1973年/アメリカ・イタリア/監督:シドニー・ルメット/出演:アル・パチーノ、ジョン・ランドルフ、ビフ・マクガイア、バーバラ・エダ・ヤング、トニー・ロバーツ、コーネリア・シャープ、F・マーリー・エイブラハム
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【十二人の怒れる男】、【評決(1982)】など、社会派切り口で魅せるのが得意なシドニー・ルメット監督作。
主演のアル・パチーノはこの2年後の【狼たちの午後】でも主役に抜擢されています。
1957年/アメリカ/監督:シドニー・ルメット/出演:ヘンリー・フォンダ、リー・J・コッブ、マーティン・バルサム、ジョン・フィードラー、E・G・マーシャル、ジャック・クラグマン注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気[…]
1982年/アメリカ/監督:シドニー・ルメット/出演:ポール・ニューマン、シャーロット・ランプリング、ジャック・ウォーデン、ジェームズ・メイソン、ミロ・オーシャ、リンゼイ・クローズ注※このサイトは映画のネタバレしようがしまい[…]
1975年/アメリカ/監督:シドニー・ルメット/出演:アル・パチーノ、ジョン・カザール、クリス・サランドン、チャールズ・ダーニング、ジェームズ・ボロデリック、ランス・ヘンリクセン、キャロル・ケイン/第48回アカデミー脚本賞受賞[…]
ニューヨーク市警に蔓延する汚職と戦った実在の元警察官フランク・セルピコをモデルにした映画、【セルピコ】です。
映画【セルピコ】のあらすじザックリ
フランク・セルピコの憧れの職業「警察官」

危険がつきものの麻薬課の刑事とは言え、なぜ彼はこれほどの重傷を負っているのか。
それは捜査中ピンチに陥った彼に同僚の刑事が手を貸さなかったから。
一瞬の隙をついた犯人に撃たれてしまったんです。
ああ思い出しても腹が立つ。
本当に腹が立つ映画なんですよ。
セルピコは良い警察官なんです。
Good Policemen なんです。
ダウンタウンの靴の修理屋の息子で、昔から警察官に憧れていました。警察学校を卒業して、やっと警察官になれた時にはあんなに喜んでいたのに…。

配属されたニューヨーク市警は汚職にまみれたアホの巣窟。
アホ警官たちは町のゴロツキから“上納金”を徴収することで色々と便宜を図ってやってたのです。やってることはヤクザと一緒。
同僚たちはみんな悪びれることもなく汚職に手を染め、セルピコも何度か“上納金”の徴収に駆り出されます。すると当然セルピコにも「ほれお前の分」と配分金が回ってくるのですが、彼は頑としてこれを受け取ろうとしませんでした。
そのため、セルピコはアホ警官からあらぬ恨みを買ってしまう羽目になるのです。
ローリーの偉い王様の話に憂鬱になる

金なんかいらんって言ってるやろ!
お前ら勝手にやっとけや!
俺は仕事する!
これで済むような話ではないんですよね。
自分が賄賂を受け取らないだけでなく、もともと正義感の強いセルピコには憧れの警察の腐敗なんてやっぱり許せない。

ええ、警察官が危険な仕事なのは承知ですよ。いつ何時凶悪犯に撃たれて帰らぬ人になるか分かったもんじゃありません。それでなくても昼夜も無くしょうもないアホどもを駆逐するために走り回ってくれているのです。
全世界の警察組織の皆々様、どうもありがとうございます!
でも私腹を肥やす前にもっとやることあるやろが。
大体、少数ですがセルピコと同じように汚職に反対の警察官もちゃんと存在するんです。でも汚職警官の数が圧倒的すぎて誰も声を上げることができない。
セルピコの恋人ローリー(バーバラ・エダ・ヤング)の「賢い王様の話」を聞くとますます怒りが沸いてくる。

「昔々ある王国に賢い王様がいたの。
大きな井戸から国中の人が水を飲んでいた。
ある晩魔女が来て井戸に毒を…。
王様以外の人が水を飲んで正気を失った。
みんなは相談したの。
“王様はクビだ、正常じゃない”。
その晩、王様も井戸の水を飲んだの。
翌朝みんなは喜んで踊った。
王様が正気になったと言って」
何の話やねん。
何が言いたいねんな。
セルピコにも毒を飲め(=賄賂を受け取れ)ってことかい。それがホンマに「賢い王様」のすることなんかい。
ローリーに悪気はなくて、余りにもセルピコが悲痛だからこの話をしてあげたんでしょう。分かります。私だって恋人がこれほど苦しんでいたら「楽な道を選んだら?」って言いますよ絶対。
ただ自分も毒を飲むだけで周囲の反感は止む。
取りようによっては国民感情に重きを置いてこの選択をした王様は本当に「賢い」のかも知れない。
でもどうしようもなく胸くそ悪いじゃないの。
憧れてた人達に絶望して自らも汚職に手を染めるって、どうしようもなく胸くそ悪いじゃないの。
【アマデウス】のサリエリがこんなところに
ちなみにセルピコが助けを求めているのに知らん顔してた麻薬課の刑事のひとりは、【アマデウス】のアントニオ・サリエリ役でオスカー獲ったF・マーリー・エイブラハムです。

ちょい役なんでクレジットもなし。【スカーフェイス(1983)】で再びアル・パチーノと共演するより10年も前の貴重なお姿です。
1984年/アメリカ/監督:ミロス・フォアマン/出演:F・マーリー・エイブラハム、トム・ハルス、エリザベス・ベリッジ、ジェフリー・ジョーンズ、ロイ・ドートリス/第57回アカデミー作品・監督・主演男優・脚色・美術・衣装デザイン・メイク[…]
1983年/アメリカ/監督:ブライアン・デ・パルマ/出演:アル・パチーノ、スティーブン・バウアー、ミシェル・ファイファー、ロバート・ロッジア、メアリー・エリザベス・マストラントニオ、F・マーリー・エイブラハム注※このサイトは[…]
映画【セルピコ】の感想一言
モデルとなったフランク・セルピコは顔面を撃たれた翌年の1972年に退職しています。1973年には事実婚をして一人息子が誕生。
その後も精力的に警察内部の腐敗撲滅のために尽力しています。
政治の世界に足を踏み入れようとしたこともあるようですが、落選してよかったよ。
警察と同等かそれ以上に汚職でドロドロじゃん。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。