【サンライズ(1927)】F・W・ムルナウ

【サンライズ(1927)】あらすじ感想。映像と音楽で魅せる奇跡のような芸術作

【サンライズ(1927)】F・W・ムルナウ

1927年/アメリカ/監督:F・W・ムルナウ/出演:ジョージ・オブライエン、ジャネット・ゲイナー。マーガレット・リビングストン、ボディル・ロージング、J・ファレル・マクドナルド、ラルフ・シップリー/第1回アカデミー芸術作品・主演女優・撮影賞受賞

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【サンライズ(1927)】F・W・ムルナウ
©Sunrise/サンライズより引用
「恋に落ちる」
「恋焦がれる」
「胸が張り裂ける」
「彼女はいつもミルクティーYeah」

「恋心」を表す慣用句って素敵なものが多いと思いませんか?

実際には落ちてる訳でも焦げてる訳でも張り裂けてる訳でもないじゃないですか。

でもこの慣用句を耳にしてどんな気持ちを指しているのか分からない人も少ないでしょう。

 

「少し長めの髪揺らして泣いているあの娘を見た」のが「恋に落ちた」ってことですやん。

「どうしよう授業の内容はこんなとき全然使えません」は「恋焦がれちゃう」ってことですやん。

「できれば一緒に踊りたいキラキラと光り浴びて2人 ほんとは誰か好きな人がいること知ってるけれど」は「胸が張り裂けそう」ってことですやん。

 

どれも恋する心を端的に、かつ完璧に表現した素晴らしい言葉だと思います。ついでに「恋心」の歌詞はエクセレントだと思います。

 

大体恋に説明や理屈なんて不要でしょうに。

好きなら見つめればいいんですよ。

想いが通じ合ったなら抱きしめればいいんですよ。

ケンカのあとはセックスすれば仲直りですよ。

遠距離なら電話で吐息を聞きながら寝落ちすればいいんですよ。

 

映画で言うなら究極は、恋する2人にセリフなんていらんのよ。

 

セリフなんてなくたって、いやむしろセリフなんてない方が、恋人たちの想いが画面越しにビシバシ伝わってくるもんね。いいよ泣いても。

今すぐ恋人のところへ駆け出したくなる恋愛映画の傑作、【サンライズ(1927)】です。

 

 

 

映画【サンライズ(1927)】のあらすじザックリ

田舎に住む男は都会から来た女にそそのかされ、小舟から突き落として妻を殺そうとする。すんでのところで思い止まったものの、男におびえた妻は街まで逃げる。何とか仲直りした2人は街で幸せな時間を過ごすが、帰り道で嵐に遭い、乗っていた小舟が転覆してしまう。

 

 

F・W・ムルナウ監督によるサイレント・ラブストーリー

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冒頭に書いたとおりこの映画は、サイレントである上に意図的にセリフを少なくしているためほぼ映像のみ。なんやったらセリフだけじゃなくて「役名(固有名詞)」も無い。だってクレジットタイトルこんなんですよホラ。

【サンライズ(1927)】F・W・ムルナウ
©Sunrise/サンライズより引用

それなのに日の出 サンライズを迎えるラストにはたとえようもない感動が胸に押し寄せます。

【サンライズ(1927)】F・W・ムルナウ
©Sunrise/サンライズより引用

「セリフと役名は要らない」とは書いたけど「音楽」は別。

【サンライズ(1927)】に音楽だけは不可欠で、それらはまるでセリフがない分を補うかのように視聴者に語りかけてきます。各々の場面をなぞったバラエティに富む音楽を聴きながら、明度コントラストだけで映し出される美しい映像をただ観ていれば良いなんて、感覚で生きてる私のような人間にとってこれほど嬉しい映画もありません。

参考 正確には【サンライズ(1927)】は同年公開の第1回アカデミー賞最優秀作品賞受賞作【つばさ】同様、サイレント映画に伴奏音楽と効果音がついた「サウンド版」と呼ばれる形態の映画です。

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【つばさ】

 

 

