2011年/アメリカ/監督:デビッド・フィンチャー/出演:ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、ステラン・スカルスガルド、スティーヴン・バーコフ、ロビン・ライト、ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン、ジョエリー・リチャードソン/第84回アカデミー編集賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
この映画の公開前、クールなCMがバッシバシ流れていました。
刺激的な音楽と矢継ぎばやに映し出される映像の数々。CMの最後にはTV画面いっぱいの黒背景に銀色のゴシック体が刻まれます。
世界的ベストセラー3部作完全映画化
待望の第一弾
【ドラゴン・タトゥーの女】
悪だけが唯一悪を制す
彼女がくる
“世界的ベストセラー”?
なんかすごい映画なんじゃないの?
原作をまったく知らなかった私はまんまと制作会社の策略にハマる。
ハマり過ぎてさっそく手に入れた原作小説3部作を昼夜問わず読み進め、普段は第一級の遅読のくせにあっという間に読破するという快挙を成し遂げる。
観ればきっと原作が読みたくなります。
私ならずとも主人公の天才ハッカー、リスベット・サランデルのファンになってしまうこと請け合いの映画、【ドラゴン・タトゥーの女】です。
映画【ドラゴン・タトゥーの女】のあらすじザックリ
島を所有する富豪からの奇妙な調査依頼
舞台はスウェーデン。
有名ジャーナリストのミカエル・ブルムクヴィスト(ダニエル・クレイグ)が、ある大物実業家のスクープ記事をめぐる裁判に敗けたことで全財産とジャーナリストとしての信用を失う場面から始まります。
失意のミカエルの元に届いたのは、大企業の会長ヘンリック・ヴァンゲル(クリストファー・プラマー)からの奇妙な依頼。
40年前に一族の前から忽然と姿を消した少女ハリエット・ヴァンゲル(モア・ガーペンダル)の行方をつきとめて欲しいらしい。40年前て。
悩んだ末ミカエルは、世間のほとぼりが冷めるまでの休暇も兼ねて、ヴァンゲル一族が暮らす島を訪ねヘンリックから事件の詳細を教えてもらいます。
同族内の事件ゆえのややこしさ
複雑な事件を説明してくれるのはいいんですけどねえ、ここで一気に登場人物が増えて、しかも調査するのが同族内の事件であるため、出てくる人出てくる人みーんな「ヴァンゲルさん」なワケですよ。舞台はスウェーデンですから当然ファーストネームも「ジャックさん」とか「メアリーさん」みたいに日本人が聞きなれているカタカナではなく、誰が誰だか分からなくなって頭がこんがらがってきます。
主人公のミカエルからして苗字「ブルムクヴィスト」て(ブルムクヴィストさんごめんなさい)。
ここ書くだけでも気ぃ遣うわ。キーボード打つ手が攣りそうやねん。
家系図にして説明してもらわないと絶対分からん。
ちなみに小説には巻頭にちゃんと家系図が載ってるからわかり易いです。今や完全把握ですよ、ふっふっふ。
一人で調査を進めていく中、助手を必要とするミカエルがある筋から紹介されたのがリスベット・サランデル(ルーニー・マーラ)。
背中に大きなドラゴン、首筋に蜂のタトゥーがある変わった女の子です。
天才ハッカー、リスベット・サランデル
タイトルにもなっているもう一人の主人公リスベット・サランデル。
原作小説からも引用しつつ彼女の特徴をまとめます。
●タトゥーだらけの肌に奇抜な衣装の特異な風貌
●15歳の少年のように小柄で華奢な体型
●何度も事件を起こして警察沙汰になっている
●他人をよせつけず必要以外の会話はしない
●邪魔者を消すためならどんな犠牲もいとわない
●数字とコンピュータに異常に強くその道のプロ達の間では知らぬ者はいない
彼女の協力を得ることでミカエルのヴァンゲル家調査は劇的に進展。て言うかリスベットがいなかったらこの事件は絶対解決できてない。
私はこの【ドラゴン・タトゥーの女】で初めてルーニー・マーラを観ました。
そして速攻ファンになる。
【ソーシャル・ネットワーク】で天才マーク・ザッカーバーグの恋人役を演じた女優と同一人物とはとても思えない。【キャロル】でレズビアンの女性を演じた時も良かったし、役作りが半端ないんですよね。
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リスベットは少しずつ、ミカエルにほんのり恋心を抱き始めます。
よくあるパターンと思うなかれ。
そこら辺の「普通」の女の子とは何もかもかけ離れているリスベットの恋は、そんじょそこらのラブロマンスとは勝手が違います。
他人を受け入れず神経を細く細く研ぎ澄ました結果、今にも折れてしまいそうな危うさをはらむリスベット。童話に出てくる氷の女王の城のような彼女の心が、春のひだまりみたいに穏健なミカエルと過ごすことによって少しずつ解かされていくんです。
誰一人信用しない彼女が「他人に抱く感情」は必ず「マイナス」からのスタートで、それが「0」、そればかりか恋する「プラス」にまで跳ね上がるという事は、その振れ幅から言えば彼女にとっては天と地がひっくり返るくらいの重大な出来事ってことでしょ?
それをうまく伝えてくれている映画なので、観ているこっちも彼女の心が解けていくのを無防備に喜んではいられません。
壊れそう、壊れそう…。
あかんあかん、裏切られたら壊れそう…。
こんな風に手に汗握りながら観る羽目になってしまいます。
鑑賞後にきっと探してしまうもの
このように【ドラゴン・タトゥーの女】は複数の局面を有するため、たった2時間半の映画に押し込めてしまってグダグダにならないのか心配したものですが、杞憂に終わって一安心。
鑑賞後は必ず小説を探して読んでみたくなるでしょう。
なんといってもこれ、三部作の1作目だけを映像化した映画ですから。
これでまだ1作目なんですよ?
信じられる?
【ドラゴン・タトゥーの女】と同キャストでの続編映画製作の話はどうやら立ち消えちゃったみたいなんで、小説でだけでも続きを堪能しましょう。
2019年、キャストを刷新した上で待望の続編(?)が公開されました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。