【ハンガー(1983)】カトリーヌ・ドヌーヴ

映画【ハンガー(1983)】ドヌーヴとボウイにどっぷりハマる

【ハンガー(1983)】カトリーヌ・ドヌーヴ

1983年/イギリス/監督:トニー・スコット/出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、デヴィッド・ボウイ、スーザン・サランドン、クリフ・デ・ヤング、ベス・エラーズ、ダン・ヘダヤ、ベッシー・ラヴ

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【ハンガー(1983)】カトリーヌ・ドヌーヴ
©The Hunger/ハンガーより引用

本日の映画について、私はずーっと、実に10年以上、リドリー・スコットが監督だと思っていました。

助手

逆逆!(「逆」ってなんやねん)

2012年に投身自殺を遂げた弟のトニー・スコットの方ですやん!

ええ、ええ、おっしゃる通りなんですけど、だってトニー・スコットっつったら【トップガン】【トゥルー・ロマンス】ですよ?

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リドリー・スコット改め(改めたのは私だけ)トニー・スコットの初監督作品、【ハンガー(1983)】です。

参考 Hunger=飢え、飢餓、渇き、渇望

 

 

 

映画【ハンガー(1983)】のあらすじザックリ

深夜のニューヨーク。何世紀以上もの時を生きる吸血鬼ミリアムは、時代ごとに愛する人間を見つけてはその不老不死の血と永遠の美を与え伴侶にしてきた。そして彼女の現在の伴侶がジョンであった。美と贅の限りを尽くす二人だったが、突然、ジョンに老化の兆候が現れはじめる。

 

 

カトリーヌ・ドヌーヴにデヴィッド・ボウイ(にスーザン・サランドン)て!

私は当サイト「天衣無縫に映画をつづる」で、しばしば「ヒロインが可愛くない」だの「きったないおっさん」だの、登場人物の容姿について悪態をついたりしています。

 

でもそれって仕方ないジャナイ?

十人並みの女の子やきったないおっさんだったら身近にたくさん居るジャナイ?

映画を観ている時くらい実生活では一生お目にかかれないほどの信じられない美貌の人間を堪能したいジャナイ?

 

そんな飽くなき「美」への探求心を(そんなにええもんか)満たしてくれるのが本日の映画【ハンガー(1983)】。

どいつもこいつもクッソ美しい。

冒頭のクラブで歌う「Bauhaus バウハウス」からして、その夜霧のような妖しげな美しさでもっていきなりゴシック・ホラーの世界に引きずり込んで行ってくれます。

【ハンガー(1983)】バウハウス
©The Hunger/ハンガーより引用

いや【ハンガー(1983)】は「吸血鬼が出てくる」ってだけで別にゴシック・ホラーじゃないんだけどね?舞台は1980年代のニューヨークのはずなのになぜか全編に近代ゴシック・ホラー感(なんやそれは)が漂っているんですよ。

 

ちなみにこの時バウハウスが歌っているのは「Bela Lugosi’s Dead ベラ・ルゴシの死」という曲です。文字通り【魔人ドラキュラ】でドラキュラ伯爵を演じたベラ・ルゴシについて歌った歌。もう無茶苦茶カッコいい。時間ない時はここだけ観てDVDの電源落としてもいいくらいカッコいい。

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【魔人ドラキュラ】ベラ・ルゴシ
Bela Lugosi’s Dead – Bauhaus 12″

 

そのバウハウスが歌うクラブに“獲物”を物色するミリアム・ブレイロック(カトリーヌ・ドヌーヴ)とジョン・ブレイロック(デヴィッド・ボウイ)の2人が現れた日にゃあ審美眼メーター振り切っちゃう。

【ハンガー(1983)】カトリーヌ・ドヌーヴとデヴィッド・ボウイ
©The Hunger/ハンガーより引用

ミリアムは何世紀も生きている吸血鬼で、ジョンはその愛人。数百年前ジョンの前に現れたミリアムは、自らの血を吸わせることでジョンにも永遠の若さと命を与え、それ以来彼と共に生きているのでした。

しかしある日、ジョンの体にだけ老化の兆候が見られ始めます。どうやら不老不死であるのは“真祖”であるミリアムだけで、ミリアムに血を吸われた者の「不老」の効力は数百年程度であるらしい。

【ハンガー(1983)】デヴィッド・ボウイ
©The Hunger/ハンガーより引用

一度衰え始めたジョンの体は留まるところを知らず、これまでのツケとばかりにみるみるうちにシワシワになっていきます。

 

