1971年/アメリカ/監督:ハル・アシュビー/出演:ルース・ゴードン、バッド・コート、ビビアン・ピックレス、チャールズ・タイナー
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
恋っていつまでできるんやろうとか考えたりしますけどね。
バカバカしいとは思いつつもこの映画を観ると、その気になれば恋なんて、いつでもいつまでも死の直前まででもできるような気がしてきます。
実際60も年下の若者が私を相手にしてくれるかどうかは置いといて。
映画【ハロルドとモード 少年は虹を渡る】のあらすじザックリ
コメディ仕立てでバカバカしい、でもなんとなくいい話
アメリカでカルト的人気を誇る知る人ぞ知るピュア・ラブストーリー。
【メリーに首ったけ】でキャメロン・ディアス扮する主人公メリーが「【ハロルドとモード】は最高の恋愛映画なのよ!」とベタ褒めしてたのはコレ。あーゆー女子が好きそうな映画ではある。
1998年/アメリカ/監督:ボビー・ファレリー、ピーター・ファレリー/出演:キャメロン・ディアス、ベン・スティラー、マット・ディロン、リー・エヴァンス、クリス・エリオット、リン・シェイ注※このサイトは映画のネタバレしようがし[…]
実に60もの歳の差のある2人の恋路は現実味がなさすぎて私にはあんまり刺さらないんですけど、確かに舞台はアメリカであるはずなのに、まるでフランス映画のような独特の世界観は好きです。
「趣味の一致」は恋愛の第一歩
そもそもハロルド(バッド・コート)が住んでる豪邸からしてなんとなくヨーロッパ感漂ってる。
ここで母親(ビビアン・ピックレス)と暮らすハロルドは、狂言自殺して母親をビビらせるのと知らない人の葬式に勝手に参列するのが趣味の変わった少年。
自分で選んで買ったマイカーは霊柩車。この下りは何となく【ブルース・ブラザース】でジェイクとエルウッドが乗ってた中古のパトカーを思い出す。
1980年/アメリカ/監督:ジョン・ランディス/出演:ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、ジェームズ・ブラウン、キャブ・キャロウェイ、アレサ・フランクリン、スティーヴ・クロッパー、ドナルド・ダック・ダン、ジョン・キャンディ、キャリ[…]
ある日いつものように参列してた他人の葬式で、前にも誰かの葬式で見かけたことがあるおばあちゃん(ルース・ゴードン)が話しかけてきます。
あんた名前は?私モード。
故人は80歳で死んだんやって。
ちょうどええよね。
私も来週には80歳やけど、75歳はちょっと早いし、85歳は時間稼ぎしてるだけやしさ。
80歳くらいで死ぬのがちょうどええよ。
なんとモードも故人とはまったくの無関係。ちゃきちゃきの江戸っ子みたいなノリのモードは一方的にマシンガントークを繰り広げ、教会の前に停めてあった他人の車に乗り込んで颯爽と去って行くのでした。
すごいやんハロルド。
共通の趣味を持つ異性が現れたやん。
19歳はキスだけじゃダメだったのね
その後何度か会ううちにモードに惹かれていくハロルド。
これと並行して奇行を繰り返すハロルドに危機感を覚えた母親は、お見合い大作戦を敢行します。ところが若くて綺麗な(で、みんななぜかちょっと変わってる)女の子たちとお見合いしても、ハロルドが考えるのはいつもモードのことばかり。
これはでも仕方ないですよ。
あんな小娘どもが人生経験豊富で天真爛漫のモードの魅力に敵うわけない。しかもモードが結構かわいい。しわしわだけどホントにかわいい。御年 80とは言え、モードは小汚い老人ではないんです。ちゃんとメイクもして髪も綺麗にアップして整えて、背筋を伸ばして真っすぐ歩く。
種の存続の危機としてあってはならないことですけど、こんなおばあちゃんだったら年齢関係なく男性が好きになってしまうのも頷けます。
…さすがに2人がベッドに裸で寝そべっているシーンだけは気持ち悪かったですが。
ここセックスする必要あった?キスだけとかでもよかったような…。
しかしハロルドは19歳の健康な少年…。
無理か。キスだけとか。
「死んでるのって楽しい」「みんなそうよ」そうなん?!
【ハロルドとモード 少年は虹を渡る】でモードは数々の名言を残しますが、中でも驚いたのがこちら。
最初普通に笑うトコやと思って、ハロルドが「死んでるのって楽しい」って泣きじゃくりながら言ってるというのに吹き出してしまったんですけど、よく噛みしめてみるとすごい言葉。
ハロルドと出会って間もなく、モードはこうも言っています。
「他人と同様に扱われても何とも思わないような人々」=「死んでるように生きてる人々」。
そりゃそんな生き方楽でしょうよと。なんの感情の起伏もなく死んだように生きていれば楽だけど、そんな人生でええんか自分、とモードは問うています。
さっき私は吹き出したけど、私だってその「たくさんいる人」の一人なんです。全然笑いごとじゃなかった。
自分勝手に生きるのは違うけど、自分を押し殺して生きることだけはすまい、とか、ちょっとだけモードの影響を受けてみたりして。
全力で「生きた」モードのことを思うと、浮上するために無理矢理バンジョーを弾いていたハロルドがいつの間にか本当に楽しそうにステップを踏み始めるラストも納得。
映画【ハロルドとモード 少年は虹を渡る】の感想
2人の恋路以外の見どころはハロルドと母親との掛け合い。
ハロルドは狂言自殺ばかり繰り返してるけど、別に母親に反抗的ってわけでもないんですよね。なんだかんだで母親の言うことはよく聞くし。
母親もハロルドを理解してるから狂言自殺くらいじゃ動じないし、モードと結婚するって言った時も頭ごなしに押さえつけたりはしない(正気を失っていましたが)。この母親もモードに負けず劣らず結構全力で生きてる。
なんやかんや言うて割と通じ合ってるこの母子の構図、良いと思います。
ドヤ顔やめえドヤ顔。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。