1976年/アメリカ/監督:マーティン・スコセッシ/出演:ロバート・デ・ニーロ、シビル・シェパード、ジョディ・フォスター、ハーヴェイ・カイテル、ピーター・ボイル、アルバート・ブルックス
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

人生のテーマとか将来目指すものとか、そんなに大それたものでなくても「今週は残業しないぞ!」とか「クリスマスまでに彼氏作るぞ!」とか、今何か目標を持っていますか?
トラビス・ビックル(ロバート・デ・ニーロ)を見ていると、人間って目的意識が大事なんだなあって改めて思います。
私?
私の目指すところは明確ですよ。
子供たちが巣立った老後は毎日ひたすら大好きな映画を観て暮らすんです(ちっさ!)。
お金の心配とかせず好きな時に好きなだけ映画を観たいので、そこにたどり着くために日々頑張っています。
本日の映画【タクシードライバー】なんかはね、もう何回でも観られますよね。
死ぬまでにあと20回は観たいわ。
映画【タクシードライバー】のあらすじザックリ
ベトナム戦争の犠牲者トラビス・ビックル
きったないタクシー会社を訪ねてきた陰気くさい青年。
不眠症だという26歳のこの青年の名はトラビス・ビックル。夜勤のタクシードライバーを希望していますが面接担当者の反応はイマイチ。
ところがトラビスが元海兵隊員だったと聞いた担当者の態度は一変、あっさり就職させてくれます。

この時の担当者がたまたま同じ元海兵隊員だったってのもあるんでしょうが、やっぱり「海兵(海軍)」って米軍の中でもエリートなの?
この厚待遇ってナニ?
【トップガン】のエリート戦闘機乗りマーヴェリック(トム・クルーズ)にしても、パイロットだから空軍だと思いきや海軍だしさ。
でもアメリカで不動の人気を誇るパットン将軍なんかは陸軍大将でしたよね。
1986年/アメリカ/監督:トニー・スコット/出演:トム・クルーズ、ケリー・マクギリス、ヴァル・キルマー、アンソニー・エドワーズ、トム・スケリット、マイケル・アイアンサイド、ジョン・ストックウェル、メグ・ライアン、ティム・ロビンス/[…]
1970年/アメリカ/監督:フランクリン・J・シャフナー/出演:ジョージ・C・スコット、カール・マルデン、カール・ミヒャエル・フォーグラー、マイケル・ベイツ、エドワード・ヴィンス、スティーヴン・ヤング、マイケル・ストロング/第43回[…]
その辺はアーミーマニアの夫に聞けば色々教えてくれそうだけど聞いてない事まで話し出してウザくなりそうなのでやめとこう。

垣間見える“腐った町”の背景
私は「ベトナム帰還兵」といえば必ず【ランボー】のジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)を思い出すんですけども、彼をはじめそりゃあもうベトナム戦争は想像を絶するほど多くの若者に様々な傷痕を残したんでしょうねえ。
1982年/アメリカ/監督:テッド・コッチェフ/出演:シルベスター・スタローン、リチャード・クレンナ、ブライアン・デネヒー、ビル・マッキニー、パトリック・スタック、ジャック・スターレット注※このサイトは映画のネタバレしようが[…]
トラビスが異常者じみてしまったのも不眠症になってしまったのもベトナム戦争のせいだとするのなら余りにも理不尽。
そもそも26歳の若さで「腐敗した町を許せない」とかなんとか言ってるトラビスですけどね、まずもってその思考がおかしい。

確かにこの町は腐ってるんですよ?
黒人の強盗に入られた店主は「クソッ!今年はもう5回目や!」とか言ってるし。
食料品店が年に5回も襲われる町ってどうよ。
それでもほとんどの若者にとってそんなことはどうでもいいんです。普通は町が荒廃していることになんて気付かずただ異性を追っかけ回して遊び惚けてる。
ところがトラビスはどうしてもそんな風な「普通の若者」のようには振る舞えない。
彼は毎日毎日深夜から早朝にかけてタクシーを走らせ、ぶつけようのない怒りを膨らませて行きます。

