1940年/アメリカ/監督:ジョージ・キューカー/出演:ケーリー・グラント、キャサリン・ヘプバーン、ジェームズ・ステュアート、ルース・ハッセイ、ジョン・ハワード、ヴァージニア・ウェイダー/第13回アカデミー主演男優・脚色賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
登場人物が恋し恋され奪い奪われ、重大なイベント(この場合は結婚式)が大騒動になってしまうという典型的なロマンティック・コメディ。
はつらつと演技をするケーリー・グラント、キャサリン・ヘプバーン、ジェームズ・ステュアートの主演3人を筆頭に、なんだか撮影現場の楽しそうな雰囲気まで伝わってくる愉快痛快な映画。
【フィラデルフィア物語】です。
映画【フィラデルフィア物語】のあらすじザックリ
上流階級の令嬢トレイシーと彼女を取り巻く人々
バツイチの令嬢トレイシー・サマンサ・ロード(キャサリン・ヘプバーン)は、次の土曜に再婚相手ジョージ(ジョン・ハワード)との結婚式を控えています。
しかし妹のダイナ(ヴァージニア・ウェイダー)はジョージを気に入らないし、父親(ジョン・ハリディ)は愛人の元に行ってしまっていて不在。
のっけから「幸せな結婚」とは行かない雰囲気…。
トレイシーを想う男性が3人
トレイシーの再婚をスクープしようとする「スパイ誌」の編集長は、トレイシーの前夫C・K・デクスター・ヘイヴン(ケーリー・グラント)と、作家のマコーレー・“マイク”・コナー(ジェームズ・ステュアート)、そして彼の恋人でカメラマンのエリザベス・インブリー(ルース・ハッセイ)をロード邸へ送り込みます。
C・K・デクスター・ヘイヴン
編集長がトレイシーの父親の愛人スクープネタを握っていることを知っているデクスターは、知らないふりしてマスコミに取材させてやった方が得策だとトレイシー達家族に助言。
結婚式に父親が不在だなんて身内の恥を記事にされては困るため、必死に偽装工作するトレイシーたちがベタに面白い。
デクスターとトレイシーはもともと幼馴染で、今でも家族ぐるみで仲は良いみたい。
別れたそもそもの原因については明言されてないんですけど、デクスターがトレイシーに夫婦生活を拒まれたっぽいことを言ってます。なにごとにも完璧を求めるトレイシーに夜も拒まれ、ヤケになって酒に溺れたデクスターをトレイシーが見限った、みたいな?
まあどっちも「お前が悪い!」って言ってるんで水掛け論ですけども。
今でもトレイシーを愛していることが分かるデクスターの暖かい眼差しにメロメロ。
これまで毅然とした態度を崩さなかったトレイシーが、「どうしよう、どうしようデクスター!」と取り乱して助けを求めるラストも実に可愛らしい。
本当の自分を理解しあえてる相手っていいよね。
マコーレー・“マイク”・コナー
作家のマイクは本当は雑誌の記事なんて書きたくないけど生活のために仕方なく仕事を請け負ってます。カメラマンのエリザベスと付き合ってるけどまだまだ結婚する気はなさそう。
それどころかこともあろうにマイクは結婚前夜祭で酒の力も手伝って、女王のような不思議な魅力を持つトレイシーとええ感じになってしまいます。
美貌も振る舞いも完璧すぎるあまり、みんなから「まるで銅像のようだ」と言われ落ち込んでいたトレイシーに、「君は銅像なんかじゃない!心の中には熱い炎がたぎっている!」と詩的に演説する姿はさすが作家と言わざるを得ない。しかし実際にこれ言われたらと思うとちょっと恥ずかしい。
翌朝プールからトレイシーを抱きかかえて帰宅する際には「虹の彼方に」を歌いながら登場するというオマケつき。
王子様かい。
しかし最後のプロポーズだけはいただけない。
「責任」て。できちゃった結婚じゃあるまいし。「仕方なく」みたいな。
誰がそんなプロポーズ受けるねん。
ジョージ・キトリッジ
トレイシーの正式な再婚相手であるはずなのに、物語の役割としては完全な捨て駒ジョージ(ジョン・ハワード)。デクスターやマイクとの(悪い方の)比較対象物。
中盤で彼はトレイシーのことを恋愛対象としてでなく、「女王」や「女神」のように崇拝していただけであったことが判明します。
良い味出してる妹ダイナ
下手したら主役の3人以上に良い味出してるのがトレイシーの妹ダイナ。
デクスターのことが大好きなダイナは、最初からジョージとの結婚が失敗に終わりますようにと願って止みません。
「ダイナが天然痘にでもならない限り結婚式の中止は無理」と言われて、「お母様、天然痘ってどうやったらなれる?」と聞くおしゃまな姿は、現代っ子にも通じるものがあります。
子供の思考っていつの時代も一緒なのね。
映画【フィラデルフィア物語】の感想一言
出会う男みんながひれ伏し崇拝してしまう気高い女王のようなトレイシー。
そんな彼女の醜態をさらさせたのは部外者のマイクで、そしてそんな彼女でも許すことができたのが結局デクスターだったんですね。
盛大な内輪揉めの家族ドラマを延々2時間観せられているような平和で楽しい映画です。
ほっほ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。