【ファンタジア(1940)】魔法使いの弟子

映画【ファンタジア(1940)】あらすじ(?)と観た感想。セリフなしでもドラマがある

【ファンタジア(1940)】魔法使いの弟子

1940年/アメリカ/監督:ベン・シャープスティーン/出演:ジェームズ・テイラー、レオポルト・ストコフスキー/第14回アカデミー特別賞受賞

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【ファンタジア(1940)】
©Fantasia/ファンタジアより引用

世界で初めて「映像で音楽を表現」した画期的なディズニーアニメ。

クラシック音楽に乗せてアニメーションが動き出すんですけど、クラシックに詳しくない人の方がオリジナルのストーリーが抵抗なく入ってくるんじゃないでしょうか。私はクラシックについてはからきしなので、映像だけを追って楽しんでいます。

 

1940年の映画ですよ、1940年

最初に公開されてから何度も改変を繰り返し、1999年、ついに正式なリメイク作品【ファンタジア2000】なるものが製作されました。しかし時代は変わり技術は確実に進歩しているはずなのに、リメイク作が本家の足元にも及ばないのはなぜなんでしょう。

不滅です、【ファンタジア(1940)】

 

 

 

映画【ファンタジア(1940)】のあらすじザックリ

オーケストラによるクラシック音楽をバックとした、アニメーションによる8編の物語集である。一部を除いて、台詞は一切用いられていない。ステレオ効果が利用された最初の映画で、なおかつサラウンドの原型ともいえるステレオ再生方式が世界で初めて一般的に導入され実用化された面においても、音響技術において非常に重要な歴史的映画である。

 

 

映画【ファンタジア(1940)】曲目とストーリー

「トッカータとフーガ ニ短調」

まず聞こえてくるのはバッハの「トッカータとフーガ ニ短調」と言う曲。

【ファンタジア(1940)】トッカータとフーガ
©Fantasia/ファンタジアより引用

一番手のこちらの映像は他の曲に比べると少々地味。

生き物は出て来ないしストーリーもありません。

ただし雷や雨や風や光(日光?)が音と一体化して煌めく幻想的な映像はヒーリング効果抜群。自然現象を本当にこんな風に可視化できたら、人はみんな上を向いて生きていくんでしょうにね。

 

「くるみ割り人形」

続いてはチャイコフスキーの「くるみ割り人形」。と言っても本来の「くるみ割り人形」の物語とはかけ離れた内容になっています。映像はくるみの一粒さえ出て来ない完全オリジナルストーリー。【ファンタジア】はこんな感じで、すべて先入観なしのクリエイターのイマジネーションのみで製作されています。

【ファンタジア】の「くるみ割り人形」では、妖精たちが植物に命を吹き込む様子が描かれます。

【ファンタジア(1940)】命を吹き込む妖精
©Fantasia/ファンタジアより引用

命を吹き込まれた植物たちは歌い、踊り、陽気にはしゃぎ始めます。私が一番好きな「キノコのダンス」はこのパートで観ることができます。なんとなく「アメリカ人から見た中国人」を思わせるような(目がつっててチャイナ服を着ているっぽい)キノコたちがすごく愛らしいんですよ。

【ファンタジア(1940)】キノコのダンス
©Fantasia/ファンタジアより引用

植物だけでなく魚も出てきます。湖で天女のように舞う透き通る金魚は【ファンタジア】の前作に当たる長編アニメ【ピノキオ】に出てくる金魚のクレオパトラとほぼ一致。進化したんやなきっと。

【ファンタジア(1940)】クレオパトラみたいな金魚
©Fantasia/ファンタジアより引用
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「魔法使いの弟子」

唯一ディズニーのメインキャラクター、ミッキーマウスが出てくるのがこの曲。ストーリーももっとも簡潔で分かりやすい。

【ファンタジア(1940)】
©Fantasia/ファンタジアより引用

魔法使いの弟子であるミッキーは水汲みをサボるため、魔法使いの留守にこっそりホウキに魔法をかけます。自在に動けるようになったホウキはバケツを持って水汲みに。

【ファンタジア(1940)】魔法使いの弟子
©Fantasia/ファンタジアより引用

こりゃいいやとばかりに水汲みをホウキに任せてウトウトとお昼寝していたミッキーが、目覚めた時に見たものは…?

