1978年/アメリカ/監督:ジョン・カーペンター/出演:ドナルド・プレザンス、ジェイミー・リー・カーティス、ナンシー・ルーミス、チャールズ・サイファーズ、P・J・ソールズ、ブライアン・アンドリュース、カイル・リチャーズ、ピーター・グリフィス
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

私は無類の怖がり屋さんです。
モンスターもゾンビも多量の出血もダメ。怖くておしっこちびりそうになります。
今思い出せる中で一番怖かった映画は幼少の頃にTVで観た【オーメン(1976)】。
あれ、人間の首か胴体かなんかがチョン切れたりする場面がありません?あれがトラウマで。あの1回観たっきり、もう何十年も観てません。主演のグレゴリー・ペックが好きだからちゃんと観直したいのに観られねえんですよ、ちきしょう。
でも年齢を重ねて思うのは、【オーメン(1976)】みたいに体がチョン切れるとか【13日の金曜日】みたいにチェーンソー持った狂人が追っかけてくるとか、そういったストレートな表現より“静かな恐怖”の方がよっぽど怖いってこと。
分かりやすく言うと日本の幽霊。
柳の下でずーっと見つめてるとかね。
姿は見えないのに背後にずーっと気配がするとかね。
怖くない?
本日の映画はそんな心理的な恐怖を巧みに映像化しています。
ジャンルとしてはスラッシャー映画に分類されるのが定説だけど、登場人物がこれでもかこれでもかとバッサバッサ殺されてゆく他のそれとは一線を画すホラー映画、【ハロウィン(1978)】です。
参考 スラッシャー映画=ホラーもしくはスリラーのサブジャンル。スラッシャーは“切る者・通り魔”の意で、特にナイフや斧の刃物を用いる異常者・殺人鬼が人を殺していく恐怖映画。
映画【ハロウィン(1978)】のあらすじザックリ
13作続く「ハロウィンシリーズ」の初代映画
【ハロウィン(1978)】は13作 も続くスラッシャー映画「ハロウィンシリーズ」の初代にあたる映画です。
1.【ハロウィン】(1978年)←コレ。
2.【ハロウィンⅡ】(1981年)
3.【ハロウィンⅢ】(1982年)
4.【ハロウィン4 ブギーマン復活】(1988年)
5.【ハロウィン5 ブギーマン逆襲】(1989年)
6.【ハロウィン6 最後の戦い】(1995年)
7.【ハロウィンH20】(1998年)
8.【ハロウィン レザレクション】(2002年)
9.【ハロウィン】(2007年) ※リメイク
10.【ハロウィンⅡ】(2009年) ※リメイク続編
11.【ハロウィン】(2018年)
12.【ハロウィン KILLS】(2021年)
13.【ハロウィン THE END】(2023年)
アルフレッド・ヒッチコックやオーソン・ウェルズを敬愛する映画マニア、ジョン・カーペンターがごく低予算で製作したスラッシャー映画の金字塔的作品。
中でもアルフレッド・ヒッチコックの【サイコ(1960)】の影響は顕著で、同作の絶叫ヒロイン、ジャネット・リーの娘ジェイミー・リー・カーティスをヒロインに抜擢するほどの入れ込みっぷり。
1960年/アメリカ/監督:アルフレッド・ヒッチコック/出演:アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー、ヴェラ・マイルズ、ジョン・ギャヴィン、マーティン・バルサム、ジョン・マッキンタイア注※このサイトは映画のネタバレしようが[…]
また、恐怖の旋律を奏でるテーマ曲は音楽家でもあるジョン・カーペンターによるもの。この曲が聞こえると思わず振り返って目を凝らし、耳をそばだててしまいます。

恐怖映画史に残る名曲です。
白マスクをかぶり無言でたたずむブギーマン
【ハロウィン(1978)】のスラッシャーはハドンフィールドという町に暮らすマイケル・マイヤーズ(ウィル・サンディン)。作中で名前を呼ばれることはなく、現れたのがハロウィンだったこともあって子供たちから“ブギーマン”と呼ばれます。
初めて人を殺した時の年齢は6歳。しかも殺した相手は実の姉。
なぜ姉を殺したのかは分かりません。マイケルが6歳の時のハロウィンの夜、マイケルは慣れた手つきでキッチンから包丁を持ち出し、部屋に居た姉をめった刺し。出掛けていた両親は帰るなり血のついた包丁を手に立ち尽くすマイケルを見て絶句。

その後精神病院に入れられたマイケルを8年に渡り研究し7年間監禁した精神科医サミュエル・ルーミス(ドナルド・プレザンス)によると、「奴は人間じゃない」とのこと。

そして事件から15年後のハロウィンの夜、マイケルは精神病院を脱走し、ハドンフィールドの町へ帰ってきます。
再び町を恐怖におとしいれるために⸻
マイケルは町の雑貨店で白いマスクと包丁を奪い逃走。保安官もハロウィンで浮かれた子供の仕業だろうと踏んで放置。
6歳から学校へも行かずに精神病院で壁を見つめて過ごしたマイケルが話せるかどうかは謎だけど、いずれにしても彼は言葉を発しません。ただ白いマスクをかぶって物陰から現れ、動機も目的も見えない殺戮を続けます。

なぜにそこでひと安心しちゃうのだローリーよ
【ハロウィン(1978)】でマイケルのターゲットとなるのは基本的には10代の若者。しかも酒を飲んだりセックスしたりする、ちょっとやんちゃな部類の男女。
奥手(まだ処女らしい)で真面目なヒロイン、ローリー・ストロード(ジェイミー・リー・カーティス)も狙われるものの、彼女は助かります。ギリギリですけど。

ローリーは早い段階からマイケルが放つ得体の知れない不気味な気配に気づいています。
いつも誰かに見られているような気がして落ち着かず、友人のリンダ(P・J・ソールズ)やアニー(ナンシー・ルーミス)がハロウィンの夜に彼氏と会う算段を立ててる時もひとりで浮かない表情しているんです。

賢明な女の子なんだなあと思う反面、クライマックスでマイケルを返り討ちにした(と思った)時の“ひと安心”はいただけない。


言うてる場合か!
まだ生きてるって!後ろ!
後ろーっ!
映画【ハロウィン(1978)】の感想一言

郊外の小さな町で起こった悪夢。だからこそ恐ろしい。
いつも通る垣根の向こうに誰か居る。同じ車と何度もすれ違う。自宅の窓を誰かが覗いてる。クローゼットの奥に気配を感じる。
しかも事件が起こるのはハロウィンの夜。
「また子供の悪戯か」とでも思うのでしょう、ローリーがいくら「助けて!誰か!」と叫んでも住民の誰一人として家から出て来てはくれません。
低予算を逆手に取ったシンプルな内容で観客に恐怖を植え付け、その後のスラッシャー(≒スプラッター)映画に強い影響を与えた映画です。
【ハロウィン(1978)】を観たあとしばらくはさっき書いたような日常の些細なことが気になってしまうかも知れませんよ。私のように怖がりな人は特に。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。