1932年/アメリカ/監督:エドマンド・グールディング/出演:グレタ・ガルボ、ジョン・バリモア、ジョーン・クロフォード、ウォーレス・ビアリー、ライオネル・バリモア/第5回アカデミー作品賞受賞
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映画【グランド・ホテル】。
映画や小説における群像劇の表現技法をメジャーにした作品で、【グランド・ホテル】以降の同様の技法について「グランドホテル方式」とその名を冠されるほどの先駆的映画です。
グランドホテル方式は、映画や小説、演劇における表現技法のことで、「ホテルのような一つの大きな場所に様々な人間模様を持った人々が集まって、そこから物語が展開する」という方式のことである。
映画『グランド・ホテル』によって効果的に使用されたため、この名が付いているが、その原型はバルザックの『ゴリオ爺さん』の下宿屋・ヴォケール館の食堂にすでに看取されている。
群集劇、群像劇、アンサンブル・プレイとも呼ばれる。
出典:Wikipedia
産まれも境遇も年齢もまったく違う男女が「グランド・ホテル」で出会い、互いの人生に絡み合っていく。
しかしすべては一炊の夢、朝にはみなホテルから次の目的地へと旅立ち、入れ替わりにその日の宿泊客がやってくる。
オープニングのおしゃれな画像と共に登場人物1人1人にツッコんでいきたいと思います。
映画【グランド・ホテル】のあらすじザックリ
映画【グランド・ホテル】キャスト一覧
バレリーナのグルシンスカヤ(グレタ・ガルボ)
数人の取り巻きを連れて高級階に泊まっている美しい女性グルシンスカヤ(グレタ・ガルボ)はバレリーナ。
少ない客の前でバレエを踊るのが嫌だから劇場に行きたくないと駄々をこねてるところを見ると、どうやら昔は売れっ子だったのが今ではすっかり落ちぶれて客も呼べなくなっている様子。
しかし腐っても鯛、ステージの直前までふて寝しているグルシンスカヤの一挙手一投足に取り巻き連中は右往左往させられています。
徐々に分かってきますがグルシンスカヤは見た目通り相当な気分屋です。典型的なちやほやされたい女優タイプ。
彼女のセリフ「私をひとりにさせて」は、秘密主義を貫き“神聖ガルボ帝国”と表現されたグレタ・ガルボ本人を想起させるものとして、「AFIアメリカ映画の名セリフベスト100」の第30位にランクインしています。
おはこんばんちは、朱縫shuhouです。 アメリカの映画団体AFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)が1998年から(ほぼ)1年毎に発表し始めた「アメリカ映画100年シリーズ」。ライン[…]
実は窃盗犯の「男爵」(ジョン・バリモア)
名前出てきたかな?
作中で(オープニングの映像でも)「男爵」としか呼ばれていないと思うんでそのまま男爵(ジョン・バリモア)って呼びますけど、二枚目枠のはずのこの男爵、実は一番笑えるキャラクター。
持って生まれた気品をフル稼働して男爵然と振る舞ってはいますが、その正体はホテル専門の泥棒。
今日グランド・ホテルへやってきた目的ももちろん盗み。
しかしグルシンスカヤの真珠のネックレスを狙って部屋へ忍び込んだ男爵は、ステージを中座して戻ってきたグルシンスカヤに心奪われ、即座に愛の告白をしてしまいます。
俺泥棒やねん!
でも盗んだネックレスは返す!
だって心の底から君を愛してしまったから!
もうこうなったら洗いざらい吐くよ?
急展開すぎて失笑。最後まで「こいつホンマは金目的で嘘ついてるんちゃうか」って疑いが消えなかったほどの急展開。
さらにその後、再び盗み目的で今度は実業家のプライジングの部屋へ侵入しますが、あっけなく現場を押さえられ口論となってしまうという…。
「ホテル専門の泥棒」って公言してる割には窃盗下手くそすぎへんか?
この男爵が一番ツッコみどころ満載です。
ちなみに演じたジョン・バリモアは【25年目のキス】や【チャーリーズ・エンジェル】で知られるドリュー・バリモアの祖父で、【グランド・ホテル】で共演しているライオネル・バリモアの弟です。
速記記者のフレムフェン(ジョーン・クロフォード)
【グランド・ホテル】で最も頭と要領が良く冷静で、男顔負けの野心も持つ自立した女性フレムフェン(ジョーン・クロフォード)。
宿泊客ではなく、実業家のプライジングから速記記者として呼ばれてホテルへやってきます。出会う男はみなその美貌の虜になってしまいますが、フレムフェンが愛してしまったのはグルシンスカヤにイカれちゃってる泥棒男爵。
しかしフレムフェンは安易に愛に狂っちゃったりしません。自分は男爵に愛されていないことをいち早く感じ取り、冷静になった上で金のためにプライジングを手の平で操る気丈さと聡明さに憧れます。
実業家のプライジング(ウォーレス・ビアリー)
守銭奴のおっさん(ウォーレス・ビアリー)。
会社経営者で工場を持っていますが、工場で働いている従業員なんて虫ケラのように思っています。会社を大きくするためなら取引の時に平気で自社に有利な嘘をつくクズ。
美しいフレムフェンを我が物にしようとしますが一蹴されます。ザマミロ。
死を宣告されたクリングライン(ライオネル・バリモア)
病名は明らかではないですがもうすぐ死ぬことを宣告されているプライジングの工場の元従業員(ライオネル・バリモア)。
工場経理として身を粉にして働いてきたのに、それをプライジングに伝えても労いの言葉もないどころか「経理ってことはお前、横領でもしとったんちゃうやろな!」と訳のわからん言いがかりをつけられ、絶望します。
決して生粋の守銭奴ではないのですが、死に直面した今となっては必死に働いて貯めてきたお金だけしか信じるものがなくなっていて気の毒なことこの上ない。
オッテルンシュラーク医師(ルイス・ストーン)
重要な役どころではないですが映画の初めと終わりにストーリーテラー的な感じで導入とまとめを担当していらっしゃいます。
誰に言うともなく呟く決めセリフがこちら。
グランド・ホテル
人が来ては去り行く
何事もなかったように
出典:【グランド・ホテル】字幕
給仕長のセンフ(ジーン・ハーショルト)
グランド・ホテルの給仕長(ジーン・ハーショルト)です。
彼の物語だけ他とは一線を画しますが、病院との電話の内容で妻が難産で苦しんでいることが分かります。忙しい業務を抜けて妻の側にいることは叶いません。
そして翌朝、チェックアウトのお客様を見送った後、無事出産の連絡を受け取るのです。
このエピソード要ったか?
映画【グランド・ホテル】の感想
死を目前にして自暴自棄になってるダメ男だったクリングラインが、ちょっと頼りがいのあるええ男に見えてくるラストが好きです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。