【偉大なるアンバーソン家の人々】オーソン・ウェルズ

【偉大なるアンバーソン家の人々】物語もカットされたフィルムも悲劇的

【偉大なるアンバーソン家の人々】オーソン・ウェルズ

1942年/アメリカ/監督:オーソン・ウェルズ/出演:ジョゼフ・コットン、ドロレス・コステロ、アン・バクスター、ティム・ホルト、アグネス・ムーアヘッド、レイ・コリンズ、オーソン・ウェルズ

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【偉大なるアンバーソン家の人々】オーソン・ウェルズ
©The Magnificent Ambersons/偉大なるアンバーソン家の人々より引用

26歳の若さで「映画史上屈指の傑作」とされる【市民ケーン】を撮りあげた“呪われた天才”オーソン・ウェルズ

彼が処女作【市民ケーン】の次に手掛けた映画。

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【市民ケーン】オーソン・ウェルズ

オーソン・ウェルズが“呪われた天才”と呼ばれることについては同じく彼の監督作【黒い罠】の記事でごにょごにょと述べ立てておりますので参照ください。

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【黒い罠】オーソン・ウェルズ

 

要するにオーソン・ウェルズはハリウッドと相性が悪かった訳なんですけど、本日の映画もやっぱり酷い目に遭っています。

いい加減にしてよもう、【偉大なるアンバーソン家の人々】です。

 

 

 

映画【偉大なるアンバーソン家の人々】のあらすじザックリ

1873年アメリカ。大富豪アンバーソン一族の娘イザベルは、ユージーンの求婚を断りウィルバーと結婚する。やがて授かった一人息子のジョージは甘やかされて育ったせいか傲慢な性格に成長してしまう。ある舞踏会でジョージが惹かれた美しい女性ルーシーの父親は、かつて母イザベルを愛したユージーンだった。

 

 

大富豪アンバーソン一族の光と影

歴史的な大発明から身近なファッションに至るまで、激しく時代が移り変わっていた19世紀末。

華やかな大富豪のアンバーソン一族とて例外ではなく、すべてがゆっくりと時代の波に飲み込まれて行きます。

【偉大なるアンバーソン家の人々】オーソン・ウェルズ
©The Magnificent Ambersons/偉大なるアンバーソン家の人々より引用

新聞王チャールズ・フォスター・ケーン(実在の新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストがモデル)の栄華と没落を描いた【市民ケーン】に近い内容ですが、【偉大なるアンバーソン家の人々】には敗者だけでなく“成功者”も出てきます。

「馬無しで走る自動車の発明に心血を注ぐ変人」ユージーン・モーガンがその人。演じているのはオーソン・ウェルズの盟友ジョゼフ・コットン

【偉大なるアンバーソン家の人々】オーソン・ウェルズ
©The Magnificent Ambersons/偉大なるアンバーソン家の人々より引用

得体の知れないオートモービルの試作機を乗り回していた彼が大きな自動車工場を建てて大金持ちになる頃、資産管理のまったく出来ていなかったかつての大富豪アンバーソン一族は、スッテンテンになって自分達の広大な地所も手放さざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。

 

浮いてるラスト…切るならここだったろ

【偉大なるアンバーソン家の人々】が悲劇的なのはストーリーだけではありません。

何が悲劇的かって、まあちょっと聞いてくださいな。

私の所有するDVDの上映時間は88分。いや私の所有するDVDだけでなく、Blu-rayだろうが動画配信サービスだろうが現在視聴できるのは88分バージョンだけ

助手
………当たり前やん?

ええ普通はね。「ディレクターズカット版」や「完全版」でもない限りどれも同じ長さで然るべきところだけども。

実際はもっと長かったはずのオーソン・ウェルズが撮った【偉大なるアンバーソン家の人々】は、最終編集権を持っていた製作会社のRKOによってブッチブチにぶった切られているんです。

しかも驚くべきことに、編集によってカットされた時間は40分以上と言われています。

 

40分以上カットってどんなんやねん。

 

そしてどこやねん。どこをどうカットしとんねん。

観られないならせめてそれだけでもいいから教えて欲しい。

【偉大なるアンバーソン家の人々】オーソン・ウェルズ
©The Magnificent Ambersons/偉大なるアンバーソン家の人々より引用

私は大幅にカットされているのは終盤なんじゃないかと想像しています。じっくり見応えのある序盤~中盤とは違って、終盤はかなり駆け足で編集されている感じがしますから。

あとラストの病院のシーンさあ、あのシーンこそいらんからカットで良かったんちゃうんかい。

 

