1973年/イギリス/監督:ダン・カーティス/出演:ジャック・パランス、サイモン・ウォード、ナイジェル・ダヴェンポート、パメラ・ブラウン、フィオナ・ルイス、ペネロープ・ホーナー
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
さあ今日も映画でも観るか!
今日の映画はコレじゃあ~!
DVD再生!!
「衝撃的な映像を含みますので、ご注意ください」
「この作品には過激な暴力シーンやグロテスク、衝撃的な表現が含まれています。ご鑑賞の際はご注意ください。保護者におかれましては、未成年のお子様へのご配慮をお願い致します」
なんやこれは……。
こんな注釈が出てくるってことはよっぽど恐ろしい映画に違いない。どどどどどないしたらええんや…。
しゃあない、横におられるのも鬱陶しいけどウチで飼ってるゴリラを呼ぶしかないな。
ちょっと!
バナナあげるからここ座って!
何やねんもう、一人で観ろよ。
てゆうか怖いんやったら観んなよ。
はいもう黙って。
しゃべらんといて。
静かにバナナ食っといて。
これほど万全を期して鑑賞したにもかかわらず全然怖くなかったので拍子抜け。
注意書きの「グロテスク、衝撃的な表現」が指しているとおぼしきジョナサン・ハーカー(マレー・ブラウン)が串刺しになる場面も近年の映画と比較すれば取り立てて凄惨と言う訳でもない。
せっかくゴリラの体臭とかゲップとか放屁とかに耐えながら一緒に観たってのになんとなく損した気分。
はいはい。
わざわざ殺してもらわんでもいつかは死ぬわいな。
【シェーン】で主人公シェーン(アラン・ラッド)の最強の敵ジャック・ウィルソンを風格たっぷりに演じたジャック・パランスがドラキュラ伯爵に扮したTV映画、【狂血鬼ドラキュラ(1973)】です。
1953年/アメリカ/監督:ジョージ・スティーブンス/出演:アラン・ラッド、ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン、ブランドン・デ・ワイルド、ジョン・ディークス、ジャック・パランス/第26回アカデミー撮影賞受賞注※このサイトは映[…]
映画【狂血鬼ドラキュラ(1973)】のあらすじザックリ
哀しい過去を背負った系ドラキュラ伯爵
【狂血鬼ドラキュラ(1973)】はブラム・ストーカーの怪奇小説「吸血鬼ドラキュラ」を原作としています。原作との大きな違いは、ドラキュラ伯爵のモデルとされている「串刺し公」ヴラド三世を「ドラキュラ伯爵本人」にしてしまったという点。
原作小説にはヴラド三世の「戦いの歴史」だけが記述されているのに対して、【狂血鬼ドラキュラ(1973)】ではドラキュラ伯爵に瓜二つの肖像画の下に「ヴラド・ツェペシュ」という名前が彫られてしまっています。絶対本人やん。
この「ヴラド3世をドラキュラ本人に仕立て上げてしまう」設定はフランシス・フォード・コッポラ監督の【ドラキュラ(1992)】が最初だと思っていたのでちょっとびっくりしました。
【ドラキュラ(1992)】より20年も前にドラキュラ伯爵を本人だとして作られた映画があったんですね。
1992年/アメリカ、イギリス、ルーマニア/監督:フランシス・フォード・コッポラ/出演:ゲイリー・オールドマン、ウィノナ・ライダー、アンソニー・ホプキンス、キアヌ・リーヴス、リチャード・E・グラント、ケイリー・エルウィス、ビリー・キ[…]
設定は同じであっても【狂血鬼ドラキュラ(1973)】のドラキュラ伯爵は【ドラキュラ(1992)】のドラキュラ伯爵よりもかなり悲哀が滲んでいます。
もともとジャック・パランスって角度によっては半泣き顔じゃないですか。【シェーン】の時の慈悲の心を持たない犯罪者役ならまだしも、あの顔で過去の栄光にすがって生きる孤独なドラキュラ伯爵を演 られると可哀想で仕方ない。
ジャック・パランス版ドラキュラは結構メンタルも弱いんですよね。
せっかく死んだ妻に激似のルーシー(フィオナ・ルイス)の血を吸って仲間に引き入れたと言うのに、すぐさまヴァン・ヘルシング(ナイジェル・ダヴェンポート)の手で彼女を退治されてしまった時も荒れる荒れる。
心臓に杭を打たれて死んでるとはいえルーシーがまだ入ってる棺桶をバーン!て倒してそこらへんにある家具を破壊し、当たり散らす当たり散らす。
そして空を仰いで「うおーっ!」って吠える。
こんな描写が2回くらいあります。
うまくいかないことがあると喚き散らして暴れる癇癪持ちの子供みたい。
物悲しげなオルゴールの音とかつての戦闘の記憶
私としては“ドラキュラ伯爵”と云えば感情に流されたりせず何事もスマートにこなすイメージなんですけど、ジャック・パランス版ドラキュラ伯爵及びヴラド3世はどうやら戦いにしか生きられない暴君設定っぽいので、彼がスマートとは程遠い無骨な感じになっているのは狙ってのことかも知れません。。
ジャック・パランス版ドラキュラ伯爵はドラキュラ城を訪れたジョナサンに、400年前の戦場の話を嬉々として聞かせたりするんですね、夜通し。これは原作にもある描写なんですけど、他の映画化作品ではもっとさらっと流されます。
【狂血鬼ドラキュラ(1973)】ではこの場面の尺を長くすることで、ドラキュラ伯爵が過去の栄光に憑りつかれているさまがよりクローズアップされています。
鎮魂歌のようにうら哀しげで平静なオルゴールの音色をかき消すように、轟音とどろく戦闘の記憶に支配されて死んでいくドラキュラの最期はちょっと泣けます。
映画【狂血鬼ドラキュラ(1973)】の感想一言
最後に、串刺しになってるジョナサンより怖かったシーンを思い出したので書いておきます。
ひとつは、死んだはずのルーシーが窓の外から婚約者のアーサー(サイモン・ウォード)を呼ぶシーン。
「串刺しにされて辺り一面血の海」がなんぼのもんじゃい。
私は「黙ってこちらを見ている系」の幽霊(?)に滅法弱いんですよマジで!(なぜかキレてる)
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。