2007年/フィンランド/監督:ヨハ・ウリオキ/出演:ハヌ・ペッカ・ビョルクマン、カリ・バーナネン、ミッコ・コウキ、ラウラ・ビルン
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
上映時間82分。すごく短いフィンランドの映画です。日本では劇場未公開。サンタクロースの誕生秘話をオリジナルストーリーでつづります。
ノスタルジックなフィンランドの村や暖炉のある家々、観ているだけで息が白く染まりそうな雪深い山や湖の映像が素晴らしい。
長く白いひげをたくわえ赤い衣装に身を包み、トナカイたちの引くそりに乗って夜空を駆けるサンタクロースにだって、少年時代はあったのです。
映画【サンタクロースになった少年】のあらすじザックリ
孤児になってしまったニコラス少年
父と母、そしてまだ赤ちゃんの妹アーダと4人で暮らしていたニコラス(ジョナス・リンネ)。
雪の降るある日アーダが熱を出し、両親はアーダを連れて医者の元へ。凍った湖を通って行けば翌日には帰って来られるはずでした。
しかし翌日、ニコラスの家を訪ねてきたのは知らない男。
ニコラス、お父さんとお母さんは、湖に落ちて……。
7歳のニコラスはある日突然家族を全員失い、孤児になってしまいます。
極寒の湖に落ちたニコラスの両親とアーダの遺体は上がってきません。
遺体を目にしていないニコラスにとって家族の死は現実味が薄く、この物語の中では湖自体がまるで死後の世界のように神秘的なものとして描かれます。
「両親と妹の墓」でもあるこの湖に何度も何度も足を運ぶニコラス。
余りにも何度も湖が映し出されるもので、湖の場面になると観ている私まで家に帰ったような懐かしい気持ちになってくるほどでした。
お世話になった家の子供達にお礼を
ニコラスは近くの村の6つの家庭に1年ずつ交代で預かってもらうことになりました。子供1人をガッツリ引き取ることができる裕福な家庭がなかったためです。「6年ごとに、1年間くらいならなんとか…」ということですね。
毎年クリスマスになると次の家へ「引っ越す」ニコラス。ニコラスは引っ越す際、その年厄介になった家の子供達に木彫りのおもちゃをプレゼントするようになりました。クリスマス・イヴの夜、家の前にサクッとクリスマスプレゼントを置いておくのです。
堂々と「1年間ありがとうございました!」って面と向かって渡したらええがな。
そんなのダメダメ、ニコラスはにぎやかなのが苦手なんですから。
ですから、「クリスマス・イヴにこっそりプレゼントを置いてってくれる」というサンタクロース・スタイルの由来はなんと「サンタクロースはにぎやかなのが苦手だから」ってことになってるんですよ。
何かもっと他に良い設定思いつかんかったんかい!って感じではありますけども。
そんな生活が何年も続き、ようやくニコラスに定住できる家を与えてくれたのは、山奥に一人で暮らす家具職人のイーサッキ(カリ・バーナネン)。
ニコラスの手作りおもちゃを見て職人の資質を見いだし、最初は「弟子」という名目で半ば強引に自宅に連れ帰りますが、次第にニコラスと心を通わせ、親子のように一緒に暮らすことになります。
見た目は怖いし偏屈で口は悪いけど実はめっちゃ人情溢れるってパターンのおっさん。
イーサッキが「ハリー・ポッターシリーズ」のハグリッド(ロビー・コルトレーン)にごっつ寄せてきていることに意味はないと思います。
何の前触れもなく天空へ飛び立つニコラス
イーサッキの元で家具職人としての技術を学んだニコラスは、お世話になった村の子供達だけでなく近隣の村の子供達みんなにもクリスマスプレゼントを配るようになっていきます。
●村人達にもらったニコラス専用のそり
●雪深い山々の走ることに長けているトナカイ
●着ていればトナカイが命令をきくという赤い衣装
●ますます伸びてお腹まである白いヒゲ
孤児であること以外は他の子供達となんら変わらなかったニコラスが、パーツを揃えて行くたびにみるみるサンタクロースっぽく変貌。
この姿を観るとさすがにワクワクが増してくる。
そんでそんで?!
そんでどうやってニコラスは本物のサンタクロースになったのよ?!
Ho!Ho!Ho!
何年も何十年も老体に鞭打ちながらコツコツとプレゼントを手作りし一軒一軒子供達の家に配っていたニコラスでしたが、ついに「寄る年波には勝てない」と言って、その年を限りにプレゼント配りを止める決意をします。
最後のクリスマスプレゼントを配り終えたニコラスは、両親とアーダの眠る湖の上をトナカイが引くそりに乗って駆け抜け、夜空の彼方へと消えて行くのでした。
おしまい。
ええ~~~っ!
ここへきてまさかの、最後は全部「ファンタジー」で片付ける演出!
美しい景色と劇的にサンタクロースっぽく変貌していくニコラスに騙されてはいけません!
どうしたってこのラストは なんで飛ぶねん と言わざるを得ませんよ。
だってサンタクロースのモデルと言われるセント・ニコラスだって、産まれる前から不思議な力を持っていたとされてるのによ?
実はセント・ニコラスの最初の奇跡は彼が子宮の中に誕生したことだと言われている。彼の母親であるノンナは、妊娠が不可能とされている年齢であり子どもがいなかった。既に閉経を迎えていたとされる彼女になんとニコラスの命が宿ったのだ。
出典:本物のサンタクロース「セント・ニコラス」が起こした奇跡と伝説の由来
最後に夜空に飛び立ち伝説となるのであれば、もともと人間離れした何かを持ってる前振りが欲しかった。
もしくは「サンタクロースも昔はただの人間だった」って部分を強調したいのであれば、突然いなくなったニコラスの姿をその後見た者はいなかった、くらいの方がよかったかも。
映画【サンタクロースになった少年】の感想一言
初老にもなるとファンタジーも根拠が無ければ疑問が残ってしまうもんですね。
純粋に「サンタクロースが飛んだ~!」ってならないなんて、やだやだ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。