1967年/アメリカ/監督:アーサー・ペン/出演:ウォーレン・ベイティ、フェイ・ダナウェイ、ジーン・ハックマン、マイケル・J・ポラード、エステル・パーソンズ、デンヴァー・パイル、ジーン・ワイルダー/第40回アカデミー助演女優・撮影賞受賞
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【ワイルドバンチ】、【イージー・ライダー】、【カッコーの巣の上で】などに代表される1960年代の後半から1970年代にかけて隆盛を極めた「アメリカン・ニューシネマ」の先駆的作品。
1969年/アメリカ/監督:サム・ペキンパー/出演:ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン、エドマンド・オブライエン、ウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソン、ジェイミー・サンチェス注※このサイトは[…]
1969年/アメリカ/監督:デニス・ホッパー/出演:1969年/アメリカ/監督:デニス・ホッパー/出演:ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー、ジャック・ニコルソン、アントニオ・メンドーサ、カレン・ブラック注※このサイトは映画[…]
1975年/アメリカ/原作:ケン・キージー/監督:ミロス・フォアマン/出演:ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー、クリストファー・ロイド、ダニー・デヴィート、ウィル・サンプソン、ウィリアム・レッドフィールド、ブラッド・ドゥー[…]
アメリカ中を駆け抜けた実在の銀行強盗カップル、ボニーとクライドに扮したフェイ・ダナウェイとウォーレン・ベイティ(ついでに個人的にはクライドの兄バックを演じたジーン・ハックマン)がとにかくクール過ぎてもんどりうってしまうクライム・ムービー。
ウォーレン・ベイティはボニー役に当時自分が付き合ってたレスリー・キャロンを推してたそうですけど、絶対あかんでしょそんなもん。歴史が変わってしまうところでしたね、危ない危ない。
ボニーは絶対フェイ・ダナウェイでお願いします。
後に数々のオマージュ作品(映画に限らず)を生み出したことでも知られる影響力の半端ない名画、【俺たちに明日はない】です。
衝撃のラストが有名な映画【俺たちに明日はない】のあらすじザックリ
ボニー・パーカーとクライド・バローの実話を元にした映画
【俺たちに明日はない】の主人公の恋人たち、ボニーとクライドは実在の人物です。
ボニーとクライドは、1930年代前半にアメリカ中西部で銀行強盗や殺人を繰り返した、ボニー・パーカーとクライド・バロウからなるカップルである。
ルイジアナ州で警官隊によって射殺されるまで、沢山の殺人に関与し、数え切れないほど多くの強盗を犯した。当時のアメリカは禁酒法と世界恐慌の下にあり、その憂さを晴らすように犯罪を繰り返す彼等の事を凶悪な犯罪者であるにも拘らず、新聞も含めて英雄視する者も多かった。後にボニーとクライドの犯罪は何度か映画化された。
出典:Wikipedia
1934年に銃殺された時、ボニーは23歳、クライドは25歳でした。
ラストだけじゃない!破滅に向かう恋人たちがカッコいい
あかんのですよこの映画は。
やっぱりどないしたってカッコよすぎる。
私もちょっくら銀行強盗でもしてみるかな…。
若い頃とか、絶対こんな風に憧れるでしょうよ。(←憧れた)
実際「彼らは貧乏人からは金を巻き上げることがなかった」なんて英雄的エピソードも残ってるし、映画でもそのように描かれています。日本で言うたらネズミ小僧的な?義賊ですわ。
いやだからって人は殺したらあかんしやな、美談とちゃうんやからよ。
あかんでこんなに美化して映像化したら。
カッコよく描きすぎ!
血に染まるオープニング
衝撃のラストばかりが有名な映画ですが、ボニーとクライドの写真と共に浮かび上がる白抜きのタイトルが真っ赤な血の色に染まって消えて行くオープニングからすでに雰囲気あります。すごい好き。
出会っていきなり恋に落ちるボニーとクライド
家でゴロゴロ惰眠をむさぼってるボニー(フェイ・ダナウェイ)。
ぼちぼち仕事の時間っぽいのに、(メイクだけはばっちりだけど)素っ裸のまま落ち着かない様子で部屋の中を行ったり来たり。
意味もなくイライラしてベッドの金具をバンバン殴り、外の世界を睨みつけるボニーは、まるで牢屋に閉じ込められた囚人のよう。
こんな目ヂカラレスリー・キャロンでは無理やったでしょ。
若者にありがちな「満たされない毎日」に辟易していたボニーは、母親の車を盗もうと自宅の庭をウロウロしていたクライド(ウォーレン・ベイティ)を見つけ、一瞬で恋に落ちます。
かっこええなあオイ!