 

「感情」を撮るウェルズに恐れをなす

オーソン・ウェルズと言えば映像表現に長けていることで知られていますが、残念なことに撮影技術云々に関して丸っきりド素人の私なんかには彼の偉大さは半分も理解できていないんだと思います。

【偉大なるアンバーソン家の人々】オーソン・ウェルズ
©The Magnificent Ambersons/偉大なるアンバーソン家の人々より引用

でも絵画やデザインについては一通り勉強してきたので、その分野に置き換えてみると少しだけ彼を近くに感じることができます。

そもそも私は常々、描き出す媒体がスクリーンであるかキャンバスであるかの違いだけで、オーソン・ウェルズって絵を描いてもかなり上手かったんじゃないかって思っています。

「脚本を書く」とか「上手に撮る」とかであれば勉強すればある程度モノにできるのでしょうが、いかんせん色彩や構図などの「芸術的センス」って身に付けようと思って身に付くものでもなくて、「磨く」ことはできても天性の才能が決定的にものを言うのは映画も絵画もデザインも同じですから。

ありふれたおぼろげな言葉ですけど「センス」って好きです。

 

オーソン・ウェルズの映画を観るといつもその感性に驚かされますが、特に【偉大なるアンバーソン家の人々】で鳥肌が立ったのはこの場面。

あの人今度は「感情」を撮ったんですよ。

【偉大なるアンバーソン家の人々】オーソン・ウェルズ
©The Magnificent Ambersons/偉大なるアンバーソン家の人々より引用

画像が暗すぎてよく分からなくて恐縮です。

アンバーソン家での舞踏会が終わった場面です。場所はアンバーソン家の玄関。

手前の黒い影の女性はアンバーソン家当主の妻イザベル・アンバーソン(ドロレス・コステロ)。彼女は舞踏会を楽しんで自宅に帰ろうとしているユージーンを見送っています。

夫のある身でユージーンへのただならぬ感情を胸に秘めるイザベル。

でもイザベルにセリフはなく、この場面で話しをしているのは彼女の後ろにいる若い恋人たち。

 

この映像ひとつで2つの愛の形を描き出しているんです。

映像表現が凄いのと同時に、ウェルズってめちゃくちゃモテたんだろうなって思いました。だってイザベルの切ない想いをこんな風に描き出すだなんて、相当女心を理解してないとあり得ない。

 

しかもウェルズは女性の奥ゆかしく清らかな面ばかりを熟知している訳ではなくて、こんなカットもあるんです。

【偉大なるアンバーソン家の人々】オーソン・ウェルズ
©The Magnificent Ambersons/偉大なるアンバーソン家の人々より引用

一番左がイザベルで、真ん中がユージーン。

愛し合い微笑み合う2人の隣で見るからに不機嫌そうな表情をしている右側の女性は、若い頃からずっとユージーンだけを愛し続けているオールド・ミスのファニー(アグネス・ムーアヘッド)。

 

こんな「女の本性」をも描き出す。

 

この「オールド・ミスの嫉妬」を、例えばウェルズじゃなかったらどんな風に表現していたことでしょうね。

その場を立ち去る?拳を握りしめる?唇を噛みしめる?

いやいや、女って絶対そんなことしませんよ、ただ隣に立ってコッソリこんな表情かおするだけです。

 

しかしこんな表情してることが好きな男にバレてしまってたとしたら、恥ずかしくてもう会えないね。

恐るべしオーソン・ウェルズ。

 

 

映画【偉大なるアンバーソン家の人々】の感想一言

【偉大なるアンバーソン家の人々】オーソン・ウェルズ
©The Magnificent Ambersons/偉大なるアンバーソン家の人々より引用
朱縫shuhou

「俺一生働かへんから。慈善団体に寄附したりして“誇り高い人生”送るねん」とかぬかしてる世の中を舐め切ったアンバーソン家のアホボン、ジョージ(ティム・ホルト)のことをボロカスに書こうと思ってたけど、最後の最後で根性見せたんで止めた。

頑張る若人は応援しないとね。

それにしてもジョージの恋人でユージーンの娘ルーシーを演じた若い頃のアン・バクスターは超かわいい。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

【偉大なるアンバーソン家の人々】オーソン・ウェルズ
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