 

「春の祭典」

続いてはストラヴィンスキーの「春の祭典」。

【ファンタジア(1940)】春の祭典
©Fantasia/ファンタジアより引用

「春の祭典」なんてほのぼのしたタイトルの曲がバックに流れてますけど映像は割と科学的で、生まれたばかりの小さな地球を宇宙から見下ろしている感じで描かれます。

マグマや火山なんかはカッコいいものの、恐竜が出てくると途端に陳腐になっちゃうんですけど、どうしましょうかこれは。

【ファンタジア(1940)】春の祭典
©Fantasia/ファンタジアより引用

なんかディズニーっぽくないしね、恐竜って。

 

休憩

休憩パートでは「音」を体現する謎の物体「サウンドトラック君」が、オーケストラの楽器の音を聴かせてくれます。

【ファンタジア(1940)】サウンドトラック君
©Fantasia/ファンタジアより引用

びよよよよ~ん。

 

「田園交響曲」

出ましたベートーベンの「田園交響曲」。これぐらいは知ってる。

【ファンタジア(1940)】田園交響曲
©Fantasia/ファンタジアより引用

映像作品は神々が住むオリンポス山を舞台にした神話的な仕上がり。「虹の乙女」が空に虹を描き、「夜の婦人」が夜を連れてくれば「星の青年」が「星屑の角笛」を吹いて夜空に星を散りばめます。

ファンタジーらしいファンタジーである一方で、葡萄酒を飲んで乱痴気騒ぎをする半身半獣のオリンポスの民を神が戒めるサスペンスフルな描写もあって見応えたっぷり。

【ファンタジア(1940)】主血肉人のオリンポスの民
©Fantasia/ファンタジアより引用

 

「時の踊り」

ポンキエッリのバレエ音楽「時の踊り」では、バレリーナに扮した動物たちが華麗に舞います。

【ファンタジア(1940)】バレエを踊るカバ
©Fantasia/ファンタジアより引用

ダチョウが踊るのは何となくイメージ沸きますけど、しかしどうしてここでカバをチョイスしたんや

めっちゃ重量感のあるバレリーナの誕生ですよ。

 

「はげ山の一夜」と「アヴェ・マリア」

最後は怖すぎるんで子供には向かないと思います。大人でも不気味すぎてちょっと敬遠しちゃう。

 

ムソルグスキーの「はげ山の一夜」とシューベルトの「アヴェ・マリア」と言う、正反対の二つの曲を繋げたパート。

「正と邪の戦い」を描いているとのことですが、その世界観はトラウマレベル。餓鬼のような魑魅魍魎 ちみもうりょうがうごめく地下の世界は、まるで「焦熱 しょうねつ地獄」や「衆合 しゅうごう地獄」などに代表される八大地獄のひとつのようです。

【ファンタジア(1940)】魑魅魍魎
©Fantasia/ファンタジアより引用

日本で言えば「閻魔 えんま様」に当たるであろう地獄のボスは「子供向けディズニーアニメ」と言う観点ではもう完全にアウト。こんなもん子供に観せた日にゃあ夜何度もおしっこに起こされること請け合い。

【ファンタジア(1940)】
©Fantasia/ファンタジアより引用

さらに言うなら永井豪の「デビルマン」感も半端ない。なんか山のてっぺんにいるし(デビルマンはよく鉄塔の上に腰掛けて人間界を見下ろす)。

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最後には「アヴェ・マリア」が流れて巡礼者たちが松明 たいまつ(?)持って列を成し、「悪は封じ込めた」みたいな感じで終わるんですけど、その巡礼者の列だってなんだか怖い訳ですよ。「死者の列」みたいでさあ。これからさっきのあの地獄に行くんやろか、みたいなさあ。

【ファンタジア(1940)】アヴェ・マリア
©Fantasia/ファンタジアより引用

これはあかんのちゃうん?

 

 

映画【ファンタジア(1940)】の感想一言

朱縫shuhou

最後の7曲目と8曲目以外は子供でも存分に楽しんで観られる楽しい映画です。

【ファンタジア2000】はどちらかと言えば大人向きに作られていて、技術を追い求める余りディズニーの真髄を見失っているような気がします。

そう言った意味でもこの【ファンタジア(1940)】はやっぱり不朽の名作なんですよね。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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