- ドラマ
- 2026年3月25日
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自分の足を食いちぎった雪山のごとく白い巨大な鯨“モビー・ディック”を狂ったように追い続けるエーハブ船長(グレゴリー・ペック)と、その復讐心の渦に呑み込まれていく乗組員らを描いた物語。
興行的にも振るわなかったし、全編を通して暗澹な雰囲気ばかりが漂ってるし、その物静かで堅実なイメージとあまりもかけ離れた狂気の船長を演じたグレゴリー・ペックにしても、総じて評価の高くない無情の映画なんですけど、私はなぜか昔から大好きです。
楽天家だと思い込んでたけど意外とネクラなのかな?
【マルタの鷹】、【黄金(1948)】などのハンフリー・ボガートとのコンビで知られるジョン・ヒューストン監督作、【白鯨(1956)】です。
映画【白鯨(1956)】のあらすじザックリ
グレゴリー・ペックといえば【白鯨(1956)】
そりゃあグレゴリー・ペックっつったらあれでしょ?大多数の人が【ローマの休日】を思い浮かべるんでしょ?
もうちょっと言うたらオスカー獲った【アラバマ物語】か、せいぜい【大いなる西部】くらいのもんでしょう。
そんな中、私が「グレゴリー・ペック」と聞いて真っ先に思い出す映画はこの【白鯨(1956)】。

嘘みたいでしょ?でも本当なんです。
なぜ「グレゴリー・ペックといえばコレ」というほど印象に残っているのか。
単に映画の内容が面白かったのもあるにはありますけど、何よりグレゴリー・ペック“らしくない”役柄が強烈に脳裏に焼き付いて離れないのです。
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やっぱりイメージに合わないと思ってるんやん。
そこはそりゃ当たり前ですよ、「正義」が服着て歩いてるようなイメージのグレゴリー・ペックが、神をも畏れぬ狂気に憑りつかれたエーハブ船長だなんて、本来ならミスキャストも甚だしいってブチギレちゃう案件ですよ。
ところがその「これまでのペックのイメージじゃない」ことを当然の前提として、いざ本編を観てみるとコレが全然違和感ないんですよね。違和感がないどころか、これはこれで見事に「グレゴリー・ペックの新境地」が開拓されているとさえ思えます。
単にイメージと役柄のギャップが新鮮なだけの“ギャップ萌え”とも違うんです。“ギャップ萌え”はその“ギャップ”に対して萌えるものですが、私の脳裏に焼き付いたのはその「“あるはずのギャップ”を綺麗さっぱり無くしてみせたグレゴリー・ペック」な訳です。


ペックってこんな役も(違和感なく)できるんや!
こう悟った時の感動が余りにも大きかったため、私にとって【白鯨(1956)】は「グレゴリー・ペックの代表作」くらいの位置づけになったんだと思います。
でもこれは本当に私だけの意見であって、ほとんどの人には「【白鯨(1956)】のペックはそのイメージのギャップを乗り越えられていない」と捉えられているみたいです。
良い意味で“らしくない”素晴らしい演技してると思うんだけどなあ。
巨大な白い鯨“モビー・ディック”と闘う男達
捕鯨が盛んな港町ニューベッドフォードで暮らすエーハブ船長は、鯨に食いちぎられた片足に鯨の骨で作られた義足をはめた男。その足を食いちぎったとされるのが島の様に巨大な白い鯨“モビー・ディック”。
モビー・ディックに足を食いちぎられてからというもの、エーハブ船長は通常の鯨漁そっちのけでモビー・ディックばかりを追い続けています。

当然「モビー・ディックへの復讐心」に憑りつかれたエーハブ船長とてひとりで復讐を遂げることは不可能ですから、自身の船“ピークォド号”の乗組員たちを上手に懐柔して志を共にして行くんです。
さすが荒れる海を何度も航海してきた捕鯨船の船長。船員をノせるのも超一流。

かくして船長船員が一丸となり、モビー・ディックを目指して大海原へ漕ぎ出すピークォド号。
巨大なモビー・ディックとの戦いを映し出した合成映像も当時としてはそれなりに迫力があるし、アドベンチャー・アクションの秀作だと思います。
無駄に出てきたと思えないオーソン・ウェルズ神父
【白鯨(1956)】の評価が低い一因のひとつには宗教的要素が強すぎることが挙げられます。自分で書いておいて何ですけど、「アドベンチャー映画」みたいな軽い感じで観ちゃうと、本当の主題の深さに段々嫌になってくるかも知れません。
それはもう原作小説「白鯨」がそうなってるから仕方ないんですけども。この重いテーマの小説を映画化して万人に受け入れられようとしたこと自体が軽く失敗だったと言うか。
序盤でオーソン・ウェルズ扮する村の神父が結構な時間を割いて教会で説教をしますしね。

関係ないけどこの教会の説教台は捕鯨の町の教会らしく船の舳先のデザインになっていて素敵です。

オーソン・ウェルズ神父が長々とたれる説教の内容は、「人間が神にも等しい海に挑んだとて100%敵うわけないんやからな」という半ば脅しに近いようなもの。
そして【白鯨(1956)】には彼の説教が示した通り、イシュメル(リチャード・ベースハート)がクイークェグ(フレデリック・レデブール)の棺桶に救われたのも、ガーデナー船長(フランシス・デ・ウルフ)が息子の代わりにイシュメルを拾ったのも、すべては神の思し召しであって、人間の努力も情熱もすべては徒労に終わることを象徴するかのようなラストが待っています。
普通に考えたらこんな映画ウケへんわな。
映画【白鯨(1956)】の感想一言

グレゴリー・ペックが本来のイメージを覆す渾身の演技を見せています!
私のおすすめ映画のひとつではありますが、視聴の際には観ているこっちまで意義のない復讐心に憑りつかれてきそうな陰鬱な映画であることをご承知おきください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。





