1994年/アメリカ/監督:フランク・ダラボン/出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ボブ・ガントン、ウィリアム・サドラー、クランシー・ブラウン、ギル・ベローズ、ジェームズ・ホイットモア
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さすがに古い映画になってしまったので今はそうでもないのかも知れませんけど、ひと昔前はなんやっちゅうたら誰もが「好きな映画」の上位にこの映画を挙げていたように思います。そして信者のような熱狂的ファンも多かったですよ。
この記事を書くにあたり公開以来二度目の視聴を終えましたが、やっぱりどうしてあれほど人気だったのかよく分からない。
思うにこの映画を好きだって言ってた人達は、“無冠の映画”ってとこがダークホースっぽくて余計にツボったんじゃないですかね。「オスカー獲ってないけど良い映画なんだよね」みたいな。公開時はそれほど大ヒットもしてなかったはずだし。
あとからじわじわ来た系のヒューマンドラマ、【ショーシャンクの空に】です。
映画【ショーシャンクの空に】のあらすじザックリ
矛盾点が気になって仕方ない「ファンタジー」映画(皮肉)

人気作なので大きな声で言いにくいんだけど、実際のとこ【ショーシャンクの空に】ってご都合主義過ぎやしませんか?
まず銀行副頭取のエリート、アンディ・デュフレーン(ティム・ロビンス)が、妻とプロゴルファーの不倫現場を見て逆上し二人を撃ち殺しますわな?それが冤罪だって分かるのはずっとあとになる訳ですが、とにかくアンディは二人分で二つの終身刑を食らってショーシャンク刑務所に収監される、と。
刑務所に来てしまってはもうどうしようもないアンディの、塀の中で芽生える調達屋のレッド(モーガン・フリーマン)たちとの友情、刑務所長や刑務官らとの奇妙な人間関係、レッド曰く「人間以下のオネエたち」との胸くそ悪い戦いの日々が描かれますよね。
そんな中にあって聡明なアンディは粛々と脱走計画を練り続け、最後の最後で20年越しの大どんでん返しを披露します。

ある朝起きたらアンディの独房はもぬけの殻。
あるのはバカでかいラクエル・ウェルチのポスターだけ。

も~、まずこれさあ…。
とりあえずすんごいベタな指摘をしますけど、アンディが横穴を抜けて脱獄したあと、誰があんなに綺麗にポスター貼り直したの?
何はなくともこの矛盾が決定的にこの映画を現実味のないファンタジーに仕上げてしまっていてどないもこないもありませんわ。
それでなくてもあの横穴…例え20年かけたとしてもあんなもん掘れます?!
少し話しは逸れますが、スティーブ・マックイーン主演の【大脱走】をご覧になったことはありますでしょうか?
1963年/アメリカ/監督:ジョン・スタージェス/出演:スティーブ・マックイーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・ドナルド、チャールズ・ブロンソン、ジョン・レイトン注※このサイトは映画のネタバレ[…]
あれも穴掘って脱走する映画ですけど(あっちは“土中”を掘る)、人が通れる大きさの穴を掘ると言う作業は、何人もの屈強な男達が力を合わせて頑張って、それでもむっちゃ危険が伴うんですよ。距離が長くなればなるほど崩落の危険が伴うから、掘りつつ(木材で)補強しつつ進んで行くんです。手に汗握りますよ本当に。
ところがアンディはたった一人で、小さな小さなロックハンマーひとつで、土じゃないにしても鉱石だかコンクリートだか何だかよく分からない壁を、えっちらおっちら外界まで掘ることに成功する。平面図も測量図もコンパスもなしで。

仮に外に出られる横穴が掘れたとしても、嵐の日とか風が吹き込んで出口(独房側)に貼ってあるポスターなんかもう、バア~ッサバサバサってなってるはず。
アンディが収監されてから脱獄するまでの20年のうちいつ頃貫通したのか知りませんけど、一切誰にもバレないなんて奇跡を通り越しておとぎ話。
輝く一等星。
きらめくファンタジー。
そして外に出たアンディは石で叩いただけで下水管を破壊し汚水管の中に潜入。汚水の海をほふく前進で這ったはいいけどその行き着く先が川であることがなぜ彼には分かっていたのでしょう?
海だったらどうすんの?
あんな豪雨の日に?
死んでもいい、くらいの、文字通り「決死の覚悟」であったってこと?
大体すごい財テクを駆使して汚職所長を欺 き実在しない架空の人物を創り上げたって言うけど、たかだか銀行の副頭取レベルでそんなことがホイホイできてしまう国家の管理システムって一体どうなってんのよ。
舞台が1940年代だとしてもよ。
まあいっかもう。ビニール袋に入れて足に括りつけただけのスーツ一式にシミひとつついてないと言う奇跡も起こるしね。汚水の川を何メートルも這ったのにね。
矛盾と言うか、腑に落ちない点が多過ぎてまいっちんぐです。
“刑務所慣れ”した終身刑の囚人の末路と彼らの希望
ただし。
レッド並びに、50年も刑務所にいたことで“刑務所慣れ”してしまい、せっかく仮釈放になったのに結局自殺してしまうブルックス(ジェームズ・ホイットモア)のエピソードは実に心に染みます。

長年慣れ親しんだ刑務所に戻りたくて「何をやらかしたらもう一度刑務所に入れてもらえるやろか」と言う考えに行きついてしまう老人二人の姿は、彼らが一度は終身刑をくらった罪人であることなんて忘れてしまうほど哀れで惨めで悲しい。
レッドは殺人を犯しています。ブルックスの罪状は明かされませんが、終身刑になるくらいだから殺人かそれに値するような罪を犯したのでしょう。
人が人を殺すだなんて絶対にあってはならないことだけど、だからと言って彼らの哀れな末路が当然だとは思ってはいけないと教えてくれる映画です。
映画【ショーシャンクの空に】の感想一言
1999年/アメリカ/監督:フランク・ダラボン/出演:トム・ハンクス、デヴィッド・モース、バリー・ペッパー、ジェフリー・デマン、ダグ・ハッチソン、ジェームズ・クロムウェル、マイケル・クラーク・ダンカン、サム・ロックウェル、マイケル・[…]
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