愛しい妻が横にいてこそ輝く都会

とある田舎町に、幼い子を持つ若い夫婦が住んでいました。

妻(ジャネット・ゲイナー)が暖かそうな料理を用意しているのに、なぜか表を気にしてソワソワと落ち着きのない夫(ジョージ・オブライエン)。そこへ窓から聞こえる口笛の音。

【サンライズ(1927)】F・W・ムルナウ
©Sunrise/サンライズより引用

夫はひったくるように上着を抱え、妻の目を盗んで一目散に家を出て行くのでした。

 

月明りに照らされた湖畔(川辺?)で夫を待っていたのは、都会からやってきてこの村に滞在しているアヴァンギャルドな女性(マーガレット・リビングストン)。

【サンライズ(1927)】F・W・ムルナウ
©Sunrise/サンライズより引用

しょうもないでしょホントに。

あんなに可愛い嫁はんがいて、この夫は都会の美女に入れ込んでおるわけですよ。あまつさえこの女と一緒に都会へ行きたい夫は、女にそそのかされて妻の殺害を企てるんです。

しかも妻を小舟に乗せていざ湖に突き落とさんとするまさにその瞬間、すんでのところで思い止まる。それこそ救いようもないわ。できもせんのに殺人なんかしようとすな。

【サンライズ(1927)】F・W・ムルナウ
©Sunrise/サンライズより引用

夫の殺意に気付いてしまった妻は、小舟が岸に着くなり全速力で夫から逃げ出します。憑き物でも落ちたように表情がガラリと変わった夫は慌てて妻を追いかける。

2人は通りかかった電車に咄嗟に飛び乗り、大きな街へたどり着きます。

 

家計を預かるしっかり嫁舐めんな

さっきからブツブツ言ってるみたいに、ここまでの私は半ギレで観てますよ。夫に対してね。何考えてんねんと。妻と子供を悲しませてまでする不倫なんてあるものかと。

妻だって当然キレてますよ。浮気はされるわ殺されそうになるわ。キレてると言うより自分を殺そうとした夫が怖くて逃げ惑いますよね。

追っかけてくんなもう顔も見たないわ。

【サンライズ(1927)】F・W・ムルナウ
©Sunrise/サンライズより引用

謝ってもダメ。

ケーキもダメ。

花もダメ。

 

でも一緒に街を歩くうち、少しずつ妻の心は解けて行くんです。

朱縫shuhou

………腹は立つけど。

あんたがええんやったら、ええわいな……。

半ギレだった私もつられてどんどん怒りが萎えてくる。

 

この過程がすごい。

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©Sunrise/サンライズより引用

デートも終盤、バーで支払うお金が足りなくてアタフタしてる夫に、「仕方ないわねえ」と言わんばかりに妻がヘソクリ(かどうかは知らんけど)を渡した時のざまあみろ感ときたらないんですよ。

これが家計を預かる賢い妻じゃ舐めんなよ。

あんなチャラチャラした都会の女にまっとうな主婦がつとまると思ったら大間違いじゃドアホ。

助手
…まだめっちゃ怒ってますやん。

 

 

映画【サンライズ(1927)】の感想一言

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©Sunrise/サンライズより引用
朱縫shuhou

久しぶりに心からの笑顔を自分に向けてくれる夫を見て嬉しそうな妻の無垢さに心を打たれます。なんやったら号泣案件。

だって満面ですよ?

さっき殺されそうになったのにこの妻ときたら、もう満面の、キラッキラの微笑みでもって夫に熱い視線を送るんですよ。「こんな男止めときいな」って言葉も飲み込まざるを得ないほどの熱視線で上目遣いに夫だけを見つめてる。字幕なんてなくてもこの時彼女が「幸せ~…」って呟いていることは明白で、いじらしすぎて涙が出ます。

そしてさしものアホ夫もついにそんな彼女の愛しさを思い出す。

ボロ泣きですよこんなもん。

 

【吸血鬼ノスフェラトゥ】でシャレにならない恐怖を描いてからの、他に類を見ないピュア・ラブストーリー【サンライズ(1927)】とは。

F・W・ムルナウ監督はかなり天才メーター振り切っている。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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