬車を駆る姿には戦慄するんですけど、だからといって彼の末路にはさすがに胸悪くなります。
だってこのあとエリックは、大勢の舞台関係者に追い詰められボッコボコにされた挙句川へ投げ捨てられるんです。
大勢の男たちがよってたかって何やら棒的なものを振り降ろし、エリックを叩き殺すんですよ?
ね?
扱いがドラキュラ伯爵や半魚人と同じ「怪物」でしょ?
こうして「エリックを叩き殺す」のは【オペラの怪人(1925)】だけのオリジナル設定で、原作小説及び他の映像化作品のラストはべらぼうに哀しいけど凄惨なものではありません。
映画【オペラの怪人(1925)】の感想一言
胸悪くなるくらい最後の最後でエリックに対して非道な展開を見せる【オペラ座の怪人(1925)】。
ユニバーサル・ホラーの先駆的映画だからエリックも「怪物」 の一員だと捉えてしまえばそれまでなんですけど、作中の「私も人間だ!幸せになる権利がある!」というエリックのセリフからは、【フランケンシュタイン(1931)】で“怪物”(ボリス・カーロフ)と少女が戯れる湖のシーンを観た時と同じくらいの哀感が漂います。
1931年/アメリカ/監督:ジェイムズ・ホエール/出演:ボリス・カーロフ、コリン・クライヴ、ヴァレリー・ホブソン、メイ・クラーク、ジョン・ボリス、エドワード・ヴァン・スローン注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気に[…]
1943年/アメリカ/監督:アーサー・ルビン/出演:クロード・レインズ、スザンヌ・フォスター、ネルソン・エディ、エドガー・バリア、ジェーン・ファーラー/第16回アカデミー美術監督(カラー)・撮影(カラー)賞受賞注※このサイト[…]
2004年/アメリカ/監督:ジョエル・シュマッカー/出演:ジェラルド・バトラー、エミー・ロッサム、パトリック・ウィルソン、ミランダ・リチャードソン、ミニー・ドライヴァー、キアラン・ハインズ、サイモン・キャロウ注※このサイトは[…]
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