1931年/アメリカ/監督:トッド・ブラウニング/出演:ベラ・ルゴシ、ヘレン・チャンドラー、デヴィッド・マナーズ、ドワイト・フライ、エドワード・ヴァン・スローン
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
1920年代から1950年代にかけてユニバーサル・スタジオが巻き起こしたホラー映画ブームの先駆的作品。
原作は1897年発刊のブラム・ストーカーの怪奇小説「吸血鬼ドラキュラ」。
「吸血鬼ドラキュラ」はこれまで何度も舞台化・映画化されてきましたが、もっとも有名かつスタンダードなものとしてベラ・ルゴシ版とクリストファー・リー版が双璧をなします。
1958年/イギリス/監督:テレンス・フィッシャー/出演:ピーター・カッシング、クリストファー・リー、マイケル・ガフ、メリッサ・ストリブリング、ジョン・ヴァン・アイゼン、キャロル・マーシュ、オルガ・ディッキー注※このサイトは[…]
本日はその一端を担うベラ・ルゴシ版ドラキュラ映画、【魔人ドラキュラ】です。
映画【魔人ドラキュラ】のあらすじザックリ
1931年ベラ・ルゴシ版「吸血鬼ドラキュラ」
まあスタンダードなやつですよ。
ごくスタンダードな吸血鬼ドラキュラ伯爵を扱ったホラー映画です。
髪はオールバック、目は燃えるような赤(白黒やけど)、襟を立てた黒いマントをバサバサ羽織った紳士が美女の生き血を吸うって言うね。
一応トーキーではあるものの、1931年なんてまだまだ並行してサイレント映画も作られていたような時代。
だからあからさまに竹竿で吊って動かしてる蝙蝠 とか、俳優のサイレント映画向けの大仰な演技とかには寛容になってください。
ドラキュラ伯爵が人間の首筋に咬みつくすべてのシーンにおいて咬みつく寸前で暗転してしまうのも、まあよしとしましょう。今みたいに咬んだらへっこんで血が出るような牙の小道具もなかったんでしょうよ。
大体ベラ・ルゴシ版ドラキュラには牙ないし。
しかしね、せめてドラキュラ伯爵に咬まれた「跡」くらいは首筋につけて欲しかったねえ。
【魔人ドラキュラ】と同年に【フランケンシュタイン】が公開されてるんで、この時代でもあれくらいのメーキャップ技術はあったはずなんだけど。
1931年/アメリカ/監督:ジェイムズ・ホエール/出演:ボリス・カーロフ、コリン・クライヴ、ヴァレリー・ホブソン、メイ・クラーク、ジョン・ボリス、エドワード・ヴァン・スローン注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気に[…]
なんかね、色んな登場人物がドラキュラ伯爵の被害者らを見ては「これは!首に二つの穴が開いている!」とか言って大騒ぎするんですけど、実際映らないから白けちゃう。
どんなんどんなん?!
見せて!
見せてよ!
みたいなね。
おばちゃん気質。
ドラキュラ城に巣くうネズミ、蜘蛛、蝙蝠、アルマジロ
撮影技術が現代より低いのは当たり前の事実として、逆にどれだけ技術が発達しようともこの時代の映画には絶対敵わないのはゴシックホラーの醸し出すおどろおどろしいこの“味”、“匂い”。
ドラキュラ城もそうですけど、ゴシックホラーによく出てきたこういった“古城”ってまだあるんですかね?
それともこれらはすべて映画用のセットなの?
