【オール・ザット・ジャズ】ロイ・シャイダー

映画【オール・ザット・ジャズ】あらすじと感想と「タケモトピアノ」

【オール・ザット・ジャズ】ロイ・シャイダー

1979年/アメリカ/監督:ボブ・フォッシー/出演:ロイ・シャイダー、ジェシカ・ラング、アン・ラインキング、リランド・パーマー、クリフ・ゴーマン、ベン・ヴェリーン、エリザベート・フォルディ/第52回アカデミー編曲歌曲・美術・衣裳デザイン・編集賞受賞

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【オール・ザット・ジャズ】ロイ・シャイダー
©All That Jazz/オール・ザット・ジャズより引用

凄いんですよこの人、ボブ・フォッシー

初舞台を踏んだのはなんと9歳の時。以来60歳でその人生の幕を下ろすまで50年余り、すべてをショー・ビジネスに捧げた御仁です。

幼い頃から舞台にかかわり、ブロードウェイの振付師・演出家として活躍していたボブ・フォッシーは、シャーリー・マクレーン主演によるミュージカル映画【スイート・チャリティー】で初めてメガホンを取ります。その4年後にはアカデミー賞8部門受賞の傑作【キャバレー(1972)】を手掛け、ボブ・フォッシー自身もアカデミー監督賞受賞の栄冠を手にします。

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【キャバレー】ライザ・ミネリ

かくして、ブロードウェイのみならずハリウッドにもその名をとどろかせたダンサー兼振付師兼演出家兼映画監督のボブ・フォッシー。

彼の半生を描いた半自伝的映画、【オール・ザット・ジャズ】です。

 

タイトルはブロードウェイ・ミュージカル「シカゴ」の曲から引用されています。「あれやこれや」って意味なんですって。

 

 

 

映画【オール・ザット・ジャズ】のあらすじザックリ

ブロードウェイの演出家のジョー・ギデオンの生活は、ヴィヴァルディを聞きながらシャワーを浴び、目薬と飲み薬を服用し、「さぁショータイムだ!」と自分を鼓舞して始まる。 忙しく不規則な毎日がたたり倒れたジョーは、薄れゆく意識の中で自分の人生をミュージカルを見ているように思い返す。

 

 

「タケモトピアノ」の元ネタ映画

真っ先に断っておきます。

【オール・ザット・ジャズ】は、「ピアノ売ってちょうだい~」「みんなまあるくタケモトピアノ~」で有名なタケモトピアノのCMの元ネタになっている映画です。

いや、映画自体が元ネタというか、映画の中に明らかに元ネタになっている場面があります。

まあその場面を見れば一瞬で分かってもらえることでしょう。ご覧くださいどうぞ。

【オール・ザット・ジャズ】ロイ・シャイダー
©All That Jazz/オール・ザット・ジャズより引用

はいこちら。黒スーツに身を包んだおっさんが静脈動脈モチーフの全身タイツ美女に囲まれてDancing!

今にも「電話してちょうだい!」って言い出しそうな名場面ですね。ここからインスパイアされるだなんて、「タケモトピアノ」のCM考案者はかなりトリッキーな人物であると予想されます。

 

 

ブロードウェイとハリウッドを股にかけたボブ・フォッシー

映画の冒頭、ブロードウェイでオーディションや演技指導を精力的にバンッバンこなすダンサー兼演出家兼映画監督のジョー・ギデオン(ロイ・シャイダー)が映し出されます。

当然ながら彼のモデルがボブ・フォッシー。

【オール・ザット・ジャズ】ロイ・シャイダー
©All That Jazz/オール・ザット・ジャズより引用

舞台関係の仕事がひと段落したら今度はスタジオにこもって自身が監督するミュージカル映画の編集。

【オール・ザット・ジャズ】ロイ・シャイダー
©All That Jazz/オール・ザット・ジャズより引用

家に居る時くらいゆっくりすりゃあいいのに夜は夜で女性ダンサーをとっかえひっかえ。

アルコールとドラッグに溺れ、3番目の妻オードリー(リランド・パーマー)にも愛想を尽かされ、心の拠りどころは離れて暮らす一人娘のミシェル(エリザベート・フォルディ)と愛人でダンサーのケイト(アン・ラインキング)の2人だけ。

 

こんな人生、端から見てるだけでも早死にしてしまいそう。

 

「ショー・タイム!」は待ってくれない

そんなジョーの毎日の日課は、くわえタバコでシャワーを浴びて(だいぶんおかしい)、鏡の前で目薬をさし、あやしげな錠剤をコップ1杯の水でグッと飲み干し、鏡に向かって「ショー・タイム!」とおどけてその日いちにち分の活力を無理矢理絞り出すこと。

【オール・ザット・ジャズ】ロイ・シャイダー
©All That Jazz/オール・ザット・ジャズより引用

こうなってくるともう彼の人生がショーなんだかショーが彼の人生なんだかワケ分かんなくなってくる。

頭の中で死神らしき女性(ジェシカ・ラング)と静かに対話する前半から、病状(心臓疾患?)が進んで現実とショー(幻覚)の境目が判然としなくなってゆく後半まで、ジョーのへべれけ度(いや病気やし)が巧みに表現されていてハラハラが止まりません。

【オール・ザット・ジャズ】ロイ・シャイダー
©All That Jazz/オール・ザット・ジャズより引用

クライマックスなんて「心臓手術」と「エンターテイメント」が錯綜して年に一度のお祭り騒ぎ。

こういう人ってどうして少し立ち止まってくれないんですかね?娘のミシェルだって父親であるジョーのことを心底心配してるのにさあ。長生きしなきゃあ。

 

愛人役アン・ラインキングのド迫力

ジョーの愛人ケイト・ジャガーを演じたアン・ラインキングは、撮影当時実生活の上でもボブ・フォッシー本人の愛人だった人です。

【オール・ザット・ジャズ】ロイ・シャイダー
©All That Jazz/オール・ザット・ジャズより引用

ブロードウェイのトップダンサーのひとりだっただけあって、そのダンスときたらもうキレッキレ。

長身ゆえのド迫力に加えて、足の先から髪の毛1本1本にまで神経を研ぎ澄ましているような繊細さも持ち合わせていて、他のダンサーとは一味違った凄味のあるダンスを見せてくれます。その上歌声も抜群ときたもんだ。

本場のダンサーがたくさん出演している【オール・ザット・ジャズ】の中でもひときわ輝いている女性です。ご注目。

 

 

映画【オール・ザット・ジャズ】の感想一言

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映画の主人公ジョー・ギデオンは最後に死んでしまいますが、【オール・ザット・ジャズ】はボブ・フォッシーの遺作ではありません。フォッシーは1983年にもう1本、【スター80】という映画を撮っています。

しかしそれから1987年に心臓発作で亡くなるまで、彼はもう映画を撮ることはありませんでした。

フォッシーにしか撮れないフィジカルな映画をもっと観たかったものです。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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