2012年/アメリカ/監督:カーク・ジョーンズ/出演:キャメロン・ディアス、ジェニファー・ロペス、エリザベス・バンクス、アナ・ケンドリック、ブルックリン・デッカー、マシュー・モリソン、ロドリゴ・サントロ、ベン・ファルコーン、チェイス・クロフォード、デニス・クエイド
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

はい出ました、邦画がおかしいタイプのやつです。
あなたは【恋愛だけじゃダメかしら?】というタイトルを見て、どんな内容を想像しますか
?
私はまだまだ自由に遊びたい(ORバリバリ仕事を続けたい)女性がパートナーや周囲から妊娠のプレッシャーを与えられ「なんでこのまま好きなことして恋愛だけしてたらダメなのよ!」とイラついてる映画なんだと思いました。
もしくは予期せず妊娠してしまって「なんで女はこんなに苦労して子供を産まなきゃいけないのよ!」みたいな…
どちらにしてもキャリアか自分重視のアンチ妊娠女性が主人公のお話やと思うでしょうよ。
実際はその真逆。
妊娠したくて妊娠して、出産したくて出産して、愛しい我が子を優しく抱きしめる映画でした。
ええ加減にしてくれおかしな邦題。
原題は【What to Expect When You’re Expecting】で、直訳は「妊娠中に予期すべきこと」。
1984年に出版されてから改訂を重ね現在も販売されている大ベストセラー妊娠ガイドブック「What to Expect When You’re Expecting」が原作という異例の作品。
ガイドブックが原作てどんなんやねんって感じですけど、映画は群像劇になっていて、「妊娠すると女性の体にはこーゆーことが起こりますよ」という事例にそれぞれうまいことドラマをこじつけたんでしょうね。
妊娠や出産を経験してから観るとより共感できて嬉しくなってしまいます。
男性はあんまり面白くないかも知れませんが、新米パパの参考になりそうな父親の心構えなんかも出てくるんで、パートナーがいる人は一緒に観るのがおすすめです。
映画【恋愛だけじゃダメかしら?】のあらすじザックリ
パターンその①35歳過ぎての高齢出産に挑むセレブ
【グランド・ホテル】や【ラブ・アクチュアリー】など、複数の独立した物語がどっかで少しだけ繋がっててニアミスしたりするのが群像劇の醍醐味だったりするんですけど、【恋愛だけじゃダメかしら?】には大して共通点はありません。
ラストで劇的にすべての物語が繋がるというよくある演出も見られないんで、それぞれ独立した物語やと思って観てて問題ないと思います。
1932年/アメリカ/監督:エドマンド・グールディング/出演:グレタ・ガルボ、ジョン・バリモア、ジョーン・クロフォード、ウォーレス・ビアリー、ライオネル・バリモア/第5回アカデミー作品賞受賞注※このサイトは映画のネタバレしよ[…]
2003年/イギリス、アメリカ、フランス/監督:リチャード・カーティス/出演:ヒュー・グラント、リーアム・ニーソン、コリン・ファース、ローラ・リニー、エマ・トンプソン、アラン・リックマン、マルティン・マカッチョン、トーマス・サングス[…]

まずはTVで人気のフィットネスの女王ジュールズ(キャメロン・ディアス)の場合。
妊娠が発覚したジュールズはまだ未婚で、パートナーはダンサーのエヴァン(マシュー・モリソン)。
結婚はしていなくても中絶する気もないし、エヴァンと一緒に病院に行ったりして妊娠を喜んではいるようです。
ジュールズとエヴァンの問題点
フィットネスで鍛え上げられた精神と肉体を持つジュールズは、35歳を過ぎた高齢出産であっても一般的なリスクは少ない感じ。大きなお腹でギリギリまでTVのロケを敢行したりしてます。
ジュールズとエヴァンの差し当たっての問題点は、産まれてくる男の子に割礼の儀式を施すかどうか。(赤ちゃんのおちんちんの皮切るかってことです、念のため)
意見は対立しお互い譲らず、出産まで事態は収束を見ません。

パターンその②子宮に問題があるため養子縁組を望む夫婦

2つ目の物語に妊婦は出てきません。
子供を望むフリーカメラマンのホリー(ジェニファー・ロペス)は妊娠することができないんで。
夫のアレックス(ロドリゴ・サントロ)もそのことは承知していて、2人は養子を迎えることを決意します。
ホリーとアレックスの問題点
養子縁組を目前に仕事の契約を打ち切られたホリーと、内心では「突然」父になることにまだまだ踏ん切りがつかないアレックス。
この2人の物語はどちらかというと男性向きな感じがします。ホリーはもともとバリバリ子供を望んでいるし、覚悟もできているんで。

