【地上最大のショウ】ジェームズ・ステュアートとチャールトン・ヘストン

映画【地上最大のショウ】あらすじと観た感想。ヘストンとステュアートの無駄遣い

1952年/アメリカ/監督:セシル・B・デミル/出演:チャールトン・ヘストン、ジェームズ・ステュアート、ベティ・ハットン、コーネル・ワイルド/第25回アカデミー作品・原案賞受賞

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【地上最大のショウ】
©The Greatest Show on Earth/地上最大のショウより引用

アカデミー賞の長い歴史の中で、最も奇妙なシーズンとなった。

フレッド・ジンネマンの【真昼の決闘】、ジョン・フォードの【静かなる男】という誰の目にも優れた作品がありながら、誰の目にも冗漫なだけで取り得のないセシル・B・デミルのサーカス映画【地上最大のショウ】が作品賞を獲得した。さすがのマスコミも困り果て、「受賞理由、不明」などと報じた。

出典:「20世紀の映画」

そうなんです。

チャールトン・ヘストンジェームズ・ステュアートなどのビッグ・スターが出演している上、テントや空中ブランコなどの大セットから煌びやかな衣装、犬・猿などの小動物、ライオン・トラなどの猛獣、象・キリン・カバなどの大型動物といった動物たちまで、テレビでは決して見ることのできない大迫力のサーカスの舞台を本物さながらに見事に再現しているにもかかわらず、批評家からの評価は激烈低い映画なんです。

アカデミー最優秀作品賞受賞作といってもその受賞理由について、かくの通り「なんでか分からん」なんて言って皮肉られちゃう始末。

 

確かに…面白いのは面白いけど【真昼の決闘】より面白いかって聞かれると正直………。

朱縫shuhou

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第82回アカデミー賞における【ハート・ロッカー】VS【アバター】の時にも似たような現象が起こっていたし、まあ100年にも及ぼうかという歴史ある賞レースですから色んなことがありますわいな。

一応 アカデミー最優秀作品賞獲得してます、【地上最大のショウ】です。

 

 

映画【地上最大のショウ】のあらすじザックリ

サーカスのことを第一に考える経営者としての模範のようなブラッドは、年間興行を勝ち取るためプレイボーイだが並外れた知名度と実力を備えた空中ブランコ乗り、ザ・グレート・セバスチャンと契約する。1400人ものサーカス団員と動物たちを乗せた列車はサーカスを待つ人々のもとへ走り出す。

 

 

とにかく圧巻のサーカス描写

とにかくサーカスの映像がすごい!

「いやもう、そんなに結構です」って逆に恐縮してしまうくらい、ナレーターが全編通してサーカスの内側を文芸的に美しく説明してくれるというオマケつき。

風雨にも負けずにテントを張る作業はスピードが肝心なのだ。どんな災厄が襲い掛かっても跳ね返せるものでなければならない。
サーカス列車はあらゆる動物と団員の夢を乗せて走り出すのであった。

こんな感じでね、逐一説明してくれるんですよ。

おのずと楽し気な興行の陰にある団員の苦労が思い浮かびます。

 

【地上最大のショウ】
©The Greatest Show on Earth/地上最大のショウより引用

主演のチャールトン・ヘストンの真後ろをデカい象がのっしり歩いてたり、ネットなしの120m上空でアクロバティックな空中ブランコショーが繰り広げられたり…もちろんちょいちょい合成丸出しシーンは出てきますが、それもまた醍醐味。

 

「サーカス」といえば、私は人生で一度だけしか見たことがありません。

日本でです。

朱縫shuhou
テントは大きなのがひとつだけで、動物はと言えば縄跳びするプードル犬と火の輪くぐりのライオンくらいしかいなかったような…。

 

そんなスケールのサーカスしか想像できないものだから、無数のテントが設置され敷地内には屋台まで出店していて活気満点の【地上最大のショウ】のサーカス描写はますます楽しい。

