1951年/アメリカ/監督:ジョージ・スティーヴンズ/出演:モンゴメリー・クリフト、エリザベス・テイラー、シェリー・ウィンタース、アン・リヴィア、レイモンド・バー/第24回アカデミー監督・脚色・撮影(白黒)・作曲・衣裳デザイン(白黒)・編集賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
お堅く厳かで重々しいものが多い文芸作品でありながら、お昼のメロドラマみたいなベタな展開が楽しめる娯楽要素強めの映画。
社交界のお姫様アンジェラを演じたエリザベス・テイラーには何の罪もないけれど、男を狂わせるその無邪気な笑顔と匂い立つような美貌は、取りようによってはナイフや銃と同じ凶器と言えないこともない。
私にも「凶器」と呼べるほどの美貌があれば…。
ゴリラと離婚してイケメン探す。
何の話やねん。
【陽のあたる場所】です。
映画【陽のあたる場所】のあらすじザックリ
タイトル「陽のあたる場所」ってシュールだね
唐突ですが、あなたは「陽のあたる場所」って聞いてどんなことを連想しますか?
両親が暮らす懐かしい故郷の情景や、愛しい恋人と過ごした去年の夏、子供の笑い声が絶えない暖かい家庭、とか、そんな感じじゃないですか?
ところが【陽のあたる場所】と題されたこの映画は、その穏やかな印象のタイトルからはちょっと想像つかない内容で、とっても面白い仕上がりになっています。
原題は【A Place in the Sun】で直訳まんまですから、よくある邦題だけがおかしいパターンでもありません。
個人的にすごく良いと思っています、この内容にこのタイトル。
優しすぎた結果最悪の事態を招くジョージ
貧しい伝道師の息子ジョージ・イーストマン(モンゴメリー・クリフト)の救いは、伯父さんが大手水着製造会社の経営者だったこと。
イーストマン一族といえば社交界では有名なお金持ちで、ジョージは伯父のコネを頼ってはるばる工場までやってきます。
伯父の屋敷を訪ねた際、ジョージは社交界の花アンジェラ・ヴィッカーズ(エリザベス・テイラー)と出会います。
もう吹き出しそうなくらいあからさまにアンジェラに心奪われるジョージでしたが、そこは身分をわきまえてスルーしまして、分相応に同じ工場で働くアリス(シェリー・ウィンタース)をロックオン。
好きだの愛してるだのと言ってアリスと付き合い出したまでは良かったんだけどね。
「日陰の身」になってしまった【陽のあたる場所】の主人公
本来なら、ジョージにとってはアリスとの恋が身分相応であったはずですが、甥っ子とはいえ一応「イーストマン一族」の人間であるジョージは伯父の屋敷に招かれることもあり、その時偶然アンジェラと再会してしまいます。
案の定再び恋心が沸き上がってしまうジョージ。
そして言うてもジョージは「モンゴメリー・クリフト」であり(当たり前)、顔面偏差値だけで言えばハリウッドの正統派イケメンレベルな訳で、アンジェラもすっかりジョージに骨抜きに。
この映画はここからが面白い。
別に悪いことじゃないじゃないですか。恋人がいても他に好きな人ができることくらいありますよ。大事なのは愛する人や愛した人に正直であることでしょ?
アリスに対して「アンジェラを愛してしまったから別れてくれ」って言えばいいだけなのに、ジョージにはそれができません。
それどころか、アンジェラを愛しているのにアリスともヤリまくった結果、なんとアリスを妊娠させてしまいます。
アンジェラと再会した時にはすでに妊娠してたのかも知らんけど。
何やってんねん。
そんでね?
ジョージはアリスに一人で医者を訪ねさせるんですよ。
普通に考えたら中絶の相談に行かせたのかと思うでしょ?いやいや、全然斜め上を行くんで泡食いますよ。
ジョージはアリスに、お金の相談に行かせるんです。妊娠・出産したらアリスが退職を余儀なくされて収入が減るもんで、なんとか出産費用を安くしてもらえませんかって。
身重の恋人に、ひとりで金の工面に行かせてるんですよ?!
この時ジョージはと言えば車で待ってて、医院から出てきたアリスに「どうやった?」。
中絶ではなく一応アリスと結婚しようとはしてるんで、そこは買ってあげなければならないのかも知れないけど、この大変な時にアンジェラから湖へのバカンスのお誘いがあった日にゃあ二つ返事で「行くぜベイビー」。
アリスには「伯父さんが別荘に招待してくれたから行ってくる!昇給もあるかも知れんし!」ともっともらしい嘘ついて、後日新聞の一面にアホ面が掲載されてバレるというヌケ作っぷりを発揮。
紙面に踊る「Summer Fun」の文字が何となく笑える。
一方、新聞に自分の豪遊写真が掲載されているとは夢にも思わないジョージはその頃、愛しのアンジェラと一緒に湖畔でのんびり。
すると湖を見つめながらアンジェラがこんなことを言い出します。
去年若い男女がこの湖で、ボートが転覆して死んだの。
男の方の遺体は上がってきていないわ。
新聞を見たアリスが湖の近くまで追いかけてきたことを知ったジョージは、母親が病気だと偽って別荘を出てアリスと合流、落ち着いて一緒にボートにでも乗ろうと持ち掛けます。
…ちょっと待って、まさか…。
そのまさかです。
映画【陽のあたる場所】の感想一言
ただの浮気心があれよあれよと殺人事件にまで発展していく超メロドラマ系文芸映画。
ジョージがどこまでもバカであることで天真爛漫なアンジェラの美しさに少しだけ「陰り」が見える終盤、「【陽のあたる場所】かあ~…」と、なんとなくタイトルを噛みしめてしまいます。
地味に結構好きです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。