1970年/アメリカ/監督:ロバート・アルトマン/出演:ドナルド・サザーランド、トム・スケリット、エリオット・グールド、ロバート・デュヴァル、サリー・ケラーマン、ルネ・オーベルジョノワ、ロジャー・ボーエン、ジョー・アン・フラッグ、G・ウッド/第43回アカデミー脚本賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

「お医者さん」って、いつでも同じテンションで事務的に無感情に仕事をこなす精密機械のように感じませんか?
私には個人的にお付き合いさせてもらってるお医者さんなんていないのもので、苦しむ患者の痛みや悩みを取り除いてくれる彼らに「完璧で非の打ちどころがなく近寄りがたい」印象を持っています。「神を畏れる」というか。
でもお医者さんだって私達と同じように、仕事が終わればエロいことを考え、性的不能になったら自殺を考え、ゴルフや芸者遊びに興じてストレス発散しているんだね(ホンマか)、【M★A★S★H マッシュ】です!
映画【M★A★S★H マッシュ】のあらすじザックリ
超一流の軍医3人が「MASH(マッシュ)」で大暴れ
舞台は朝鮮戦争下の韓国。タイトルの「MASH」は陸軍移動外科病院(Mobile Army Surgical Hospital)のこと。
前線から少し離れた場所に作られたテント張りの外科病院「マッシュ」に配属された3人の軍医が一応の主人公。

長身で迷彩柄の帽子がトレードマークのホークアイ(ドナルド・サザーランド)は頭の回転が速く、字幕では「切れ者」と呼ばれています。
髭面の「トラッパー(エリオット・グールド)」はその昔ホークアイとアメフトの試合で対戦したことがある旧知の仲。
異動してきたその日にホークアイと親しくなる小柄なデューク(トム・スケリット)は看護婦を見るや色目ばっかり使ってる「女たらし」。

彼らがマッシュ内で使う「ホークアイ」や「トラッパー(=「罠をしかけて獲物を取る猟師)」なる呼称はすべてあだ名で、本名は全然違います。登場人物全員がです。本名長いし本編に一切関係ないんで特に書き並べたりしませんけど、この裏設定は何なんでしょうね。
一番おもろいあだ名は「ペインレス (無痛)」。
彼らマッシュの面々が戦地でしっちゃかめっちゃかする不謹慎な映画です。
病院には当然血が噴き出したり内臓が飛び出したり体の一部がなかったりする負傷兵が次から次へと運ばれてくるというのに、まったく意に介さない軍医たち。
いえ、仕事はめっちゃします。信じがたいことですが腕は超一流なんでね、この人達。

しかしひとたび手術室を出ればその実態はただのイタズラ盛りの中学生。彼らの頭の中にあるのは「女」のことか「ゴルフ」のことか「おもろい」ことのみ。
手に負えません。
ことあるごとにマッシュ内に流れる場内放送は結構重要なファクターのひとつですからいちいち聞いておいた方が身のためだと思います。
中でも吹き出したのがこちら。

昨夜覚せい剤のケースが盗難されました。
今月3度目です。
おやめなさいよもう!
「お祈りおじさん」追い出し作戦に執念を燃やすマッシュ一同
ホークアイとデュークがマッシュに配属されて最初に同室になったのは「お祈りおじさん」バーンズ少佐(ロバート・デュヴァル)。
すんごい厳格なカトリック教徒で祈りばっかり捧げてるんで「お祈りおじさん」。

「厳格なカトリック教徒」と言えば聞こえはいいけど他人を思いやる気持ちには欠けているようで、自分が受け持った患者の死を助手のせいにしちゃう底意地の悪さを隠せない嫌なおっさん。
マッシュ中から煙たがられているバーンズ少佐と奇蹟的に意気投合するのが真面目で張り切り過ぎて空回りがちな新任女性将校ホーリハン(サリー・ケラーマン)。

バーンズ少佐とホーリハンはお互いを求め合うようになりベッドを共にしますが、ホークアイ達の悪戯によって「最中の声」をマイクで拾われマッシュ内に大音量で放送されてしまいます。

ハア…ハア…。
君は、
君は最高だ!

はあ…はあ…。
ああ~!素敵よ!
あなたの熱い唇!
ああ!
熱い唇!
この瞬間からホーリハンのあだ名は「ホットリップス」。
しかし「ホットリップス」と「お祈りおじさん」の愛は束の間で、ホークアイの機転により犯罪者に仕立て上げられたバーンズ少佐は強制送還されてしまいます。
まだ物語も中盤に差し掛かったくらいの段階でよ?
名優ロバート・デュヴァルの雑な扱いに爆笑。
小銭を賭けてアメフトに挑むマッシュ一同
こんな風にマッシュで大暴れする彼らを観ているのは本当に大笑いなんですけど、別の部隊とのアメフトの試合だけはグッダグダ。

敵が強すぎて勝てないと悟ったホークアイ達が相手選手にこっそり薬物を注射するという無茶な展開は面白いものの、ここからの流れが悪くてだんだんダレてきます。アメフトの試合の場面だけで15分~20分は続いちゃうんですよね。
チアガールに扮してぴょんぴょんハネながら天然発言を繰り返すホットリップスも狙いすぎて完全にすべってるし。
5分くらいに詰め込んであっという間に終わらせた方が絶対おもろかったのに。
盗んできたジープで帰途に就く
しかしそんなドロドロと流れの悪い支流も試合終了と同時に再び本流に飲み込まれてゆきますからご安心ください。
ホークアイとデュークに唐突にやってくる帰国命令も、マッシュに残されるトラッパーとホットリップスの憂鬱も、冒頭でホークアイが盗んできたジープの伏線(?)も、最後の最後まで重要ポジションであり続けたスピーカーも、実にお見事。

このテンポよこのテンポ。
アメフトで失速した時はどうなることかと思うんですけど、もとのテンポに戻ってくれて良かったですよ。どうしてアメフトになると理性が吹っ飛んじゃうかなあアメリカ人は。知らんけど。
いやむしろアメリカではアメフトの場面が【M★A★S★H マッシュ】のハイライトだったりするのかしら?
映画【M★A★S★H マッシュ】の感想一言

【M★A★S★H マッシュ】が公開された1970年と言えば、ベトナム戦争真っただ中。
誰もが尻込みしたこの映画の監督を引き受けたのが、のちに「ハリウッドの異端者」として名を馳せるロバート・アルトマンでした。
ヒットして良かったよねえ。
戦況によっては下手したら関係者全員消されてたかも知れないよ?いやマジで。だってふざけすぎやもん。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。