1988年/アメリカ/ヒューマン/監督:バリー・レヴィンソン/出演:ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ、ヴァレリア・ゴリノ、ジェリー・モーレン、ラルフ・シーモア、ジャック・マードック/第61回アカデミー作品・監督・主演男優・脚本賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

当時は各メディアで普通に「自閉症の兄・レイモンド」と表記されていましたけど…最近はレイモンドのような人達を「自閉症」とは言わず「サヴァン症候群」と言うんですね。
登場人物の目的と感情が明確でストーリーが理解しやすく、ダスティン・ホフマンのさすがの演技力とトム・クルーズの溢れる若さが堪能できる傑作、【レインマン】です。
参考 サヴァン症候群=知的障害や発達障害などのある者のうち、ごく特定の分野に限って優れた能力を発揮する者の症状
映画【レインマン】のあらすじザックリ
「自閉症」ってどんな病気?
公開時に銘打たれていた主人公レイモンド・バビット(ダスティン・ホフマン)の病気、「自閉症」の概要はこんな感じ。
自閉症とは、社会性発達の質的障害、コミュニケーションの質的障害、興味や活動の偏りの3つを特徴とした、先天的な脳の機能障害です。自閉症は、通常、3歳頃までに判断されることが多いです。
近年では、発達障害の一つであるアスペルガー症候群と合わせて、「自閉症スペクトラム障害」として一つの疾患概念に含めて考えられるようになってきています。
出典:メディカルノート「自閉症について」
症状として以下のようなものが挙げられます。
- 対人関係の構築やその場の空気を読み取ることが困難(社会性発達の質的障害)
- 知的な発達そのものが遅れがち(コミュニケーションの質的障害)
- ひとつのものごとに強い愛着を示したり、いつも決まった行動パターンを取ったりする(興味や活動の偏り)

そしてレイモンドが罹患していたとされる「サヴァン症候群」とは、自閉症スペクトラムなどの障害がありながら驚異的な記憶力や曜日、暦の計算などの突出した能力を持つ人たちのことをいうんだそうです。
なるほど、レイモンドは一般的な自閉症患者よりもさらに稀な症状を併発してる人なんですね。
兄ダスティン・ホフマン、弟トム・クルーズのバビット兄弟
“ミスター童顔”トム・クルーズが演じるのは、顔だけで世の中渡ってる高級車ディーラーのチャーリー・バビット。
経営が思わしくなく金策に明け暮れているところへ、勘当されてから何年も会っていない父親の訃報が。

チャーリーは恋人のスザンナ(ヴァレリア・ゴレノ)を伴って意気揚々と実家へ帰ります。

ところが父親の遺言により自分に与えられた遺産は「車とバラ」のみで、残りは兄のレイモンドにすべて渡るらしい。
…は?
ちょい待て兄って誰やねん!!
この時初めて兄の存在を知ったチャーリーは激怒。サヴァン症候群の兄レイモンド・バビットがいる施設に乗り込み、彼を強引に連れ去ります(レイモンド自身は何が起こっているのかよく分かってない)。

レイモンドを伴って速攻ロサンゼルスへ戻ろうとするものの、飛行機を怖がってパニックを起こすレイモンドのせいで長い道のりを車で移動する羽目になるチャーリー。
しかもレイモンドには、例えば「○時になったらTVを観る」「ごはんの後はきっちり歯を磨く」など、毎日必ず守らなければならない習慣がいくつもあって、それを破るとまたパニックになって暴れます。
ロサンゼルスのチャーリーの会社では、従業員が資金繰りを何とかしてくれと悲鳴を上げている。
大事な金づるとは言え色々と手がかかり面倒臭いレイモンドに、チャーリーはイライラが募ります。
そんな道中、チャーリーはレイモンドの特殊な能力に気が付くのです。
レイモンドはどうやら、一瞬で何桁もの数字を記憶できるみたいだよ?

…マジかこいつ…!
使える…!
兄弟でラスベガスでハッスルしようぜ!
ラスベガスのカジノで一儲けする時の2人の姿は最高に胸躍ります。
ポーカーで次から次へと勝利する2人を見てディーラーは冷や汗を垂らし、彼らのテーブルの周りにはやんややんやと人が集まる。

そりゃ勝てるよだって、出てるカードも残ってるカードもレイモンドが全部覚えてるんやもん。
無邪気にはしゃぎ大笑いするチャーリーと、不安げだけどなんとなく楽しそうにも見えるレイモンド。
このままカジノを破産に追い込むんじゃなかろうかと思いきや、調子に乗った二人はルーレットに手を出して大負けしちゃいます。そりゃそうだ。ルーレットに記憶力関係ねえやん。
大儲けしてご機嫌のチャーリーは、スザンナとダンスを踊る約束をしたレイモンドにステップを教えてあげます。

ラスベガスを一望できるVIPルームに、二人の革靴がぎこちなくカタカタと床を打つ音だけが響く名シーン。

「変な気分になってくるわー」と照れるチャーリー。
観ているこっちも気恥ずかしくなってなんだか微笑んでしまいます。
幼き日の「レインマン」を思い出すチャーリー
タイトル【レインマン】。
この由来が明らかになるのは旅する最中モーテルでお風呂に入る時。
レイモンドの独り言のようなつぶやきによって、チャーリーは幼き日の兄・レイモンドの存在を思い出します。

このシーンが一番好きです。
確かにあった過去の繋がりを思い出しただけで何年も離れていた兄弟の絆が戻るとは到底思えませんが、それでもレイモンドが兄だと確信を持てる記憶がよみがえったことでチャーリーの中で何かが変わるんですよ。
チャーリーにとってのレイモンドが、遺産要求の道具ではなく、血を分けた大事な「兄」に変わるんです。
ダスティン・ホフマンの名演技にばかり目を奪われがちですが、自由奔放勝手気ままに生きてきたチャーリーが人として成長していく様を体現したトム・クルーズもやっぱりただのアイドル俳優ではないですよね。
映画【レインマン】の感想一言
ダスティン・ホフマンが演じたレイモンドのモデルはキム・ピークという実在の人物。
9000冊の本を暗記し、他人の生年月日を聞けば即座にその日が何曜日であるか答えられたそうです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。














