1967年/アメリカ/監督:ウォルフガング・ライザーマン/声の出演:ブルース・ライザーマン、セバスチャン・キャボット、フィル・ハリス、ルイ・プリマ、ジョージ・サンダース
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
ウォルト・ディズニー死後、最初に公開されたアドベンチャーアニメーション。
めっちゃ初期の作品だと思ってたらディズニーの長編アニメの中でもなんと19作目にあたる映画でした。【不思議の国のアリス】や【101匹わんちゃん】よりも後。へえ~。
やっぱり楽しい歌と音楽、かわいい動物たちが出てくるディズニー映画は最強ですね。
ジャングルで狼に育てられた少年が人間の村に帰るための冒険に旅立つ物語、【ジャングル・ブック(1967)】です。
映画【ジャングル・ブック(1967)】のあらすじザックリ
ジャングルに流れ着いた人間の赤ちゃん
ある日黒豹のバギーラがジャングルを歩いていると、猫のような鳴き声が聞こえてきます。
声の聞こえる方へ行ってみるとそこには籠に入れられた人間の赤ちゃんが。
バギーラは赤ちゃんを子供が産まれたばかりの狼夫婦に預けます。「モーグリ」と名付けられた赤ちゃんは、狼たちと本当の家族のように暮らしすくすくと成長します。
動物界の掟に従って(?)一瞬見捨てようとするけど思い止まるバギーラが人間よりも人間くさくていい。バギーラはこんな調子で、この先何度もモーグリのせいで苦難を強いられ、「もう勝手にしろ!」と怒ったりもしますが、結局は見捨てきれずに助けてくれます。
いますよね、こんな風に損するタイプの良い人。いいことあるさバギーラ。
モーグリを取り巻く個性豊かな動物たち
平和な日々も束の間、ジャングルに獰猛なベンガルトラのシア・カーンが帰ってくることになりました。人間嫌いのシア・カーンがモーグリを見つけようものなら殺されてしまうことは間違いありません。
そこで狼達はモーグリを人間の村へ帰すことにします。送り届ける役目をかって出たのは苦労人バギーラ。
1人と1匹は遠い遠い人間の村を目指して住み慣れたジャングルをあとにするのでした。
ジャングルを旅する彼らを待っていたのは個性豊かな動物たち。
ニシキヘビのカー
木の上で眠っているモーグリ丸飲みしてやろうと狙っているのは催眠術が使えるニシキヘビのカー。
締め技や丸飲み技や俊敏な動きなど、それだけでも結構強いはずのニシキヘビがさらに催眠術まで駆使してくるという無双感。
しかしそのすべてを駆使しても結局美味しい人間の子供にはありつけなかった可哀想なヘビ。
象のハティ大佐
象なのに「大佐」て。
でも仕方ないんです。本人が「大佐って呼べ」って言うんで。
命令以外にハティ大佐が話すことといったら、偉い人に勲章をもらっただの、軍人の心得はこうだの、あの時の戦いはすごかっただの…。
ディズニーの作品って過剰なほどにあの描写が風刺してるとかこの描写が差別してるとか言われがちですけど、これはもう明らかに気取りまくった退役将校をディスってます。
過去の栄光をいつまでも自慢げに口にする年寄りが嫌われるのは万国共通。
熊のバルー
息子にして一緒に暮らそうと思うほどモーグリを気に入ってしまうのが、バギーラ曰く「おっちょこちょいでドジ」な熊のバルー。
一番憎めないキャラクター。
偶然会ったモーグリと意気投合して、命を懸けてシア・カーンから守ろうとしたりします。モーグリも「熊のパパさん」と呼ぶほど懐くんだし、最初からバルーに預けといてもよかったかも。
あ、お乳がないか。
たぶん赤ちゃんモーグリは狼の母親のお乳を飲んで大きくなったと思われますので、赤ちゃん時代からいきなりバルーに預けられたら死んでたでしょうね。
ホントにおっちょこちょいだし、バルーって。
オランウータンのキング・ルイ
私が一番好きなのはこのオランウータンのキング・ルイ。
古代の人間が遺した古い城を拠点にして猿の王様を気取っていますが、火を使って二本足で歩く人間が羨ましくて仕方ありません。ジャングルの中を人間の子供がウロウロしていると聞いてモーグリをさらってきます。
モーグリに「君のようになりたい」と語り掛ける時の歌がめちゃめちゃうまい!
そのうまさときたら、さらわれたモーグリを取り返しにきたバルーも
と思わず踊りだしてしまうほど。
このキング・ルイたち猿が有色人種を例えていて、「まるで不完全な人間(有色人種)が完璧な人間(白人)に憧れて真似をしようとしているという差別的意味があるのでは?」って見方があるのは有名。
まあね~。こじつけっちゃあこじつけだけど、ウォルト・ディズニーが人種差別主義者であった説は根強いんでねえ~…。言われちゃいますかね~。
4匹のハゲタカ軍団
続いては見た目は邪悪だけど孤独なモーグリの友達になってあげようとする優しい心を持った4匹のハゲタカ軍団。
まるでナマケモノのようにだらだらしていて、暇を持て余しています。
モーグリを元気付けて友達になろうとする理由も半分くらいは 自分たちが暇だから。
その証拠にモーグリが去ったあと、「あ~あ、また暇になっちまう」と言ってます。おもちゃか。
ちなみにこの4人の四重唱も素晴らしいです。ついでに四重唱の最後に割って入ってくるシア・カーンのバス・パートも凄い。
ベンガルトラのシア・カーン
モーグリがジャングルを出なければならない原因となったベンガルトラのシア・カーン。
狼やバギーラをはじめ、ジャングルのみんなが「シア・カーンが帰ってくる」と言っているので、どうやらあっちこっち放浪しているみたい。餌がなくなったら移動するんですかね。
数年ぶりに戻ってみたら高級食材の人間の子供がいたら…そりゃ有難くいただきますわな。
群れをなす狼でも、催眠術を使うカーでも、大きな体を持つバルーでも、シア・カーンには歯が立ちません。
…しかし子供とはいえ、火を恐れない人間が相手なら…どうでしょうか?
女の尻追っかけて人間の村に戻るんか~い
ディズニーアニメのラストは浅はかな人間への教訓めいたものが暗示されていたりして、失笑してしまうものが多いです。
【ジャングル・ブック】も例に漏れず。
みんなで力を合わせてシア・カーンを追い出し、晴れてジャングルから出る必要もなくなりバルーと暮らそうとするモーグリの前に現れた人間の少女。
ジャングルに残りたい残りたいと駄々をこね、バギーラに引きずられるようにしてここまで旅して、元凶となるシア・カーンもいなくなったというのに、プリティーな女子を見た瞬間モーグリの心は180度方向転換してしまいます。
カーなんか目じゃないほどの催眠術にかかったかのようにフラフラと少女のあとについていくモーグリ。
さっきのキング・ルイの差別的解釈よりよっぽどおもろいこのシーン。
まるで「人間の心なんて結局軽薄で移り気だ」と言われているようで恥ずかしくなっちゃいます。
大方こんな感じのハッピーエンドのように見えますが、もしこの純真そうな少女が腹の底で、
とか思ってたらどうすねんな。
現代で言うところのハニー・トラップに完全にハマってるモーグリの今後やいかに。
映画【ジャングル・ブック(1967)】の感想一言
狼に育てられたと言われる2人の少女、「アマラとカマラ」なんてお話もありましたねえ~。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。