1966年/アメリカ/監督:アルフレッド・ヒッチコック/出演:ポール・ニューマン、ジュリー・アンドリュース、ギュンター・シュトラック、ハンスイェルク・フェルミー、ルドウィヒ・ドナート、ヴォルフガング・キーリング、リラ・ケドロヴァ
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

「どのシーンでカーテンが引き裂かれるんやろなあ〜」って本気で考えながら観てましたよ、最初。
「カーテン」ってちゃうやん、鉄のカーテンのことやん。
しかも別に引き裂かれへんし。
言うといてくれよ〜。
ポール・ニューマンとジュリー・アンドリュースというハリウッドの大スターを起用したアルフレッド・ヒッチコックのスパイ・サスペンス、【引き裂かれたカーテン】です。
映画【引き裂かれたカーテン】のあらすじザックリ
映画【引き裂かれたカーテン】のカーテンは布のカーテンじゃなくて鉄のカーテン
冒頭に書いたとおり、タイトルにある「カーテン」ってのは窓につける布製のカーテンのことじゃなくて「鉄のカーテン」を指してるんです。
「鉄のカーテン」って分かります?
1946年、イギリス前首相チャーチルの演説の一節で、ソ連東欧圏を非難したことば。東西冷戦の深刻化を告げることとなった。
1946年3月5日、イギリスの前首相チャーチルがアメリカ合衆国ミズーリ州フルトンで演説した一節の「バルト海のシュテッティンからアドリア海のトリエステまで、ヨーロッパ大陸に鉄のカーテンが降ろされた」からきたもので、ソ連邦が東ヨーロッパ諸国の共産主義政権を統制し、西側の資本主義陣営と敵対している状況を批判的に表したもの。
出典:世界史の窓
実際に鉄で壁が作られたわけではありません。米ソ冷戦時代にヨーロッパを東西に分断した境界のことです。
「東側」がいわゆる共産主義圏、「西側」が資本主義圏で、物語はアメリカの物理学者マイケル・アームストロング(ポール・ニューマン)が、突如として東側(東ドイツ)へ亡命するという衝撃の展開から始まります。

何も聞かされていなかったマイケルの秘書兼婚約者のサラ(ジュリー・アンドリュース)は当然大混乱。マイケルの真意を探るため、サラはマイケルを追ってベルリンへ向かいます。
最終的にはマイケルのこの亡命は偽装で、実は東側の技術(ベルリンのリント教授の「頭の中にある数式」)を引き出すための潜入捜査であったことが判明するものの、真実が明かされるまでの時間がまあ長い。

東ドイツで農場を営むアメリカの諜報員(農民のふりして生活してる)とマイケルが話している場面を観てようやく「どうやらマイケルは売国奴ではなさそう」なことが分かってくるのですが、ここまでの約1時間弱、マイケルが東ドイツへやってきた意図はまったく読み取ることができません。

真実が分からないままたった独りで異国のホテルに残されるサラと同様、観客もマイケルを信用していいのかどうか、大いに悩まされる演出がなされています。

グロメクの殺し方がエグすぎ
【引き裂かれたカーテン】でもっとも印象に残るのはマイケルのお目付け役のグロメク(ヴォルフガング・キーヒング)の殺され方ではないでしょうか。
マイケルは自分がスパイであることに気づいたグロメクをやむを得ず殺すことにします。
当たり前ですけどグロメクだって抵抗しますわな?マイケル(+アメリカの諜報員の女性)とグロメクの格闘が始まってからグロメクが息絶えるまで、たっぷり5分はかかるんですよ。
長!
アルフレッド・ヒッチコック監督の映画って(そこに重点を置いていないからでしょうが)割とあっさりと人が殺されることが多いんで、私は面食らいましたよ。
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しかも殺し方がエグい。

グロメクはまず首を絞められ、包丁で喉元を刺され、スコップで膝を殴打され、挙げ句の果てにガスオーブンに頭を突っ込まれてやっと息絶えます。
やたらと生命力の高いグロメクも悪い(?)んですけども。でも実際に人ひとり殺そうと思ったらこんなもんじゃないんでしょうね。
そんなこと知らなくても人生にまったく影響はありませんけど。
映画【引き裂かれたカーテン】の感想一言
【裏窓】や【サイコ(1960)】のような明快なサスペンスや斬新な構図は控えめなため、アルフレッド・ヒッチコックの作品群のなかでも微妙な評価が目立つ映画です。
生々しい殺人描写や後半の逃走劇にハラハラさせられるものの、大好きなポール・ニューマンが活かしきれてない気がして私も好きではないですね。
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