満員のテントの中では売り子がポップコーンや綿菓子を持って練り歩き、美女を乗せた象たちが上手に芸をしてみせ、馬の背に猫を乗せた犬が乗り狭いステージを疾走し、おもちゃのような車からは体をくにゃくにゃに丸めたピエロが出てきて会場を沸かせます。

【地上最大のショウ】
©The Greatest Show on Earth/地上最大のショウより引用

ショーのクライマックスともなれば団員は豪華絢爛な衣装に着替えテントの内外を盛大にパレード。

「僕映画館にサーカス見に来ましてん」という軽いノリでも十分楽しめる映画です。

 

 

団員達の人間模様は完全におまけ

一方で【地上最大のショウ】のストーリーについてですが、発想の順番としてはどんな感じで思いついたんでしょうねえこれは一体?

①サーカスを舞台にした映画を作りたい!サーカスの場面はリアリティー溢れる豪華なものに!
②サーカスだけじゃあれやな…ちょっと人間関係適当にくっつけてみるか。

私は絶対こんな感じだったと予想してます。

だって人間関係が後付けとしか思えないくらい適当なんだもん。

 

ボスと2人の花形空中ブランコ乗りの三角関係

サーカス団の責任者ブラッド(チャールトン・ヘストン)と空中ブランコ乗りのホリー(ベティ・ハットン)は恋人同士でしたが、新しく雇い入れた凄腕の空中ブランコ乗りザ・グレート・セバスチャン(コーネル・ワイルド)がひと目でホリーを気に入りちょっかいをかけてきます。

そこでホリーが煮え切らない態度を取るものだから、三人の関係はどんどん悪くなっていくんです。

【地上最大のショウ】チャールトン・ヘストン
©The Greatest Show on Earth/地上最大のショウより引用

どう考えてもこの恋愛においてはホリーがトラブルメーカーで間違いない。

責任者としてごくごく正当なことを言っているブラッドのことを全然理解しようとしないし、セバスチャンがショーでケガをすればセバスチャンに「愛してる!」とすり寄り、ブラッドが列車事故で瀕死の状態になればブラッドに「やっぱりあなたを愛してる!」と駆け寄り…。

何なのよこの女。

 

決してメイクを落とさないピエロの過去

“四六時中メイクを落とさないピエロ”バトンズ役のジェームズ・ステュアートは、ピエロのメイクや風体がめっちゃハマっています。

ジミー(ジェームズ・ステュアートの愛称)が演じた役柄の中で、【ハーヴェイ】の時の次に好きです。

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実態化したらこんな感じのハーヴェイ
【地上最大のショウ】ジェームズ・ステュアート
©The Greatest Show on Earth/地上最大のショウより引用

しかし惜しい。

「実はバトンズは過去に犯罪を犯したお尋ね者で、サーカスで働いている理由は四六時中ピエロのメイクをして素顔を見せなくても誰にも怪しまれることがないから」というサーカスが舞台の映画ならではのユニークな設定を活かしきれておらず、しかもそのバトンズの秘密の回収の仕方がめっちゃ雑

あのおかしな女(ホリー)の三角関係を追うくらいなら、バトンズの過去をもっと掘り下げれば良かったのに。

 

 

映画【地上最大のショウ】の感想一言

【地上最大のショウ】チャールトン・ヘストン
©The Greatest Show on Earth/地上最大のショウより引用
朱縫shuhou

なんと【地上最大のショウ】の時、チャールトン・ヘストン29歳!

【十戒】の時が34歳くらいですから、私が知る限りでは一番若い頃の映画です。さすがセシル・B・デミル監督をして「まるでミケランジェロの彫刻のようだ」と言わしめた大スター。すでに美しさが完成されています。

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映画【十戒】で海ぱっかーんなるシーンのチャールトン・ヘストン(モーセ)

 

>> 翌年(第26回)のアカデミー最優秀作品賞はこれ!

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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