1940年/アメリカ/監督:ハワード・ホークス/出演:ケーリー・グラント、ロザリンド・ラッセル、ラルフ・ベラミー、アルマ・クルーガー、ジーン・ロックハート、クレランス・コルブ、アブナー・ビーバーマン
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「イイ女をつくる達人」として有名なハワード・ホークス監督作。
「男を上げるか下げるか、それは惚れる女、惚れられる女によって決まる。ヒーローの相手役には、ぜったい“いい女”が必要なんだ」との言葉通り、ハワード・ホークスが撮る映画には必ずと言っていいほど「いい女」が登場します。
彼女たちは「ハワード的女性像」と呼ばれました。長身で気風 がよく、男性とも対等に渡り合う。かと言って気性が荒くて喧嘩っ早いワケではないんだけども、いずれにせよ「家でお裁縫して夫の帰りを待っている」みたいなタイプを指しているのではないことだけは確かです。
【リオ・ブラボー】のアンジー・ディキンソンや【脱出(1944)】のローレン・バコール、そして本日の映画、【ヒズ・ガール・フライデー】のロザリンド・ラッセルらが「ハワード的女性像」と体現した女優だと言われています。
1944年/アメリカ/監督:ハワード・ホークス/出演:ハンフリー・ボガート、ローレン・バコール、ウォルター・ブレナン、シェルドン・レナード、ドロレス・モラン、ダン・シーモア注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせ[…]
映画【ヒズ・ガール・フライデー】のあらすじザックリ
とにかく早口!スクリューボール・コメディの傑作
新聞業界が暗黒時代と呼ばれていた頃
記者たちは特ダネのためなら殺人以外どんな手段も使った
出典:【ヒズ・ガール・フライデー】冒頭字幕
こんな時代のお話。
「暗黒時代」とかって不気味な単語が冒頭から出てきますけど、ごくごく一般的なスクリューボール・コメディですのでご安心を。
参考 スクリューボール・コメディ=映画のジャンルの1つ。ストーリーの多くは常識外れで風変わりな男女が喧嘩をしながら恋に落ちる内容。
ニューヨークのとある大手新聞社の慌ただしいオフィスに、ヒルディ(ロザリンド・ラッセル)という女性がやってきます。
声をかける従業員たちに軽く返事をしながらオフィスのど真ん中を堂々と突っ切って編集長の部屋へ押し入るヒルディ。
やたらと態度がデカいのはご容赦ください。ヒルディはついこの間までこのオフィスで働いていた元敏腕新聞記者で、さらに編集長のウォルター(ケーリー・グラント)の元妻。
離婚と退職を一気呵成にやってのけたヒルディは、早々と次のお相手ブルース(ラルフ・ベラミー)との再婚を決め、引っ越しの挨拶のため古巣へ立ち寄ったのでした。
ヒルディが次に選んだ保険会社勤務のブルースは、目的のためなら手段を選ばない強引な性格のウォルターとは正反対で、要領こそ悪いもののおっとりとして優しい男性。ヒルディはニューヨークを離れ、ヒルディとブルース、そしてブルースの母親の3人で新たな生活を始めるつもりでいるのです。
もちろん仕事はしない。
家庭に入って子供を育てるつもり。
はあ?!
家のことなんかできんのかいな自分!無理やって無理無理!
今まで通り仕事せえよ仕事!めっちゃ仕事できんのに!
当然ヒルディは結婚してた時にちっとも家庭を顧みなかった元夫の助言(?)になんか微塵も耳を貸さないんですけどね。
でも私も正直「ヒルディ…家庭には向いてないんじゃあ…」って思いますよ。
いや多分こういう女性ってやればちゃんと家のこともできるんでしょうけど、家事ができる女性は数あれど、この時代にこれだけ同業者の男性陣と渡り合っていけるような女性は少ないでしょうに。仕事しないともったいないですよ。
これと同じことをウォルターも同僚の記者たちもヒルディに訴えかけるんだけどさ。
1940年公開ですよこの映画。
戦前のバリキャリ。
令和の今でもこんなに仕事のできそうな女性にはなかなかお目にかかれへんわきっと。
タイトル【ヒズ・ガール・フライデー】の意味は?
タイトルにある「フライデー」というのは、ヒルディのミドルネームでもなんでもありません。
もちろん金曜日のことでもない。
【ヒズ・ガール・フライデー】というタイトルの意味を知るにはまず、「ガール・フライデー」ではなく「マン・フライデー」という言葉から紐解いていかねばなりません。
Man Fridayとは、忠実な部下や右腕、腹心の部下と言った意味を持ちます。このFridayとは金曜日という意味ではなく、人名なので、そのまま訳せば「フライデーという男」となります。これは、ご存知の方も多いと思いますが、18世紀にイギリスの小説家ダニエル・デフォーが発表した小説『ロビンソン・クルーソー』(Robinson Crusoe)にでてくる、ロビンソンの召使の名前(ロビンソンが命名した)です。
出典:マンツーマン英会話のIHCWAY
英語には「マン・フライデー 」という表現があるんですね。
その女性版であるから【ヒズ(ウォルターの)・ガール・フライデー(忠実な部下=ヒルディ)】ってタイトルになったと。
実は現代では受け入れられがたい意味を含んだタイトルなんですよね。女性に対して「忠実」とか「腹心」とかね。
これほどのバリキャリ・ヒルディであっても結局はウォルターの手の平で泳がされちゃってたんですわ、みたいなラストで終わりますし。
やっぱりそこは戦前の映画であって、時代なのかなって感じです。
映画【ヒズ・ガール・フライデー】の感想一言
女の立場としてはラストだけちょっとモヤモヤが残りますけど、本編は総じて愉快痛快です!
ウォルターとヒルディのいさかいは終始均衡しています。それどころかヒルディの方が一枚上手で優勢になる時だって多々あるんですから。
ヒルディがウォルターに向かって「ついてらっしゃい!」とか言って、ウォルターが「ワンワン!」ってついて行くような感じのラストだったらなおよかったのになあ~。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。