2016年/アメリカ/監督:バリー・ジェンキンス/出演:トレヴァンテ・ローズ、アンドレ・ホランド、ナオミ・ハリス、マハーシャラ・アリ、ジャネール・モネイ/第89回アカデミー作品・助演男優・脚色賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
懐かしいわあ~マイアミのビーチ。
そうそう、ヤシの木がそこら中に生えててね~。気温が高いって言うても高温多湿の日本と違ってカラッとしてて不快指数は低いし、夜の月明りとか幻想的でめっちゃうっとりしたもんですよね~。
【ムーンライト】観てたら思い出しましたよ~いや~懐かしい~。
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て、
マイアミどころかアメリカ大陸にすら渡ったことはないけども。
なんなんですかね、行ったこともない場所を「懐かしい」と思わせる映画って。何年かにいっぺん出会っちゃう。
前世の記憶?
人類の記憶?
まあ~しかしとんでもない映画が作られ、あまつさえオスカーまで獲るような凄い時代になったもんです。めっちゃ面白い訳ではないんですけど、たぶん私、この映画のこと一生覚えてると思います。
映画【ムーンライト】のあらすじザックリ
ⅰ.リトル
【ムーンライト】は無口で内気な主人公、シャロンの半生を描いた映画です。物語は「子供時代」と「学生時代」と「青年期」の3つで構成されてます。
カリスマ的魅力を持ったフアンとの出会い
その小柄で華奢な体形から、「リトル」と呼ばれいじめられていたシャロン(アレックス・ヒバート)が、成長してから同じ職業に就いてしまうほどバリバリに影響を受けたのは気の良い青年フアン(マハーシャラ・アリ)。
ちなみに私は登場した瞬間からこのフアンの魅力にくぎ付けでした。
なんでしょうねこの人、ごっつイケメンって訳でも正義の味方って訳でもなく、なんやったらヤクの売人なんで悪い奴なワケで、その上センスのよく分からない柄シャツとか着てたりするくせに、半端ないカリスマと安心感、子供はいないのにみなぎる父性を纏っているんです。
フアンはいじめられっ子に追いかけられ麻薬取引が横行する危険区域に隠れていたシャロンを見つけてくれます。話しかけても返事もせず帰りたがらないシャロンに食事を与え自宅に泊め、次に会った時には泳ぎを教えてくれて、そうこうしながら少しずつ頑なだったシャロンの心を溶かして行きます。
産まなきゃよかった?破滅的な母親
シャロンが家に帰りたがらない理由は、虐待じみた母親(ナオミ・ハリス)のせい。
ありえへんよホンマに、こんな母親。
見てるだけでゲロ吐きそう。
最悪なのは成長して家を出たシャロンに涙ながらに懺悔すること。
何もかも私が悪かった。
何もしてあげられなくてごめんね。
愛してるよ。
究極にずるいんですよねこのセリフ。
今頃言われたってどうしようもない。
なぜにシャロンが幼い時にそう言うてやらなんだ。
なぜに今になって自分の気持ちだけを押し付けるか。
この母親の元でもシャロンがこれほど繊細に育ったのには、やっぱりフアンの存在が大きいであろうことが分かります。
ⅱ.シャロン
はっはあ~ん。
さては孤独な少年(=シャロン)とワルの親玉(=フアン)の心の交流を描いた映画やな?
はいハズレ。
物語の舞台はシャロンの学生時代へと移りますが、この頃にはすでにフアンは死んでいます。なぜか理由は出てきません。まあヤバい仕事をしてた訳だし殺されたのかそれとも病魔にでも侵されたのか…。
鑑賞前にあらすじを知ってしまうのを嫌う私は、前知識を全く持たずに映画を観ることを好みますが、【ムーンライト】には正直困りました。どう解釈したらいいのか分からなくなって。
だってこの段から物語はラブストーリーの様相を呈してくるもんですから。
しかもシャロン(アシュトン・サンダース)が恋した相手はなんと幼馴染のケヴィン(ジャレル・ジェローム)。
そう。
男の子です。
ⅲ.ブラック
成人したシャロン(トレヴァンテ・ローズ)はマイアミを離れアトランタでフアンと同じヤクの売人になっていました。
いやちょっとしかし…「リトル」→「シャロン」ときて、成人してからの変貌ぶりに度肝抜かれます。
めっちゃムキムキなってますやん!怖い怖い!
さきほど物語がラブストーリーに寄ってくる、と書きましたが、このシャロン(この頃は「ブラック」と呼ばれてる)ではちょっと…ええ~…!
男の子だけど華奢で内気な感じのシャロンやからケヴィンに恋しても成り立ってたのに…ええ~…屈強な戦士みたいになってるやん…ええ~…。
数年ぶりにケヴィンと再会した「ブラック」…あれ?「シャロン」?
学生時代に決裂したままだった二人は数年ぶりにケヴィン(アンドレ・ホランド)の食堂で再会します。
いやあ~懐かしいわあ!
来てくれてありがとうな!
……ほ…
ホンマやな…。
何やねん、すぐうつむく癖そのまんまやないか!
……。
(恥ずかしそうに笑う)
…あれ?
変やな…(ゴシゴシ…)。
ムッキムキの戦士体形のブラックのはずなのに、ケヴィンの前だと以前のシャロンみたいに可愛らしく見えてきたぞ…?
LGBTを扱った映画で初めてオスカー受賞
ブラックがケヴィンと再会した時、私は昔話をして「そんなこともあったよな」で終わるんだと思ってました。
それがまさかの「パートナー認定」。
正直びっくりしましたが、体がいくらムキムキになっていようと中身は相変わらず引っ込み思案で内気なシャロンが、絞り出すようにケヴィンへの想いを口にする場面は男女の恋愛以上に胸がしめつけられる感覚でした。
参考 LGBT=レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、それぞれの英語の頭文字からとったセクシャルマイノリティの総称
映画【ムーンライト】の感想一言
こんな恋もあるんやねえ~。
しかしなんでこんなに懐かしいんやろうなあ~。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。