【炎のランナー】

映画【炎のランナー】あらすじと観た感想。その後の続編も作られてる実話

 1981年/イギリス/監督:ヒュー・ハドソン/出演:ベン・クロス、イアン・チャールソン、イアン・ホルム、ナイジェル・ヘイヴァース/第52回アカデミー作品・脚本・作曲・衣裳デザイン賞受賞

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

浜辺を走るエーブラムス
©Chariots of Fire/炎のランナーより引用

私にはまともに楽しめるスポーツがありません。

走るのは遅いし体力はないしカナヅチだし、学生時代はとにかく体育の授業が憂鬱でした。

 

反対に世の中には凄まじい身体能力を持って生まれた人達もいます。

1924年パリオリンピックでの100m走金メダリスト、ハロルド・エーブラムス(ベン・クロス)と400m走金メダリスト、エリック・リデル(イアン・チャールソン)もそんな羨ましい人達です。

しかもこの2人が持っているのは俊足だけではありません。

ハロルドはハーバード大学の秀才で恋人は超綺麗な舞台女優、エリックは宣教師の家庭に生まれ品がありその上性格も良いときたもんだ!

…なんやこの人達…。羨ましすぎ。「天は二物をなんやらかんやら…」どころの騒ぎじゃないじゃないの。

 

私が燃やす嫉妬の「炎」がタイトルになってるんちゃうかと密かに思っている映画、【炎のランナー】です。

 

 

 

実話を元にした映画【炎のランナー】のあらすじザックリ

1919年、ケンブリッジ大学へ入学したハロルド・エーブラムスは、ユダヤ人であることへの潜在的差別に抗い己の存在を示すため陸上競技にのめり込み頭角を現す。一方スコットランドには宣教師の一族に産まれ神から与えられた俊足を持つエリック・リデルがいた。

 

 

ユダヤ人のハロルド・エーブラムス

「ハロルドは構えていた」

ケンブリッジに入学した当初からハロルドの親友のオーブリー(ニック・ファレル)は言います。

 

ユダヤ人であるハロルドは日常的に差別を感じ、新しい環境でも周囲がみな敵であるかのようにピリピリしていたのです。

まるで冬セーターを脱いだ時にバチって来る静電気のよう。「近付くと痛い目見るぞ」ってオーラが体中からビンビンにほとばしっています。

 

当事者にしか分からない「潜在的差別」

シビル
そんなに走って…、あなたは一体何と戦ってるの?

舞台女優で恋人のシビル(アリス・クリーグ)にそうと聞かれたハロルドは「ユダヤ人であること」と答えます。

シビル

ふっふ、それがどうかしたん?

そんなこと誰も気にしてないって!

と、シビルは一笑に付しますが、ハロルドは「この国(イギリス)には根強い潜在的差別がある」と言って譲りません。

 

実際ハロルドは陸上競技で優秀な成績を残しているにもかかわらず、イギリス系ではないプロコーチのサム・ムサビーニ(イアン・ホルム)を雇っていることに対してケンブリッジ大学の寮長のおじいちゃん達からチクチク嫌味言われたりします。

 

パリオリンピック
©Chariots of Fire/炎のランナーより引用

このおじいちゃん達は、後にハロルドがパリオリンピックで金メダルを獲った時には嫌味言ってたことなんてスッカリ忘れた顔して、優雅に英国ティーをすすりながら、

おじいちゃんたち
いやあ~。さすがエーブラムス君やなあ~期待通りや、はっはっはあ~。

とか言うて笑ってるんですけども。

 

まあある意味お前らのような人種に対する反骨精神のお陰でハロルドは優勝できたようなもんやけどな。

 

ハロルドはこんな奴らを黙らせるため、燃える闘志の炎を絶やすことなく走ります。

 

 

