1941年/アメリカ/監督:プレストン・スタージェス/出演:バーバラ・スタンウィック、ヘンリー・フォンダ、チャールズ・コバーン、ウィリアム・デマレスト、ユージン・ポーレット、ジャネット・ビーチャー
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何が面白いって、とにかく名優ヘンリー・フォンダが女詐欺師役の妖艶なバーバラ・スタンウィックに骨抜きにされる姿がすこぶる面白い。
バーバラ・スタンウィックも当然面白いんですよ?本日の映画の魅力の大半をバーバラ・スタンウィックの振り切った演技が占めていることは間違いありませんから。
でも私としてはヘンリー・フォンダのキャラクターの方が面白い。
こんなアホなヘンリー・フォンダ見たことない。
ヘンリー・フォンダがそれまでの“二枚目俳優”という殻を破った記念碑的映画、【レディ・イヴ】です。
参考 スクリューボール・コメディ=映画のジャンルの1つ。ストーリーの多くは常識外れで風変わりな男女が喧嘩をしながら恋に落ちる内容。
映画【レディ・イヴ】のあらすじザックリ
通常運転のバーバラ・スタンウィックより骨抜きのヘンリー・フォンダ
【レディ・イヴ】でその演技の幅の広さを見せつけたヘンリー・フォンダの役どころは、「ビール(正確には“エール”)会社の御曹司」チャールズ・“ホプシー”・パイク。
蛇の研究に余念がないホプシーは、アマゾンで珍しい蛇を手に入れた帰り道、豪華客船に乗り込みます。
その船に乗っていたのが「石油王」の体 のハリントン大佐(チャールズ・コバーン)とその娘ジーン・ハリントン(バーバラ・スタンウィック)。
実は彼らは詐欺師父娘 。
今日もジーンの艶めいた魅力でカモを探していたところ、まんまと大金持ちの御曹司が同じ船に乗り込んできたってわけです。
世間知らずにもほどがある御曹司
作中にホプシーの年齢は出てこないんですけど、【レディ・イヴ】出演時のヘンリー・フォンダの年齢は35~36歳。この事実を加味すると【レディ・イヴ】はまた一段と面白くなります。
だって多分ホプシーは童貞なんですよ、35~36歳でね。理由は「僕は蛇にしか興味がない」から。
今まで親戚の女性以外と親しくしたことなんてないもんだから(知らんけど、たぶん)、ジーンの香水がほんのり匂っただけで骨抜き。
ジーンの靴を履かせる時はすらりとした御御足 ガン見。
魅惑のジーンにほっぺたすりすりされた日にゃあ、御髪 は乱れ目は泳ぎ、どもって意味不明なことを口走る。
ホプシーの御託を聞きながらジーンは彼の頭をナデナデ。
しかしここで予想外にめでたい出来事が起こります。
百戦錬磨の女詐欺師ジーンが本気でホプシーを愛してしまうのです。
なんでやねん!
アホすぎて逆に可愛いか!
2人は一度は心を通わせますが、ホプシーがジーンとハリントン大佐の正体に気付いてしまったため結局別れてしまいます。
自分を棄てたホプシーへの復讐を誓うジーンはその後、「イギリス社交界の花形レディ・イヴ」という架空の人物になりすましてホプシー宅のパーティへ潜入。
船上で別れたはずのジーンにそっくりの美女レディ・イヴを見た執事のマグジー(ウィリアム・デマレスト)は、すぐさまホプシーに忠告します。
いや~、ただ似てるだけの別人ちゃう?
もしジーンやったらもっとちゃんと変装するはずやし。
ええ加減にせえよボンボン!
世間知らずにもほどがあるわ!
むちゃくちゃ面白いよホントに、ヘンリー・フォンダ。
ヘイズ・コードを無事通過
ところでスクリューボール・コメディが流行った1930~1950年代のアメリカ映画界にはヘイズ・コードという規制があったはず。
参考 ヘイズ・コード(映画製作倫理規定、プロダクション・コード)=1934年から1968年まで導入されていたアメリカ合衆国の映画における検閲制度。「キスは3秒以内」など厳しい制約があった。
にもかかわらず【レディ・イヴ】のいわゆる“ピンクな描写”は、(この時代にしては)割と露骨。
バーバラ・スタンウィックの脚はかなり露出してますしね。その脚をひざまずく男性(ヘンリー・フォンダ)の目の前で大胆に組み替えたりして。
ジーンとホプシーが個室のドアを閉めるラストからは明らかに「その後の展開(=セックス)」が匂ってきます。
“禁断の果実”らしき「リンゴ」(序盤でジーンがホプシーの頭上に落とす)、言葉巧みにそそのかしアダムとイヴに“禁断の果実”を食べさせ神から罰を受けたという「蛇」、ずばりジーンが変装した時の名前「イヴ」など、「性」を想起させる聖書からの引用も多く見られると言うのに、ヘイズ・コードに引っ掛かってお蔵入りになったりしなくて良かったよ。
どうやってすり抜けたんでしょうね。
映画【レディ・イヴ】の感想一言
【レディ・イヴ】は1956年に【陽気のせいデス(原題:The Birds and the Bees)】というタイトルでリメイクされています。主演はデヴィッド・ニーヴンとミッツィ・ゲイナー。プレストン・スタージェス監督も脚本で参加していますが残念ながら余り良い出来ではなかったようです。
やっぱりファム・ファタールに骨抜きにされるのはヘンリー・フォンダじゃないとあかんでしょ!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。