どちらにしても現代の技術で撮影してしまったら色々と粗が見えてしまうんだろうし、ゴシックホラーのこの“味”や“匂い”を再現するのはもはや不可能でしょう。
食べられないのに“味わい深い”。
匂えないのに“かぐわしい”。
見るからに吸血鬼が住んでいそうなドラキュラ城。
不動産取引のために訪ねてきたレンフィールド(ドワイト・フライ)がそこで目にするのは、地面を這うネズミ、巣で餌を待つ蜘蛛、闇夜にはばたく蝙蝠、うろちょろしているアルマジロ…。
アル…
アルマジロ?!(二度見)
(地味にかわいくて二度見した後ほっこりする)
怖すぎる奇病「レンフィールド症候群」
真っ先にドラキュラ伯爵に血を吸われ彼のあやつり人形になってしまう怖いもの知らずのレンフィールド君は、人の生き血を欲する吸血鬼となってしまいます。
彼にちなんで「レンフィールド症候群」と名付けられた奇病があるんですって。
レンフィールド症候群の人は血を飲むことで、エネルギーを確保できると考えている人たちで、自分で自分を切り、血を流しその血を飲むことで精神の落ち着きを取り戻しています。
中には恋人と自分の血を分け合って飲む人たちもいたそうです。
出典:お医者さんは見た!「ヴァンパイア」「ゾンビ」は歴史上存在していた
怖いですねえ~。
ヴァン・ヘルシング教授はモンスター・ハンターではありません
ところであなたは、2004年公開の映画【ヴァン・ヘルシング】をご存知でしょうか。
2004年/アメリカ/監督:スティーヴン・ソマーズ/出演:ヒュー・ジャックマン、ケイト・ベッキンセイル、リチャード・ロクスバーグ、デビッド・ウェナム、シュラー・ヘンズリー、ウィル・ケンプ、エレナ・アナヤ、シルヴィア・コロカ、ジョジー[…]
主人公のヴァン・ヘルシング氏は不死身の二枚目モンスターハンター。35歳前後のヒュー・ジャックマンが主演でね?吸血鬼やらモンスターやらバッサバッサとやっつけて、そりゃあもうカッコいいんですよ。意外と続編の噂は聞かないな。
本日の映画【魔人ドラキュラ】には、かのヴァン・ヘルシングの元ネタとなる人物が出演しておられます。
それはこの方。
ヴァン・ヘルシング教授(エドワード・ヴァン・スローン)です。
いやいや、単に同姓同名の別人とちゃいますって!
ホントに!元ネタなの!
原作に出てくる本来の「ヴァン・ヘルシング教授」はこんなおじいちゃんなの!
しかも【魔人ドラキュラ】でのヴァン・ヘルシング教授はモンスターハンターではなく、ただの生物学者かなんかです(忘れた)。
※原作小説には「精神病学の世界的大家で、現代のもっとも進歩的科学者かつ深遠な哲学者」とあります。
ただし人生を賭けて吸血鬼の研究をしているので、早い段階からドラキュラ伯爵の正体を見破って周囲の人々に注意を促します。吸血鬼には銃弾が効かないことも、トリカブトと十字架と朝日に弱いことも、殺すには寝ているところに杭を刺すしかないことも知っています。血を吸われた人間は吸血鬼の傀儡 になってしまうことも知っています。
つまり最強。
見た目はヒュー・ジャックマンには程遠いけど(しつこい)、もともとヒーロー要素はたっぷり備えた御仁 なんですね。
初老のヴァン・ヘルシング教授の活躍にもご注目ください。
映画【魔人ドラキュラ】の感想一言
「吸血鬼ドラキュラ」にはモデルとなった人物がいます。
15世紀のワラキア公国(現在のルーマニア)君主で、敵兵を生きたまま串刺しにする「串刺し刑」を好んだことから「串刺し公」と呼ばれたヴラド・ツェペシュがその人。彼の父ヴラド2世は“ドラクル公”、そしてその息子であるヴラド3世(=ヴラド・ツェペシュ)はズバリ“ドラキュラ公”とも呼ばれていたそうです。
原作小説に彼の固有名詞がはっきりと記載されている訳ではありませんが、作中でドラキュラ伯爵が語るかつての戦いの記憶がヴラド・ツェペシュの伝承と酷似しています。
ぶるぶる…。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。