【シンドラーのリスト】実話?

映画【シンドラーのリスト】実話だと?評価は高いが脚色過多…人物像に迫る

【シンドラーのリスト】実話?

1993年/アメリカ/監督:スティーブン・スピルバーグ/出演:リーアム・ニーソン、ベン・キングズレー、レイフ・ファインズ、キャロライン・グッドール/第66回アカデミー作品・監督・脚色・撮影・編集・美術・作曲賞受賞

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

ユダヤ人たちから指輪をもらうシンドラー
©Schindler’s List/シンドラーのリストより引用

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世界で最も有名なハリウッドの映画監督の一人、スティーブン・スピルバーグが念願のアカデミー賞を受賞した【シンドラーのリスト】です。

 

最初に断っておきますと、私はスティーブン・スピルバーグの監督作品が好きではありません(スピルバーグは製作総指揮など、監督業以外でも近代の映画に鬼ほど関わっています)。

万人に受け入れられやすくてヒットする要素がたっぷり盛り込まれている反面、演出と脚色が過剰すぎる気がします。

映画産業だって商売ですから、興行的にこれほどたくさんのヒット映画を生み出せるなんて紛れもなく名監督なんでしょうけど、……抽象的な表現で恐縮ですが私には何かドシっとくるものがないんです。

 

気に入った映画って何度も観たくなりますよね?

でもスティーブン・スピルバーグの作品の多くは1回観たらもう特に観たくなりません。

 

【シンドラーのリスト】も例に漏れず、大昔に1回観たっきりこれ以上観る気にならないので、この記事は「記憶」によって書いています(他の記事はほぼ再視聴してから書いてます)。

 

 

 

実話?映画【シンドラーのリスト】のあらすじザックリ

1939年9月、ユダヤ人を激しく蔑視するナチス党政権下のドイツ軍はクラクフ在住のユダヤ人に移住を強制し、彼らをクラクフ・ゲットーの中へ追放していた。そんな中、ドイツ人実業家のオスカー・シンドラーは、潰れた工場を買い取って琺瑯容器工場の経営を始める。

 

 

ユダヤ人を大量虐殺から救ったオスカー・シンドラーの「実話」?

観賞前は「オスカー・シンドラー(リーアム・ニーソン)という人はナチスドイツからユダヤ人を救った人」くらいの認識しかありませんでした。どんな人がどうやって救ったのか、手段立場もよく分かってなかったのです。

ところが、一切先入観なしで観たにもかかわらず、鑑賞後に残ったのはどうにもしっくりこないというモヤモヤした気分だけでした。

虐殺の描写
©Schindler’s List/シンドラーのリストより引用

映画の中ではまるで「慈愛の精神を持った賢人」のように描かれるオスカー・シンドラーですけど、実際は全然違っていたことがそのモヤモヤの原因だったみたいです。

 

3時間経っても「シンドラー像」は出来上がらなかった

【シンドラーのリスト】は上映時間195分にも上る長編映画です。

そんなに長い間彼を観ていたというのに、映画が終わっても私の中に「オスカー・シンドラー」という人物像はまったく出来上がりませんでした。

 

だって序盤のシンドラーと言えばこんな感じなんですよ?

金儲けしたいぜ!

この工場産業で儲けてやるぜ!

社交が大好きだぜ!

親衛隊と親しくしていれば俺は安泰だぜ!

こんな感じの、私利私欲にまみれた金の亡者のようなシンドラーは、中盤から突然聖人君子に変貌するんです。

どうして急に自分の危険も利益も顧みずユダヤ人を救おうとし出したのか、その心情の変化が伝わってこない。

 

だからユダヤ人たちと別れる時にシンドラーが泣き崩れる感動の場面でも、

朱縫shuhou

あれ?

自分どしたん急に。

なんで泣いてんの?大丈夫?

くらいの冷めた反応しかできませんでした。

 

 

事実との相違を指摘したオスカー・シンドラーの妻

シンドラーにはエミリーという妻がいました。エミリーはこの映画【シンドラーのリスト】でシンドラーが有名になったあと、ドイツの雑誌の取材に答えています。

その時の記事のタイトルが「夫は英雄だった。でも私は彼が嫌い」

 

…おや穏やかじゃないね。

 

エミリーは記事でこうも話しています。

「オスカーは、工場の経営者としての力量にも欠けていて、実際は女遊びばっかりだった。会社運営、そしてユダヤ人の救出に東奔西走していたのは、この私

引用サイト 緒方-ヴェストベルグ 美樹の “グローバル インナーマッスル” ←古い投稿ですが、ドイツ在住の方がこの記事について詳細に記述しています。面白い。

ありゃま。

「この私」って言い切っちゃいましたね。

 

実話を基にした伝記映画や歴史映画で、物語をドラマティックにするために多少の脚色をすることは当然ですが、ひどすぎ。

 

私が最初に【シンドラーのリスト】を観た時からずっと付きまとっていた違和感はこれだったのです。

人物像もへったくれもないですよね、だって事実を大きく捻じ曲げているのですから。

 

そもそも映画に妻のエミリーが出てきたかどうかも私の記憶では定かでないです。妻の存在どころか、シンドラーは使用人のユダヤ人のべっぴんさんに色目使ってたような…。

使用人と話すシンドラー
©Schindler’s List/シンドラーのリストより引用

かといって妻エミリーの言っていることがすべて事実とも限りません。

生前浮気の常習者で晩年は自分と一緒に過ごすことすらなかったシンドラーを、エミリーはかなり嫌悪していたようです。こっちはこっちでシンドラーが亡くなっているのをいいことに過剰に攻撃している可能性が無きにしも非ず

こうなってくるともう近所のオバハンの噂話みたいなもんで、真実がどこにあるのか訳分からん、と。

 

なぜこれほどカオスな映画になってしまったのか。

シンドラーが浮気魔で守銭奴で自己中心的な人物では美談が成立しませんから。

「無理矢理」シンドラーを英雄に仕立てて「良い話」にしようとしてるのでキャラクターに歪みが生じてしまっています。

 

シンドラーが1200人ものユダヤ人を救い多大な功績を残したことには間違いないのですが、これだけ偏った人物像を創り上げて英雄に仕立ててしまうのなら、いっそ事実を基にした全く別のフィクションとして作ってしまえばよかったのにねえ。

…すでにそんな感じに仕上がってるけどさ。

花を供えられるシンドラーの墓
©Schindler’s List/シンドラーのリストより引用

この記事ではとりあえず全然触れてないですけど、ユダヤ人の虐殺の歴史やホロコーストを学ぶには最高の映画だと思います。

 

 

映画【シンドラーのリスト】の一言感想

朱縫shuhou

舞台となった1939年頃にはカラー映像はなかったという理由から、リアリティを出すためわざと白黒映像にしていると言われる【シンドラーのリスト】。

しかし私としては「赤い服の少女」やラストのカラフルな現代の映像も、大仰すぎて逆にサブいんですよね…。

 

総じて脚色過多。

 

 

>> 翌年(第67回)のアカデミー最優秀作品賞はこれ!

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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