【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942)】

映画【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】あらすじ感想。ヴィスコンティ監督版ね

1943年/イタリア/監督:ルキノ・ヴィスコンティ/出演:マッシモ・ジロッティ、クララ・カラマイ、ファン・デ・ランダ、ディーア・クリスティアーニ、エリオ・マルクッツォ、ヴィットリオ・ドゥーゼ

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】
©Ossessione/郵便配達は二度ベルを鳴らすより引用

アメリカの小説家ジェームズ・M・ケインの小説「郵便配達は二度ベルを鳴らす」は、これまで4度映画化されています。

最初に映像化されたのは1939年のフランス映画【The Last Turning(Le Dernier tournant)】。その後、ハリウッドで小説と同じタイトル(The Postman Always Rings Twice)で二度映画化されています(邦題も同じ)。

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そして映画化された4本の中で一番面白いのが本日の映画【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】です。

 

【ベニスに死す】で知られるルキノ・ヴィスコンティ監督の記念すべき初長編作なんですけど、ヴィスコンティ氏ときたら原作の使用許可をとってなかったもんで、アメリカでは長い間上映されなかったという背景があります。

朱縫shuhou

朱縫shuhou

原題は【The Postman Always Rings Twice】ではなく【Ossessione】。
…これってまさか、パクったのがバレた時に「パクってへんって!ほら、タイトルだって違うやろ?」って言って逃げ切るつもりだったんじゃあ…。

 

映画【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】のあらすじザックリ

北イタリアのとある食堂に現れた青年ジーノ。店主ブラガーナの美しい妻ジョヴァンナとジーノはひと目で惹かれ合い、ジーノは食堂で働かせてもらうことにする。ブラガーナの留守中に肉体関係を持った2人は駆け落ちしようとするが失敗、改めてブラガーナの殺害を計画する。

美貌の妻と放浪者の不倫劇

小説「郵便配達は二度ベルを鳴らす」を読んだことはなくても、この小粋でハイセンスなタイトルは誰もが一度くらいは耳にしたことがあるでしょう。

概要もなんとなくご存知なのではないでしょうか。

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」は情欲に任せてねんごろになっちゃった食堂のオーナーの妻とフェロモンムンムンの風来坊との犯罪不倫劇です。

【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】
©Ossessione/郵便配達は二度ベルを鳴らすより引用

 

食堂とガソリンスタンドを併設する“ブラガーナの店”にフラフラとやってきた小汚い青年ジーノ(マッシモ・ジロッティ)は、食堂のキッチンで歌うブラガーナ(ファン・デ・ランダ)の妻ジョヴァンナ(クララ・カラマイ)と出会います。

美しいですねクララ・カラマイ。メリル・ストリープにちょっと似てる。

【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】
©Ossessione/郵便配達は二度ベルを鳴らすより引用

この時、出会った瞬間2人の愛は燃え上がるんですけど、それはもう「ひと目惚れ」なんてかわいいもんじゃありません。強烈なエロスが漂う2人がお互いに直感的に考えたことは、「きゃっ!カッコいい!」とか「べっぴんやん!」とかじゃ絶対ない。

 

この時双方の脳裏をよぎったのは「こいつとヤリてえ!」で間違いないでしょう。

 

言うても1943年の映画ですからそれほど大胆な濡れ場はないものの、この出会いの場面のネットリとした妙な間とか、釘付けになったジーノの視線を追っているかのように見せつけられるジョヴァンナの悩ましい脚の動きとか、そこここに不倫ならではのエロさを感じる映画です。

【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】
©Ossessione/郵便配達は二度ベルを鳴らすより引用

整備工としての腕を買われブラガーナの店で住み込みで働くことになったジーノは、ブラガーナの目を盗んでジョヴァンナに手を出します。

それから始まる2人の不倫関係。

この「旦那も一緒に住んでる家で妻と従業員が不倫」って稀な状況がエロさに拍車をかけている。

【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】
©Ossessione/郵便配達は二度ベルを鳴らすより引用

だってこの2人の場合、ブラガーナが出かけている時にどちらからともなく「いつ頃帰るって言ってた?」って聞くだけで、それはつまり「しよっか?」を意味することになるんですよ。他に「さあヤるぞ、準備しろ」の合図としては、ブラガーナの留守に食堂を閉めておもむろに鍵をかける、とかね。

大体「一緒に住んでる」と言っても当然この2人は寝室は別ですから、いたすのは決まって昼間。それもブラガーナが帰るまでに、できるだけたくさん濃密に愛し合いたい。

【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】
©Ossessione/郵便配達は二度ベルを鳴らすより引用

隙あらば愛し合おうとする肉欲にまみれた背徳者の究極の姿がここにあります。

主役級のキャラクター“スパニョール”

ところで【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】には、他の映像化作品には出て来ないキャラクターが出てきます。

イタリア中を渡り歩く大道芸人、その名も“スパニョールスペイン人(エリオ・マルクッツォ)”です。

【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】
©Ossessione/郵便配達は二度ベルを鳴らすより引用

小説には出てくるのか1943年版だけのオリジナルキャラクターなのか分からないんですけど、この人がかなり曲者で、私としてはジーノ、ジョヴァンナ、ブラガーナ、“スパニョール”の四角関係の一端を担う重要人物だと思っています。

助手

助手

“スパニョール”もジョヴァンナを愛してしまうってこと?

違います。

“スパニョール”が愛することになるのはジーノです。

 

“スパニョール”は駆け落ち寸前でジョヴァンナに捨てられた無一文のジーノを救ってくれる恩人で、2人で暮らせるアパートを探して招き入れてくれます。親身になって傷心のジーノの話を聞き、夜は2人で同じベッドでご就寝(これかなりビックリする)。さらには何の連絡もなくジョヴァンナのもとに戻ってしまったジーノを探して、わざわざブラガーナの店まで追いかけて来るときたもんだ。

オブラートに包むどころか、ずいぶんとストレートに同性愛者として描かれています。

“スパニョール”は終盤でジーノに恋心を抱く娼婦アニータ(ディーア・クリスティアーニ)よりよっぽどジーノを愛していたはず。

【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】
©Ossessione/郵便配達は二度ベルを鳴らすより引用

結局ジーノは“スパニョール”の誘いを断るんですけど、1943年版が“スパニョール”を含めた四角関係ありきでさらに面白くなっていることは間違いありません。

映画【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)】の感想一言

朱縫shuhou

朱縫shuhou

タイトル「郵便配達は二度ベルを鳴らす」の意味について一切言及してないとな?
だって邦題は【郵便配達は二度ベルを鳴らす】であっても本作のタイトルは飽くまでも【Ossessione(執着)】ですから。作中にこのタイトルを示唆するような描写は少ないんですよね。
 
タイトルについては、ちゃんと主人公のセリフとして「郵便配達」という単語が出てくる【郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946)】の記事で触れています。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

朱縫shuhou 天衣無縫に映画をつづっている人

朱縫shuhou

「天衣無縫」と「温故知新」を信条として、主に古い洋画を好む映画好き。様々な映画を観たいのにホラーだけは怖くて観られない可哀相な初老。

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