1971年/アメリカ/監督:ロバート・アルトマン/出演:ウォーレン・ベイティ、ジュリー・クリスティ、ルネ・オーベルジョノワ、マイケル・マーフィー、バート・レムゼン、シェリー・デュヴァル
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
寒い季節に観ると余計にサブくなる映画について書きます。
なんせ舞台は四六時中雪が降ってるカナダ国境のワシントン州にある炭鉱の小さな町。
正直言って内容はよく分からない。でも一度観たら忘れられない叙情的魅力は備えてる。人間で言うたら“雰囲気イケメン”。
監督はロバート・アルトマン。
そうです、【M★A★S★H】のロバート・アルトマン監督です。
1970年/アメリカ/監督:ロバート・アルトマン/出演:ドナルド・サザーランド、トム・スケリット、エリオット・グールド、ロバート・デュヴァル、サリー・ケラーマン、ルネ・オーベルジョノワ、ロジャー・ボーエン、ジョー・アン・フラッグ、G[…]
ああ~…。
よく分かんないの納得。
【ギャンブラー】です。
映画【ギャンブラー(1971)】のあらすじザックリ
一世一代の大博打で惨敗するギャンブラーのお話
カナダ国境のクソ寒そうな小さな町にふらりと流れ着いた賭博師ジョン・マッケーブ(ウォーレン・ベイティ)。堂々としていて口が達者で、なんだか「ただ者じゃない」って雰囲気。
彼は炭鉱夫たちをカモにしてトランプで儲け、この町に賭博場を建てます。
しかし男勝りの美女コンスタンス・ミラー(ジュリー・クリスティ)が現れたことで彼のメッキは音を立ててはがれて行きます。
商売女であるミラーは賭博場を建てたばかりのマッケーブに目をつけ、賭博場にハイカラな売春宿を併設して自分を共同経営者にして欲しいと頼み込んできます。
この時のミラーのプレゼンはエリート営業マン顔負け。町で大きな顔してたマッケーブもたじたじ。
しかもミラーは口先だけじゃなく、確かに経営手腕も持っていました。若く陽気で美しい商売女をそろえた清潔な雰囲気の売春宿はたちまち大繁盛。数字の計算もロクにできないマッケーブは切れ者のミラーにあれよあれよと舵を奪われてしまいます。
何もやらかしてくれなかった“ギャンブラー”
町は次第に大きくなり、そんなマッケーブとミラーの店に大手不動産会社が目を付けます。
ここで大博打に出るマッケーブ。
マッケーブは不動産会社の使いっ走りシアーズ(マイケル・マーフィー)が提示した買取金額を内心ウハウハしながらも一旦拒否。
翌日にはこちらの破格の言い値で泣きついてくることに賭けたのです。
しかしシアーズは交渉に応じることなく町を出て行ってしまいます。
そして代わりに手っ取り早く差し向けたのは 殺し屋。
ここでも「シアーズの不動産会社を怒らせたらヤバイ」ってことにいち早く気付いたのはミラーのみで、マッケーブはせいぜい自分のことを「大勝負に打って出るイカした賭博師」くらいに過大評価してた様子。熊みたいにヤバそうな殺し屋を見るなり怖気づいて弱気の交渉に転じるマッケーブの情けなさが止まらない。
およそこれまでの西部劇のヒーローとはかけ離れたこの感じは、【真昼の決闘】にも通じるものがあります。
1952年/アメリカ/監督:フレッド・ジンネマン/出演:ゲイリー・クーパー、グレース・ケリー、トーマス・ミッチェル、ケティ・フラド、ロイド・ブリッジス/第25回アカデミー主演男優・ドラマコメディ音楽・歌曲・編集賞受賞注※この[…]
シアーズと掛け合って賭博場の売却額を釣り上げようとするマッケーブには勝算があるんだと思ってました。
邦題も【ギャンブラー】だし、一世一代の賭けをして、相手がそれに乗ってきて大儲けする、という筋書きなんだろうなと。
主人公がこれで終わるわけないと。
しかしシアーズの相棒も指摘していますが、実はマッケーブは何も考えてなかったのです。
垂らした釣り糸には誰も引っ掛かってこず、おまけに殺し屋まで差し向けられる不運に追い込まれる。
突如として経営者としてのプライドに目覚め、一か八かの賭けに出た三流賭博師マッケーブは、殺し屋は撃退したものの自分も深手を負い、結局最終形態は三流賭博師のまま、冷たい雪の中で動かなくなってしまいます。
犯罪者だけど凡人にはない力強さを持って壮絶な死を遂げる【俺たちに明日はない】のクライド・バロー(ウォーレン・ベイティ)とは余りにもかけ離れた、小物感丸出しの静かすぎるエンディング。
1967年/アメリカ/監督:アーサー・ペン/出演:ウォーレン・ベイティ、フェイ・ダナウェイ、ジーン・ハックマン、マイケル・J・ポラード、エステル・パーソンズ、デンヴァー・パイル、ジーン・ワイルダー/第40回アカデミー助演女優・撮影賞[…]
最後の最後まで他の男と同じように愛するミラーに「金を払ってヤらせてもらう」ことしかできなかったのも哀しすぎて笑ってしまう。
そしてその感情を代弁する歌が、歌がホントにしびれるんです、歌が。
ロバート・アルトマンによる静かな異色の西部劇
【ギャンブラー】の概評を「雰囲気イケメン」とは我ながらうまい事言うた。
めっちゃカッコいい(=面白い)訳ではないんですよ、ただ何となく忘れられない。
全編に流れるやさぐれた歌も、凍った池の氷の上でダンスする町民たちも、暖かくて楽しそうな売春宿も、観たあと何年経っても記憶に残る。
例えば「あの雪深い町で教会が火事になるのは何て映画やったっけ…」と、何かの拍子にふと思い出してしまう系の叙情的名画です。
映画【ギャンブラー(1971)】の感想一言
雪で埋まって動かなくなったマッケーブにかける言葉は、「だから止めとけって言ったのに…」しか見つかりません。
男って一生に何度かは言い出したら聞かない時がありますよね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。