1995年/アメリカ/監督:マイク・フィギス/出演:ニコラス・ケイジ、エリザベス・シュー、ジュリアン・サンズ、リチャード・ルイス、スティーヴン・ウェバー、エミリー・プロクター、ヴァレリア・ゴリノ、ボブ・ラフェルソン/第68回アカデミー主演男優賞受賞
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ジョン・オブライエンの同名小説の映像化作品。
描かれるのは重度アルコール依存症で人生の終焉を迎えようとする男と自分の居場所を探す娼婦の切ない愛の物語。
なんでこうなっちゃうのよ、ねえ。
なんでこうなっちゃうの?
なんで我慢できないの?
【赤ちゃん泥棒】、【天使のくれた時間】などのニコラス・ケイジが、酒ですべてを失った男を見事に演じてアカデミー最優秀主演男優賞を獲得した哀しい映画、【リービング・ラスベガス】です。
1987年/アメリカ/監督:ジョエル・コーエン/出演:ニコラス・ケイジ、ホリー・ハンター、ジョン・グッドマン、フランシス・マクドーマンド、ウィリアム・フォーサイス注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこ[…]
2000年/アメリカ/監督:ブレット・ラトナー/出演:ニコラス・ケイジ、ティア・レオーニ、ドン・チードル、ジェレミー・ピヴェン注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意くだ[…]
私は本作を観るとビリー・ワイルダーの【失われた週末】を思い出します。
1945年/アメリカ/監督:ビリー・ワイルダー/出演:レイ・ミランド、ジェーン・ワイマン、フィリップ・テリー、ハワード・ダ・シルヴァ/第18回アカデミー作品・監督・主演男優・脚本賞受賞注※このサイトは映画のネタバレしようがし[…]
映画【リービング・ラスベガス】のあらすじザックリ
アルコール依存症で何もかも失った男の最後の数週間
脚本家としてハリウッドで成功し華やかな生活を謳歌していたベン・サンダーソン(ニコラス・ケイジ)。
重度のアルコール依存症のため彼の人生は一変します。
妻と子を失い、友人を失い、仕事を失い………生きる目的がなくなったベンは、退職金代わりの小切手を握りしめラスベガスを目指すのでした。

なんでラスベガスかって?
「こうなったら死ぬまで酒飲んだるねん」って思ったから。
ラスベガスならいつでも店が開いていて酒が飲めるから。
シラフでラスベガスの街をうろつくベンは、世捨て人のようにも見えるし、なんとか立ち直ろうという気持ちがわずかに残っているようにも見えます。しかし酒を飲んだら最後、多くのアルコール依存症患者がそうであるように、完全に自分を失ってしまうのです。
ホテルのプールのガラスのテーブルに激突して体中にガラス片が刺さってもなんのその。

普通なら「痛ってーっ!」っつって酔いも醒めちゃいそうなもんでしょ?
泥酔状態のベンは違いますよ?奇跡の切り返しで大笑いしてますから。

いやおもろいけどもやな。
自分大怪我しとんのやで?
怖いよねアルコール依存症。
「相手の好きなようにさせてあげる」のは愛なのか
ある日、ラスベガスで好きなだけ酒を飲んで自堕落な日々を送るベンの前に、イカした娼婦のお姉ちゃんが現れます。
名前はセラ(エリザベス・シュー)。


1時間500ドルでどない?
自分が泊まるモーテルにセラを連れて帰ったベンは、「1時間500ドルやったらどんなプレイでもでけるで」とセラが言ってくれてるというのに、何もせず、ただベッドで一緒に寝て欲しいと願い出ます。
そりゃそうか、ほぼ常酔 い状態だからおたちにならないでしょうし。

暴力的なヒモに支配されてるセラはベンと過ごす時間に安らぎを感じます。二人はお互いを必要とするようになるのですが、普通の「愛し合う」という関係とは少し違う。お互いの傷や孤独を「理解し合う」ような特別な関係が生まれます。
セラはね、なんと、ベンの別れた妻やほとんどの女性がそうであるように「ベンの体を気遣って飲酒を止めさせようとする」なんてことをしないんですよ。
それどころかベンにイカした酒瓶をプレゼントしたりするんです。
「好きなだけ飲んでいいのよ」と言わんばかりに…。

完璧にベンの選択を受け入れるセラ。
普通は愛しい人には健康で長生きして欲しいじゃない。体を壊して苦しんでる姿なんて見たくないじゃない。
でもね、この酒瓶をプレゼントしてもらった時のベンの表情がたまらなく愛おしいんですよ。
ベンとて大事な人から「好きなだけ飲んでいい」なんて言われたことはなかったんでしょう。ニコラス・ケイジはこのシーンの演技でオスカー獲ったんちゃうか思うくらい、たまらない表情で、セラからのプレゼントを受け取るんです。
こんな表情 が見られるならなんでも望むようにしてあげたい…かなり刹那的なものではあるけれど、好きな人にはこう思って当然でしょう。

究極の愛の形ってこうなの?
破滅を選択した人間を愛してしまうって、いったいどんな気持ちなんでしょうね。
映画【リービング・ラスベガス】の感想一言
破滅に向かって駆けて行くベンの姿を通じて【リービング・ラスベガス】が問いかけるのは、愛の可能性と限界。
ベンとセラは愛し合っていますが、一般的な恋愛の枠を超越しています。セラは愛するベンを救おうとしない。ただ彼の傍にいて、破滅してゆくのを見てるだけ。
でもそれは「救うこと」=「生きること」と仮定した場合の話しであって、セラが自分の選択を受け入れ最期まで傍に居てくれたことがベンにとっての救いだったのかも知れません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。