汚いわこの町は。汚い。
誰かが水洗トイレみたいに綺麗に洗い流してくれなあかん。
誰かが洗い流さなあかんねや…。
ジョディ・フォスター、12歳の娼婦を演じる
これまでも子役として活躍してはいたけれど、【タクシードライバー】でその圧倒的存在感を見せつけた13歳のジョディ・フォスター。

なんと12歳の娼婦アイリス役。
髪の毛を巻いて厚化粧して布地の少ない衣装を着ているととてもそうは見えませんけど、すっぴんで朝食をむさぼる姿は無邪気さの残る普通のお子ちゃま。ほっぺもぷっくりしててね、かわいいんですよ。
こんな子供が娼婦してる事実よりもこんな子供を「買う大人」がいることが気持ち悪い。トラビスでなくても洗浄したいわ。
家出少女だったアイリスを薄汚れた世界に引きずり込んだスポーツ(ハーヴェイ・カイテル)らポン引き一味に対しても、トラビスは怒りを隠そうとはしません。

スポーツのチャラさとかもうヤバイくらい腹立つ。
クネクネしながらしゃべんな。
マーティン・スコセッシ、妻を寝取られる
この町で深夜にタクシーを走らせていると、たびたび変な客にも遭遇するようです。
妻の浮気の真相を確かめるため、浮気相手のアパートまで送らせた男もいましたね。
目的のアパートの窓に映る女性の影は紛れもなく自分の妻。そのアパートに住んでいるのは黒人。
よりにもよって黒人と浮気されたとあって人格崩壊寸前の哀れな紳士を演じたのはマーティン・スコセッシ監督自身です。安定の眉毛の太さ。

このキャラクターを「俺が演るわ!」って思いつく辺りが、マーティン・スコセッシってなんだか愛しいんですよね。
トラビスのファンタスティックなミリタリージャケット
トラビスは基本的には海軍で支給される(?)ミリタリージャケットを着回しています。
でもちょっと待って、売ってるのとトラビスが着てるのとでは、なぜか全然オシャレ度が違う。

やっぱり軍物には勲章とかワッペンとか着慣れた感が欲しいよね。
パリッとしてるミリタリージャケットとか嫌やわ。
トラビスが着てたやつ欲しい。
ネオンの闇に消えて行くトラビス
動機は全然分からない。
なぜか自分をふったベツィ(シビル・シェパード)ではなく、彼女が働く選挙事務所の時期大統領候補パランタイン上院議員(レナード・ハリス)の暗殺をすると決めたトラビスは、突然活き活きとし始めます。

コントロールできない自分の感情を抱えて悶々としてる時のトラビスよりも、動機のよく分からない殺人願望に燃えてハツラツとしているトラビスの方がよっぽど怖い。
だからほら、目的意識って大事でしょ?
「目的」が然るべき方向に向いていれば、トラビスだってまっとうな人間に軌道修正できていたはずなのに。

ラストでベツィに対して「上辺の笑顔」を見せ、別れたあとに少し焦りながらバックミラーを確認するトラビス。

はっ!
コイツめっちゃ発散したはずやのに全然情緒不安定治ってない!
そう思った時にはもうトラビスのタクシーは夜のネオンに紛れて判別不可能。
悪だか善だか分からない「ちょっとおかしな人」が常に雑踏に紛れていることを示唆するホラーなラストとか鳥肌立つわ。
トラビスの真似してみたジョン・ヒンクリー
鳥肌立つと言えばこんなアホもいたんですよ。
1981年3月30日、【タクシードライバー】を観てジョディ・フォスターに本気で恋してしまったアホが、彼女の英雄(=トラビス)になろうとしてレーガン大統領(当時)を銃撃する事件を起こしました。
かの有名なアホの名はジョン・ヒンクリー。
事件当時生まれてなかった人も名前くらいは聞いたことあるかも知れませんね。今も生きて、精神病院を出て普通に生活しています。
参考 ジョディ・フォスターを振り向かせるために大統領を撃った男の最後のラブレター

映画【タクシードライバー】の感想一言
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。