198年/アメリカ/監督:ヴィンセント・ギャロ/出演:ヴィンセント・ギャロ、クリスティーナ・リッチ、バン・ギャザラ、アンジェリカ・ヒューストン、ロザンナ・アークエット、ミッキー・ローク、ジャン=マイケル・ヴィンセント
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
この映画って、女性には本当の意味で理解できないんじゃないかなって昔から思ってます。
「男の男による男のための映画」って感じがしませんか?
この映画を良いって言う女性ももちろんいるんですけど、大概は「ムチムチのクリスティーナ・リッチが可愛い」だの「コンプレックスをこじらせてるヴィンセント・ギャロが愛おしい」だの、圧倒的に好意的な意見の方が多いんですよね。
一方で男性が観た感想はというと多種多様に富んでいて、ヴィンセント・ギャロを否定的にみる意見ですら一定数あったりします。
「何やってんだこいつ、バカなんじゃねーの?」みたいな。
でもそこにはなぜか愛があるんです。
うまく表現できなくて恐縮です。
実際私もこの映画は大好きです。でも同じようにこの映画を愛する「男性」とは“好き”と感じる次元が違うような気がします。そしてそれは女性には一生分からないんだと思うんです、「男のロマン」じゃないけど。
たまにあるんですよねこういう映画、女である私にとっては羨ましい限りですよ。
ミュージシャンでアーティストのヴィンセント・ギャロが監督・脚本・主演をつとめた低予算映画、【バッファロー’66】です。
映画【バッファロー’66】のあらすじザックリ
ダサさ極まりないヴィンセント・ギャロ
刑務所から出所してきたビリー・ブラウン(ヴィンセント・ギャロ)。
塀の外に出て真っ先に感じたのはフリーダムじゃなく尿意。
そのままバスで街へ出て、駅でもレストランでもトイレを借りられず、立ちションしようにもいい場所が見つからず、股間を抑えたまま冷や汗をかいて街をさまようビリー。画面越しでも臭ってくる強烈にダサそうな香り。
くすんだブルーのタイトなジャケットとスラックスに真っ赤なブーツをオンしているひげ面のビリー。90年代の繁華街はこれ系のファッソン(※ファッション)に身を包んだ男子であふれていたもんですわ。
ビジュアルはミラクルおしゃれなんですけど目下のところそういった二次的要素は本編に関係ないので割愛します。
狭量で短気でどうしようもない男ビリー
さてこのビリー、5年の服役を終えてシャバに舞い戻ったわけなんですけど、そもそもどうして5年も実刑くらってたんだと思います?
大金を賭けたアメフトチーム“バッファロー・ビルズ”が敗北し、その時背負った借金のかたにノミ屋のボス(ミッキー・ローク)の知人の罪を着せられたんです。
ダッサ!
しかも刑務所に服役していることを両親には知らせず、友達のグーン(ケヴィン・コリガン)を使って手紙を出させるなどして、5年間ずっと「結婚して所帯を持ったため忙しくてなかなか帰れない」という偽装工作をし続けていたんです。
ダッサ!
極めつけはこれ。
ダッッサ!
そして平然と助手席に乗車すんな!
※ごめんなさい、今はどうだか知りませんけど90年代はマニュアル車運転できない男性はサブかったんです。
はい、【バッファロー’66】はこのように、ビジュアルはおしゃれだけど中身はダッサダサのどうしようもない男が分不相応に自分が刑務所に服役する原因になった(と思い込んでいる)男に復讐しようと悪戦苦闘するお話です。
生きる希望を与える両親
ビリーはバッファロー・ビルズの元キッカー、スコット・ウッズ(ボブ・ウォール)を密かに恨んでいます。賭け試合に負けたのはスコットがゴールできなかったせいだと責任転嫁してるんですね。
自分でも自分が壊滅的にダサい人生を送っていることは察しがついているみたいで、実刑の腹いせ(?)にスコットを殺ってからいっそのこと自分の人生も派手に終わらせてしまおうとしています。
このビリーの浅い計画を思いとどまらせたのは外 ならぬ、ビリーが「吐き気がするほど嫌っている」はずのご両親。
「生きられない」から死んでしまおうとしている息子をどうやって説得したのかって?
いやいや、ご両親は説得なんてしてません。
息子の死後も花をたっぷり供えたお墓の前で、母(アンジェリカ・ヒューストン)はいつも通り大好きなバッファロー・ビルズのラジオを聞いていて、父(ベン・ギャザラ)はそんな母にぶつぶつ文句言ってただけ。
しかもこの場面は現実ではなく、計画実行寸前のビリーの脳裏をよぎった幻覚。
この幻覚を見たダサいビリーはきっとこう考えたのでしょう。
すんでのところで己の「犬死 未遂」に気付く。
これは息子の犬死 を幻覚だけで阻止した両親の勝利。
仏頂面で踊るクリスティーナ・リッチ
両親に「嫁」として紹介するためビリーが誘拐した天使のような少女レイラ(クリスティーナ・リッチ)がビリーを救ったと思ってる人が多い映画です。
違いますよ、ビリーが犬死から救われたのはひとえにご両親の偏 った育て方の賜物ですよ。
レイラについてはこれはホントに、この場を借りて言うておきます。
こんなに都合の良いロリータ美女がおるわけなかろうが!
やかましい背景変える前にダサいのなんとかせえ!
浮かれてハート型のクッキー買うてる場合か!
それにしてもこの無茶な展開が一周回っていとおかし。
映画【バッファロー’66】の感想一言
タイトルの【バッファロー’66】とは、ビリーの生まれ年とビリーの母がこよなく愛するバッファロー・ビルズが最後に優勝した年(共に1966年)にちなんでいます。
数あるアメリカン・フットボール・チームの中からわざわざバッファロー・ビルズをチョイスしたのにはマニアックな意味も込められてると思うんだけど、アメフトをよく知らないがゆえに読み取ることができなくて残念です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。