1949年/アメリカ/監督:ラオール・ウォルシュ/出演:ジェームズ・キャグニー、エドモンド・オブライエン、ヴァージニア・メイヨ、マーガレット・ワイチャーリイ、スティーブ・コクラン
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

「ギャング」と言えば【ゴッドファーザー】のように(企業で言うたらグループ会社とか子会社孫会社とかその家族もみんな含んで)数百人にものぼる一代組織を想像しますけど、本作に出てくるギャングはほんの数人で構成される「窃盗団」くらいのイメージです。
警察や政府ともうまく渡り合って堂々とニューヨークに居を構えていた【ゴッドファーザー】のコルレオーネファミリーとは違い、本作の「窃盗団」は日替わりで隠れ家に潜んだり仲間と分散して逃げたりして細々と(?)悪事を働いています。
1972年/アメリカ/監督:フランシス・フォード・コッポラ/出演:マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ジェームズ・カーン、ロバート・デュバル、ジョン・カザール、タリア・シャイア、ダイアン・キートン、リチャード・カステラーノ、モーガナ[…]
まあ【ゴッドファーザー】はイタリア系移民を中心にした犯罪組織を意味する「マフィア」と呼ばれる集団なんで、厳密にはちょっと違うんでしょうが。
【白熱(1949)】です。
映画【白熱(1949)】のあらすじザックリ
マザコンのジェームズ・キャグニー率いるギャング団
「ギャング映画と言えばジェームズ・キャグニー、西部劇と言えばジョン・ウェイン」って並び称されるくらいギャング映画で人気を博したジェームズ・キャグニー主演作。

英語は親父に連れてってもらった映画で覚えた。
ボガート、キャグニー…彼らに教わった。
出典:【スカーフェイス】字幕
って言ってるのはこの人のことです。
1983年/アメリカ/監督:ブライアン・デ・パルマ/出演:アル・パチーノ、スティーブン・バウアー、ミシェル・ファイファー、ロバート・ロッジア、メアリー・エリザベス・マストラントニオ、F・マーリー・エイブラハム注※このサイトは[…]
念のために書いておくと「ボガート」ってのは【カサブランカ】、【アフリカの女王】のハンフリー・ボガートね。
1942年/アメリカ/監督:マイケル・カーティス/出演:ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ、コンラート・ファイト/第16回アカデミー作品・監督・脚色賞受賞注※このサイトは映[…]
1951年/アメリカ・イギリス/監督:ジョン・ヒューストン/出演:ハンフリー・ボガート、キャサリン・ヘップバーン、ロバート・モーレイ、ピーター・ブル、セオドア・ビケル、ウォルター・ゴテル/第24回アカデミー主演男優賞受賞注※[…]
それぞれキャラが立ってる
ギャング団のボス、コーディ・ジャレット(ジェームズ・キャグニー)は、丸腰の鉄道員や負傷して足手まといになった仲間を容赦なく殺す非情で残虐な男。

で、マザコン。
めっちゃ麗しい嫁はんバーナ(ヴァージニア・メイヨ)がいるにもかかわらず信頼しているのはオカン(マーガレット・マイチャーリー)だけ。

オカンもオカンで、息子のコーディがこんなマザコンの悪党になったのはこのオカンのせいであることが容易に想像できるようなダメ親。甘やかすわ悪いことを勧めるわ。
コーディが持病の頭痛に襲われた時には優しく頭をさすり、口癖は「世界一の男におなり(悪名可)」。
オカンが殺されたことを知った時のコーディの自我を完全に喪失した暴れっぷりは気持ち悪いとしか言いようがない。この演技が一番「白熱」してたんちゃうか。
「非情なギャングのボスがマザコン」と言うまさかの展開に対して、コーディの嫁はんの「実は組織内の幹部と不倫してて夫の失脚を狙ってる悪い女」って設定は想定内過ぎやけども。

もっと最初は【イヴの総て】ん時のアン・バクスターくらい可憐な女性で行って欲しかったかな。登場した瞬間から「絶対この女ワルイ」って視聴者全員思うやろこんなん。
まあ演じたヴァージニア・メイヨがね、悪女顔なんですよね。
ウィリアム・ワイラーの【我等の生涯の最良の年】でも勲章目当てで兵隊と結婚して兵役の高給で好き放題する奔放な妻マリーを演じてましたしね、こーゆー役似合いすぎ。
1946年/アメリカ/監督:ウィリアム・ワイラー/出演:マーナ・ロイ、フレドリック・マーチ、ダナ・アンドリュース、テレサ・ライト、ヴァージニア・メイヨ、キャシー・オドネル、ハロルド・ラッセル/第19回アカデミー作品・監督・主演男優・[…]
オカンの死後コーディが弟のように信頼するようになる潜入捜査官のハンク・ファロン(エドモンド・オブライエン)の趣味は釣りで、休暇には釣りを楽しむ、との伏線も後半で綺麗に回収されます。
列車強盗や刑務所内での計画的殺人未遂、そして何と言ってもラストのガスタンクの爆発シーンなど、派手なアクションに目を奪われがちですが、私はこの細かいキャラクター設定が割と気に入ってます。
拳銃で後頭部こづかれると一瞬で意識は飛ぶのか要検証
ところで、殴られる時の「バシッ」とか言う擬音って、いつ頃から足されるようになったんでしょうね?
【白熱(1949)】の頃はまだそんな効果音ついてなくて、殴る人がぶんっと手を振り回したら殴られた人が音もなくポテッと倒れます。まったく迫力なくて興ざめするけどちょっと笑える。
それと同類項として、拳銃で後頭部を殴られた人がコテンと意識を失う描写もたくさん出てきてどんどんおもろなってくるよ。ぷぷ。
Googleストリートビューや!当時の警察の捜査方法
【白熱(1949)】には当時最先端の警察の捜査方法が映し出されます。
碁盤の目のようになった市街地を走るコーディ達の車を尾行に気付かれないように3台の車で追い込む「ABC作戦」や、発信器を付けた車の電波を2台の別の車で受信して距離と方向を割り出す手法など、GPSなんてなかった時代に結構警察頑張ってる。

頑張ってるのは認めるがしかし、この受信機ってのがね、車の屋根の上に乗ってる輪っか状の機械なんですけど、いやいや、目立ち過ぎ。Googleマップのストリートビューを撮影する車みたい。
…別に目立ってもええんか。
遠距離から電波受信して位置を特定するだけやから。知らんけど。
映画【白熱(1949)】の感想一言
潜入捜査官に心を許して裏切られる犯罪者を扱った映画として近年で有名なのは【レザボア・ドッグス】ですよね。
ジェームズ・キャグニーの演技もいいけど、やっぱり騙されてたことが分かった時の気の毒さでミスター・ホワイト(ハーヴェイ・カイテル)の右に出る者はいないと思います、必見。
1992年/アメリカ/監督:クエンティン・タランティーノ/出演:ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、クリス・ペン、スティーヴ・ブシェミ、ローレンス・ティアニー、エディ・バンカー、クエンティン・タランティーノ[…]
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