2005年/アメリカ/監督:ティム・バートン/声の出演:ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、エミリー・ワトソン、トレイシー・ウルマン、ポール・ホワイトハウス、アルバート・フィニー、クリストファー・リー、マイケル・ガフ、ディープ・ロイ
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やたらに長くひょろひょろの手足、ぎょろぎょろと動く黒目の小さな目玉、ボトックス注射の打ちすぎを疑う尖ったアゴ。
ティム・バートン画伯の特徴的な画風のキャラクターたちがスクリーンの中で動き出し、最後にはなんと観ている人に「切なさ」をも思い出させてくれる画期的な映画。
1993年の【ナイトメアー・ビフォア・クリスマス】の時よりもさらに進化した究極のストップモーション・アニメーションを楽しみましょう。
1993年/アメリカ/監督:ヘンリー・セリック/声の出演:クリス・サランドン、キャサリン・オハラ、ウィリアム・ヒッキー、グレン・シャディックス、ポール・ルーベンス注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこ[…]
切ない映画【ティム・バートンのコープスブライド】のあらすじザックリ
翌日に迫るビクターとビクトリアの結婚式
魚屋だけど成金だから金はしこたま持ってるバン・ドート家の一人息子ビクター(ジョニー・デップ)は、両親に急かされながら貴族のエバーグロット家へ向かっています(後ろに立ってる存在感のない亡霊みたいなのがビクター)。

明日は一度も会ったことのないエバーグロット家の一人娘ビクトリア(エミリー・ワトソン)との結婚式。今日はそのリハーサルのためにやって来ました。

実はエバーグロット家はとっくに破産している没落貴族。
上流階級とのパイプが欲しいバン・ドート家と金が欲しいエバーグロット家、両家の利害が一致したためビクターとビクトリアはいわば「政略結婚」させられるのです。
出てきた瞬間からこの世のすべての不幸を背負っているかのような不幸せオーラが止まらないビクターに逆に笑いを禁じ得ない。
こんなに不幸そうな奴おる?
でも“スーパー・アンラッキー君”ビクターにだって一応いいことあったのよ。
初めて会った許嫁のビクトリアに少なからず恋心を抱けちゃうんだから。

そしてその気持ちはビクトリアも同じ。
「この人とならやってけそう!」とお互い思えた二人でしたが、そこはドジでマヌケのスーパー・アンラッキー君。
結婚式のリハーサルで「誓いの言葉」をさっぱり覚えることができません。

怒った神父に結婚式の延期を言い渡されたビクターは、近くの森で一人、「誓いの言葉」を練習します。
なにやらブツブツ唱え、地面から突き出た木の枝をビクトリアの指に見立てて指輪をはめるビクター。

ここでもスーパー・グレート・アンラッキー君は本領を発揮。
なんと枝だと思っていた“ビクトリアの指”は、地下に眠る“死体の花嫁”の指だったのです。
どんなけツイてないんや君は。
君のツイてない話をおかずに白ご飯3杯は食えるわ。
悲劇の花嫁“コープスブライド”
“コープスブライド”は名をエミリー(ヘレナ・ボナム=カーター)と言いました。

エミリーはビクターの申し出を受け入れ、晴れて“旦那様”となった彼を死者の住む“地下の世界”に連れ去ってしまいます。
地下の世界ではエミリーの旦那様ビクターのために、骸骨シンガーが彼女の過去を歌って聞かせてくれます。
ちなみにこの世界にはレイ・チャールズらしきピアニストもいらっしゃいます。
セリフ(涙なしには聞けねえ悲劇の物語だ)
(ロマンスと情熱と残酷な殺人のな)
(骨も泣かずにいられない 愛しき“死体の花嫁”の物語)
©Tim Burton’s Corpse Bride/ティム・バートンのコープスブライドより引用 ★みんないつか死ぬけど そう悪いものじゃない
隠れても祈っても 最後に残るは骨だけさ
娘の美しさは有名だった そこへ現れたナゾの男
ハンサムだが一文なし 哀れにも娘はひと目惚れ
パパに反対され悩んだ末 2人は駆け落ちを計画
★繰り返し
夜遅く落ち合う手はず 娘はこっそり旅支度
着たのはママの花嫁衣裳
恋する者に多くは無用 持ち物は少しでいい
家宝の宝石 カバンの金
墓地の隣 樫の木の下
霧深い夜中 3時15分前
娘は来たが男は どこ?
娘は待った 近づく影は男か?
娘の胸は高鳴った
そして彼女は真っ暗な闇の中へ…
©Tim Burton’s Corpse Bride/ティム・バートンのコープスブライドより引用 目覚めた娘はもう死んでいた 宝石は消え恋も消えた
娘は木の下に横たわり 真実の愛を待つと誓った
娘を自由にしてくれる人を…
するとこの若者が現れて 永遠の愛を誓ったのさ
これが我らの“死体の花嫁”物語
出典:【ティム・バートンのコープスブライド】字幕
ええそうです。
むっちゃ哀しいお話なんですよこの映画。
陰気臭い“地上の世界”と酒池肉林の“地下の世界”
ティム・バートンの“地上の世界”と“地下の世界”の描き方がもう、「これ作った人頭おかしいんちゃうか?」って正気を疑ってしまうほどの仕上がりです。
「暗い」地上で死んだように生きてる人々、彼らとは裏腹に、地下の住人らは実に「生き生きと」しています。