“パパ会”なるものにも積極的に参加して、アレックスの心境がどう変わるかにかかっています。
パターンその③結婚2年目でようやく子供を授かった夫婦

2年も妊活していたにもかかわらず子供ができなかった絵本作家のウェンディ(エリザベス・バンクス)と歯科医のゲイリー(ベン・ファルコーン)夫妻。
ちょっと小休止、と2年間我慢していたワインを飲んでリラックスした状態でコトに及ぶと一発で妊娠!
夫婦は有頂天になりますが、お腹が大きくなるにつれて愛くるしかったウェンディに変化が…。
この夫婦が一番現実に近いでしょう。
鈍い夫に暴言を吐き、子宮に圧迫された膀胱からは尿が漏れ、見てくれなんて気にしていられません。
挙句の果てに妊婦が集まるイベントで声高らかに

って言ってくれた日にゃあ大爆笑。
よう言うた!!
ウェンディとゲイリーの問題点
ホント、この夫婦がごく一般的で最も笑えるんですが、彼らの問題点といえば、陣痛~出産がまったく思い通りに行かなかったところでしょうか。
絶対自然分娩で産むと思っていたら痛みに耐えられず無痛分娩に…かと思えば胎児が弱ってきたので帝王切開に切り替え…。

思い描いたストーリーとは全然違ったものになったけど、我が子を抱きしめることができたことには変わりない…うん、やっぱりここがもっともスタンダード。
パターンその④たった1度の行きずりの恋で妊娠した恋人未満の若者達
お次はコメディ色の強い他の物語とは一線を画す、切なくなっちゃうピュア・ラブストーリー。

学生時代の同級生だったロージー(アナ・ケンドリック)とマルコ(チェイス・クロフォード)は偶然再会したイベントで意気投合し、その晩ヤっちゃいます。ピュアちゃうやん。
そしてハイ大当たり。
若い卵子も精子も羨ましい~。…おっと下世話下世話。
ロージーとマルコの問題点
彼らの場合、若い子にしては珍しく「妊娠したこと」が問題ではなく、「流産したこと」によって関係が崩壊してしまいます。

ロージーに妊娠のことを聞いたプレイボーイのマルコは、なんと見た目に反してきちんと責任を取ろうとしていました。病院にも付き添い、一緒に赤ちゃんを迎える準備をしていたのに。
「妊娠」から始まった彼らは恋人同士として一からやり直すことができるのでしょうか。
パターンその⑤元レーサーと再婚し双子を妊娠した幼妻
まったく感情移入できないネタ系夫婦がこちら。

元レーサーの超セレブのラムジー(デニス・クエイド)とその妻(再婚)スカイラー(ブルックリン・デッカー)。
ラムジーはゲイリーの父親で、スカイラーはゲイリーの義理の母親にあたります。「ママって呼んで」ってアピってきますけど年齢はゲイリーよりもかなり下。お陰でゲイリーから見れば「(義理とはいえ)母親と妻が同時に妊娠する」というミラクルが生まれるワケです。
超セレブのラムジーがいつも札束を持ち歩いてるって設定が斬新。
どんなけ金持ってんねん。
レーサーの晩年ってこんなん?
スカイラーとラムジーの問題点
特になし。
敢えて言うならただでさえ難産になりやすい双子を産むというのにくしゃみをしただけでつるっと出てくるという無茶な展開が問題。

最後にはみんなが我が子を胸に抱いてる
ガイドブックが原作な割には多数派の事例があんまりないような気もしますけど、セレブだろうが双子だろうが養子だろうが、みんなが最後に自分の赤ちゃんを抱いているラストはやっぱり感動します。

こんなにいっぱい妊婦が出てくる映画もないんじゃないかな。
妊娠できた人、これから妊娠したい人、流産してしまった人、養子縁組を考えている人、すべての子供を望む人達におすすめの映画です。
映画【恋愛だけじゃダメかしら?】の感想一言
妊娠したかと思ったら想像を絶するホルモンバランスの崩れに襲われ、死ぬ思いで出産してやっとモロモロの制約から解放されてもう二度とこんな思いはご免こうむる!と固く決意するはずなんですけど…
数年経ったらまた赤ちゃんが欲しくなるんですよね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。