宣教師のエリック・リデル

もう1人の主人公エリック・リデル(イアン・チャールソン)は、スコットランドの宣教師の家庭に生まれたイケメン。

類まれな俊足を持ちながら飽くまでそれは神から授かったものだと解釈し、才能をひけらかすこともない上にファンサービスも欠かさない人気者です。

パリオリンピックを最後に陸上をやめ、プロテスタントの伝道師として中国に渡ることになっています。

 

 

2人に共通するのは「走ることが好き」

「ユダヤ人であること」と闘うハロルドと「神の足を持つ」エリック。

共通するのはただ走ることが好きなこと。

ハロルドとエリックの対決
©Chariots of Fire/炎のランナーより引用

 

「走る時、神の喜びを感じる」

「走る時、神の喜びを感じる」と言うエリックは本当に幸せそうに走ります。

パリオリンピック400m走で全身全霊を傾けて走るその姿には、さっさと伝道に本腰を入れて欲しくて陸上には批判的であった妹ですら感動せざるを得ないほどです。

 

ハロルドは教科書通りの綺麗なフォームで走るのに対して、エリックの走り方はアゴがあがり過ぎ…?

朱縫shuhou

ホントは短距離の時ってアゴ引くんじゃなかったっけ?

とか脳裏をよぎったりもしますが、それもエリックの「神から授かった速い足」という意味ではフリースタイル感が出ていて面白い。

エリックは理屈ではなく野生・本能で走っているのです。

神の喜びを感じている時のエリック
©Chariots of Fire/炎のランナーより引用

直接対決ではエリックがハロルドに勝利しているものの、パリオリンピックでは「英国チーム」として共にイギリスに金メダルをもたらした2人のランナーの偉業を称えた映画です。

 

 

映画【炎のランナー】の感想一言

朱縫shuhou

走り方のフォームも然り、誰にでも挑戦的で好戦的なハロルドと友好的で和平的なエリックの対比が見モノ。

 

 

ジョセフ・ファインズ主演の続編映画【最後のランナー】

2017年、この【炎のランナー】の続編【最後のランナー】が公開されました。

映画【最後のランナー】のあらすじザックリ

パリ・オリンピックで金メダルを獲得したエリック・リデルが、その翌年の1925年に中国の天津へ旅立った。敬虔なクリスチャンである彼はアスリートとしてのさらなる栄光を追い求めず、両親と同じく宣教師として生きる道を選んだのだ。しかし1937年、日本軍が天津を占領。妻子をカナダに退避させ、ひとりこの地に留まったリデルは人道支援を続けようとする。やがて中国における外国人を取り巻く状況は悪化し、リデルは大勢の欧米民間人とともにウェイシン収容所に入れられてしまう。外界と隔絶したその施設で過酷な抑圧と体調不良に苦しむリデルは、“走る”ことで不屈の情熱と信念を示し、仲間や子供たちに尊い希望をもたらすのだった……。

出典:【最後のランナー】公式サイト

 

パリオリンピックで金メダルを獲得したエリック・リデルのその後

金メダルを獲得したのち、宣教師として天津に渡ってからのエリック・リデルのその後を描いた作品。

演じるのはイアン・チャールソン(40歳の若さで亡くなっています)からジョセフ・ファインズにバトンタッチ。

 

予告動画を観る限り、「走ること」だけをこれでもかとクローズアップした【炎のランナー】に対して、【最後のランナー】は生死がかかわったシリアスな内容になってるみたいですね。

そんな中でも「走ること」で希望を見出そうとするという、タイトルに「ランナー」とは入ってるものの、「走ること」自体は副次的効果の強い仕上がりっぽい。

スポーツドラマよりは戦争ドラマかヒューマンドラマに近い感じなんですかね?

 

ジョセフ・ファインズもフリースタイルな感じで顎を上げて走ってくれるといいんですけど。

 

ちなみにライバルだったハロルドはというと、パリオリンピックの翌年にケガで引退、その後はスポーツジャーナリストとして活躍したそうです。

 

 

>> 翌年(第55回)のアカデミー最優秀作品賞はこれ!

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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