1955年/アメリカ/監督:アンソニー・マン/出演:ジェームズ・ステュアート、アーサー・ケネディ、キャシー・オドネル、ドナルド・クリスプ、アレックス・ニコル、アリーン・マクマホン
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

聞いてください。
すっごいバカがでてくるんです今日の映画!
もう本当にバカでバカでどうしようもないバカで、救いようもないバカがね、でてくるんですよ!
こういう奴ってどうしたらいいの?
死んでもらうしかないって言ったってねえ?どないしょうもないバカが相手だろうと殺人は殺人ですから、殺してくれた奴(英雄のはずなのに)が罪に問われるってのもおかしな話ですしねえ。投獄したところで塀の中でも問題起こしそうだし。見回りの看守殺すとか同室の囚人殺すとか。
とりあえず本作のバカに限ってはバカ本人の親も悪いわな。
バカを生み出すんじゃねえよバカ。
アンソニー・マン監督とジェームズ・ステュアートが初めてタッグを組んだ西部劇【ウィンチェスター銃’73】から5年…本日の映画が二人の最後の西部劇となりました。
【ララミーから来た男】です。
映画【ララミーから来た男】のあらすじザックリ
陸軍大尉にはとても見えない安定のジェームズ・ステュアート
好きですよジェームズ・ステュアート。

演じてきた役柄のせいかも知れませんけど、絶対ええ人でしょ。少なくとも私は絶対ええ人やと思てます。ちょっと天然なとこもあったりしてね。戦争とか略奪とか、諍い事とは一切無縁な雰囲気ありますやんか。
1946年/アメリカ/監督:フランク・キャプラ/出演:ジェームズ・ステュアート、ドナ・リード、ライオネル・バリモア、ヘンリー・トラヴァース、トーマス・ミッチェル、ボーラ・ボンディ、ワード・ボンド注※このサイトは映画のネタバレ[…]
1950年/アメリカ/監督:ヘンリー・コスタ―/出演:ジェームズ・ステュアート、ジョセフィン・ハル、ペギー・ダウ、チャールズ・ドレイク、セシル・ケラウェイ、ヴィクトリア・ホーン/第23回アカデミー助演女優賞受賞注※このサイト[…]
そんなジミー(※ジェームズ・ステュアートの愛称)が【ララミーから来た男】で演じるのは「陸軍大尉」。「本気出したら結構強い」はずなんですけど、やっぱりそこはジミーですよ。
そこまでべらぼうに強くはない。でもなぜか誰にも負ける気はしない。

ララミー砦の陸軍大尉ウィル・ロックハート(ジェームズ・ステュアート)は、同じ陸軍の斥候だった弟をアパッチに殺されました。ウィルの弟を含む12人の若き斥候隊を死に追いやったのはアパッチの連発銃。

ウィルは物資を運ぶ商人に扮して各地を訪れ、弟の仇を探しています。
そして商品を納めに行った先で例のバカにイチャモンつけられ騒動に巻き込まれてしまうのです。
かなりめんどくさい騒動に巻き込まれるんですけど、やっぱりなぜか終始ジミーが負ける気はしないんですよね。
空前絶後のバカ息子と「だからダメなんだよ」なナンバー2
はるばる物資を運んできたウィル一行は、とある町の「ワゴマンの店」に積み荷を搬入し、店主のバーバラ・ワゴマン(キャシー・オドネル)に教えてもらった近くの湖で塩を取って帰ろうとしていました。

するとさっきの町の方角から馬に乗ったチンピラ集団がやってきます。

お前らナニ勝手に塩盗んでんねん!
ここは俺らハーフムーン牧場の土地やぞ!
いやごめんごめん、さっき町でここの塩は取ってもいいって聞いたもんで…って弁明も聞く耳持たず、チンピラ集団のリーダーらしき男はウィルに縄をかけて地面を引き回し、挙げ句ウィル達の馬車を燃やして馬車を引くラバをも撃ち殺してしまうんです。


そうなんですよ。このチンピラ集団のリーダーこそが例のバカことデイヴ・ワゴマン(アレックス・ニコル)。町の有力者でハーフムーン牧場の牧場主アレック・ワゴマン(ドナルド・クリスプ)の一人息子。ついでに言うなら先ほどの「ワゴマンの店」の店主バーバラの従兄妹。
よそ者のウィル達相手に大暴れするデイヴを止めに入ったのはハーフムーン牧場の若手ナンバー2、ヴィック(アーサー・ケネディ)。

ヴィックの説得でチンピラ集団は町へ引き返して行きましたが、(今の)商売道具をすべて奪われたウィルの怒りは収まりません。
デイヴの父親アレックに話をつけるため、ウィルはたった独りでもう一度町へ引き返します。
まあこの騒動のお陰で弟の死の真相を暴けることになるとは言え、できればこんなバカ親子とはお近づきになりたくないもんですわ。
何しろこのデイヴがもう、弱っちいくせにワガママで頭が悪くて手が付けられない。「みんなに俺の強いとこ分からせたんねん!」とか言うてしまいますからね。ジャイアンでもそんなこと言わへんわ。ジャイアン以下かお前は。

父親のアレックにしてもこの親にしてこの子ありですよ。
「実の息子である」という理由だけで従業員の信頼も牧場経営の才もないデイヴに牧場を継がせると決めて譲らない。親類縁者の誰一人として「お前の息子バカやから無理やで」って言うてやらへんかったんかいな。
デイヴがあんまり頼りないもんだから、アレックはやり手のヴィックを(実質)自分の右腕兼デイヴの教育係として息子のように可愛がってきました。自分が死んだ後は牧場の経営権をデイヴとヴィックに均等に分けると約束していたんです。ところがそれを土壇場になって反故。

止めえなもう。だからお前の息子バカやって言うてるやん。子煩悩もここまで行ったら病気やで。

ヴィックはヴィックでラストで中途半端な悪人であったことが明らかになります。
お前はお前で、そんなんやからあかんねん(どこまで行ってもアレックの真の信頼を得られない)。

映画【ララミーから来た男】の感想一言


えっそんなことされんの?
誰に?!



ハッピーエンドではあるものの、「スカッとする勧善懲悪」って感じではなくなんとも言えない余韻が残る映画です。すべての真相を明らかにして独り町を去るウィル。どことなく空虚感が漂うラストも秀逸。
なんか色々悪態ついてきましたけども、いやもうホント、かわいい子ほど厳しく育てようやって思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。