【ビートルジュース】でも死後の世界はファンシーで彩り豊かに描かれていたりするし、これってつまり、ティム・バートンの頭の中では「死後の世界」は常にこんな風にポップでキュートでカラフルなものであるということでしょ?
1988年/アメリカ/監督:ティム・バートン/出演:マイケル・キートン、アレック・ボールドウィン、ジーナ・デイヴィス、ウィノナ・ライダー、キャサリン・オハラ、ジェフリー・ジョーンズ、グレン・シャディックス/第61回アカデミーメイクア[…]
酒は飲めるし仕事はないし、歌って踊って遊んで笑って…ってこんなんやったら早よ死にたいわ。

ティム・バートンって、早く死にたいから死後の世界に幻想を抱いてたりするんですかね?
天才ってホント、思考回路疑っちゃう。
てか死なないで。
もっといっぱい映画作って。
お願い。
ウエディングドレスで天に召されるエミリーが切ない
他の追随を許さないアンラッキー街道ばく進中のビクターと、地味なフリしてその儚げな奥ゆかしさが男にウケるから同性に嫌われるタイプのビクトリアは良いですよ。
結局一連のこの事件はあなた方の絆を試すような形になっちゃって、試された絆は固く結ばれたんだからさ。

このお話で一番割を食ったのはエミリー。
やっと結婚を誓ってくれる人が現れたと思ったら間違いで、間違えたその人を愛してしまったと思ったら結ばれない。
かつて裏切られた男に復讐は果たせたけれど、真実の愛を手に入れることはできず、光となって天に召される。

一見ハッピーエンドのようにも見えるけど、エミリーの望みは「成仏」ではなく「真実の愛」だったはず。
救われたのか救われてないのか、「真実の愛」を知らないまま殺されて、死んでもなお「真実の愛」を見つけることができず、一体彼女の人生は何だったのか。
「切ない」ってこれか。
胸にこみ上げてくるこの感情のことか。
初老の胸に忘れかけてた「切なさ」が去来する名作です。
蛆虫(毛虫じゃない)マゴットの声スティーヴ・ブシェミやろ?あ、ちゃうの?
ところで、エミリーの頭の中(目の奥?)にはマゴットという名の毛虫みたいな生き物が住んでいます。

正確には毛虫じゃなくて蛆虫らしいけどね。
この蛆虫、誰かに似ていると思いませんか?

そうそう、【レザボア・ドッグス】、【コン・エアー】の個性派俳優スティーヴ・ブシェミですよ!

似てるよね?
絶対モデルにしてるよね?
そんじゃ声優もきっとスティーヴ・ブシェミだよね?
…と思ったら全然違ってた。
マゴットの声はエン・ライテルと言う人が担当しています。
…それにしても似ている…。
1992年/アメリカ/監督:クエンティン・タランティーノ/出演:ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、クリス・ペン、スティーヴ・ブシェミ、ローレンス・ティアニー、エディ・バンカー、クエンティン・タランティーノ[…]
映画【ティム・バートンのコープスブライド】の感想一言

DVDには撮影の裏側なんかも収録されていてかなり盛沢山な内容になっています。
どれだけ技術が進歩してもストップモーション・アニメーションの製作には多大な年月を必要とするんだろうけど、また作って欲しいなあ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。