あかんてだから、落ちる落ちるもう、恋に!恋によ!
そらボニーもついて行きますわ。
ソースが分からない謎の設定「ED」
【俺たちに明日はない】は実際の事件よりかなり美化されて変更してる部分があるみたいですけど、一番よく分からないのが「クライドはED(勃起不全)」って設定。
いくら調べてもクライドがEDだったなんて記録は見つからない…。
完全に映画用の脚色なんでしょうか。
でもクライドをEDにしたお陰で、「女としての」喜びを与えてもらえないボニーの、恥ずかしいような情けないような複雑な心情がよく伝わってきます。隣に眠る(ホントは寝たふりしてる)クライドを見つめ、一人でため息をつくボニーが切なすぎ。
ラストでようやく結ばれた2人の子供のようなはしゃぎっぷりにも感動します。
ちゃんと愛を確認し合えて嬉しかったのはむしろクライドの方で、ボニーを抱けたことで彼女に向かって
って言ったりしてる。
なんてかわいいんや君は。
仲間が増えて「バローズ・ギャング」に成長
自動車の整備ができるC・W・モス(マイケル・J・ポラード)やクライドの兄バック(ジーン・ハックマン)とその妻ブランチ(エステル・パーソンズ)も引き込んで、ボニーとクライドの銀行強盗団は「バローズ・ギャング」と呼ばれ世間を騒がせるようになります。
クライドやバックが育ったバロー家は犯罪には寛容と言うかなんと言うか、作中でも追われる身である彼らを歓待するような描写がありますけど、実際に匿ってくれたり力を貸してくれたりしてたみたいです。
殺人はあかんでしょうけど、強盗くらいやったら「世の中が悪い」でまかり通った時代だったんですかね。家もなく川沿いでキャンプを張って生活しているホームレスのような集団も出てきますし、世界恐慌が生み出した英雄ですわね。
一番可哀想なのはバックの妻ブランチ
【俺たちに明日はない】で一番気の毒な人はバックの妻ブランチでしょう。
空気は読めないしワーキャー騒がしいし困った時には泣き落とすし、ボニーじゃなくてもウザいことこの上ないキャラクターですけど、現実問題「ちょっと弟に会う」って言ってただけの旦那について行ったらいきなり強盗団に加入するハメになるってどんな道理やねんって思いますよね。
愛するバックは死んでまうし。自分は(多分)失明するし。
親父は牧師だってのに、前世でどんなけ悪い行いしたらこんなにツキのない人生を送れるんや。
エキセントリックに縦列駐車をキメるC・W・モス
良く言えば無邪気でかわいい、悪く言えばただのノータリンであるC・W・モス。
クライドとボニーが銀行強盗に行っている時のモスの華麗な縦列駐車には誰もが吹き出したことでしょう。
あ、空いた空いた!
よっこいしょ…っと。
ぴし。
て 寸分違わず停めてる場合か。
笑いごとちゃいますよホンマに。
このモスの不手際のせいで逃げ遅れ(すぐに発進できなかった)、ついにクライドは初めての殺人を犯してしまい、ここからどんどん歯止めが効かなくなって行くんですから。
最終的にはボニーとクライドはモスのオトンのお陰で蜂の巣にされるワケやし、やっぱりこの時点でこのノータリンは破門にしておいた方が良かった。
嘘みたいなラストが実は一番事実に近い
さて、波乱万丈の強盗人生の果てに、何発もの銃弾を浴びせられて仲良く死ぬことになるボニーとクライドですが、この嘘みたいにドラマティック(て言うてええのかどうか)な終焉こそが意外ともっとま真実に近いみたいです。
映画みたいにモスのオトンが自動車のパンクを装って2人を油断させていたのかどうかは定かではありませんが、87発もの弾痕のあるボニーとクライドが最後に乗っていた車が今でも残っています。
こんなに撃たれるなんてしかし普通じゃないよね…撃った警察官の中に同僚が殺された人物でもいて恨みがあったのか…。
映画ではみんなでおちょくったテキサス・レンジャーの恨みを買って執拗に追い回され蜂の巣にされたことになってますけどね。
そんな調子に乗っておちょくったりするからあ~…。
映画【俺たちに明日はない】の感想一言
2人(バローズ・ギャング)が生涯殺した人数は13人だそうです。
立派な「大量連続殺人犯」ですね。
まっとうに生きてる人より少なからずこういった型破りな悪党に惹かれてしまう人間の心って、一体どんな作りになってるんでしょう。
カッコええなあ~。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。