苦悩するデヴィッド・ボウイ。

表面的には彼に同情してるけど内心「次の愛人」を探してワクワクしてるのがバレバレの鬼畜カトリーヌ・ドヌーヴ。

2人が暮らす大邸宅にはためく長いカーテン

【ハンガー(1983)】カトリーヌ・ドヌーヴ
©The Hunger/ハンガーより引用

どれを取っても美しいものだらけ。

 

どうしようもなく哀しい場面

何とか自身の老化を止めようと、ジョンは人類の老化現象研究の第一人者であるサラ・ロバーツ医師(スーザン・サランドン)を訪ねます。しかしサラは非現実的なことばかり口にするジョンを相手にしません。

サラのことを待つ間にもジョンの老化は止まらない。

【ハンガー(1983)】デヴィッド・ボウイ
©The Hunger/ハンガーより引用

ブレイロック邸にバイオリンのお稽古に通っている少女アリス(ベス・エラーズ)と、すでに「お爺ちゃん」と化したジョンの会話がどうしようもなく物悲しい。

アリス

あなた誰?

分かった!ジョンのお父さんでしょう!

ジョン

ちゃう。

ただの友達や。

アリス

嘘やん、だって目元がジョンにそっくり!

ジョン

そうか…?

長い付き合いなのに気付けへんかったわ…。

もう「ジョンのお父さん」で良いと思いません?

「ジョン本人」であることがバレなければ良いワケでしょ?

「ジョンのお父さん」ってことにしとくのが一番手っ取り早いじゃないですか。背格好も同じなんだから。

 

それなのにジョンはどうして「友人だ」って言ったんだろうって考えると、「こんな俺は俺じゃない(血の繋がりがある“父親設定”でさえも耐えられない)」って足掻いているようで可哀想すぎて観てられなくて、この場面は地味に一番記憶に残っています。

 

 

永遠の闇の中で見たり聞いたり感じ続ける地獄

このまま行ったらジョンの体はボロボロに崩れて砂になって消滅してしまうんじゃないかと思いきや、週に一度人間の生き血を吸って何百年も生きてきた代償はそんな甘いものではありませんでした。

ミリアム曰く、ミリアム本人もミリアムの血を与えられた愛人たちも、“解放”されることはないんだそうです。

 

つまり“死ねない”

 

“解放”も“安眠”もあり得ず、ヨボヨボになった体とすり減った精神の奥底で、「永遠の闇の中で見たり聞いたり感じ続ける」んだってさ。嘘でしょそれってホントに“生き”地獄。

【ハンガー(1983)】カトリーヌ・ドヌーヴとデヴィッド・ボウイ
©The Hunger/ハンガーより引用

しかし他人の地獄なんてどこ吹く風、これまでの愛人たち同様に肉体が朽ちてしまったジョンを見限ってさっさと次の愛人候補であるサラを誘惑しにかかるミリアム。

この冷酷さがまた美しい。

【ハンガー(1983)】カトリーヌ・ドヌーヴ
©The Hunger/ハンガーより引用

ミリアムとサラが愛し合うシーンは美しい上に強烈。激しいんじゃないんだけど言うなれば“低温やけど”って感じ。ジンジンジンジン冷めない熱を押し当てられているような。

情熱的だけどなんとなくこんなセックスしたくない。一生抜け出せなくなりそう。

【ハンガー(1983)】カトリーヌ・ドヌーヴとスーザン・サランドン
©The Hunger/ハンガーより引用

 

こんなところにウィレム・デフォー

余談ですが、サラが公衆電話で話している時にナンパしてくるお兄ちゃんは若きウィレム・デフォーです。

【ハンガー(1983)】スーザン・サランドンとウィレム・デフォー
©The Hunger/ハンガーより引用
ウィレム・デフォー
おネエちゃん一発どないや。

セリフ一言、出演時間1秒前後ですのでお見逃しなく。

 

 

映画【ハンガー(1983)】の感想一言

朱縫shuhou

例えミリアムみたいに「不老」だとしても、私は「不死」にはなりたくないです。

人生なんて終わるからこそ美しいんでしょうに。

 

…あれ?

じゃあ「終わらない」ミリアムやジョン(彼は最終的には朽ちるけど)は「美しくない」ってこと?

 

本文と真逆の真理に辿り着いてしまった。

まあいっか。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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