1916年/アメリカ/監督:D・W・グリフィス/出演:リリアン・ギッシュ、ヴァージニア・リー・コービン、フランシス・カムポー、メエ・マーシュ、ミリアム・クーパー、ハワード・ゲイ、オルガ・グレイ、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ダグラス・フェアバンクス、トッド・ブラウニング、ベッシー・ラヴ
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

英単語「Intolerance」の意味をご存知でしょうか?
「寛容」「許容範囲」を意味する「tolerance」に打消しの接頭辞「in」がついて「Intolerance 」。
なんとなくカッコよくね?
え?
もう一回?
バッチ来いバッチ来い!
ババーン!!
とかなんとか今日もわーわー言うてますけども!
【イントレランス】です!
映画【イントレランス】のあらすじザックリ
永遠に揺らされるゆりかごが紡ぐ物語
この作品では四つの物語が絡み合いながらひとつの普遍的なテーマが展開される
永遠に揺らされるゆりかごが紡ぐ物語
出典:【イントレランス】字幕
“アメリカ映画の父”デヴィッド・ウォーク・グリフィスの一大叙事詩。
4つの物語が並行して語られる演出も画期的なら超クローズアップや超ロングショット等を駆使した撮影技術も「ハリウッド・バビロン」と呼ばれた古代バビロニアのセットも画期的。

ところが時代を先取りすぎたためか巨費を投じたにもかかわらず興行的には振わず、負債を背負ったD・W・グリフィスはセットの解体費用を捻出することもままならなくなり、「ハリウッド・バビロン」はその後約10年間も廃墟のごとく放置されていたと言います。

…「もったいない」が板についてるおばあちゃんの発想やな。
まあねえ、「使い回す」って簡単に言うけど権利問題とかが色々絡んでくるんだろうし、そもそも“古代バビロニア”を扱った物語って限られてるでしょ。あれだけ再現性の高いセットだと逆に汎用性は低いわねえ。例えば【クレオパトラ】に使い回そうとしてみても、“古代バビロニア”と“古代エジプト”では建物の細部が全然違うんでしょうしねえ(私には同じように見えるけど)。
やっぱり映画製作に使い回すのは無理だったんじゃない?
テーマパークに造り変えて集客するならイケてたかも?
1963年/アメリカ/監督:ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ/出演:エリザベス・テイラー、レックス・ハリソン、リチャード・バートン、マーティン・ランドー、ロディ・マクドウォール、ケネス・ヘイグ、フランチェスカ・アニス/第36回アカデ[…]
たったの180分の中に4つのボリューミーな物語がギュギュッと凝縮されているため登場人物は半端ない人数出てくるし、ひとつひとつの物語を追っていくのもまあまあ大変なんだけど、すべての物語がひとつのゴールを目指して坂道を転がり落ちていくようなラスト約40分ほどのクライマックスの盛り上がりは異常。

時代や国が違えどそこに「人間」がいる限り必ず生まれる「不寛容」と「独善」がありありと描かれています。
【イントレランス】中世フランス篇
物語のひとつは1572年の“聖バルテルミーの虐殺”を描いた「中世フランス篇」。

サンバルテルミの虐殺(聖バルテルミーの虐殺)
1572年、ユグノー戦争最中の旧教徒による新教徒の虐殺。旧教徒の母后カトリーヌ=ド=メディシスが首謀し、宮廷内の新教徒貴族を一掃、さらに新教徒虐殺は全土に広がり、大きな打撃を受けた。
出典:世界史の窓
フランス王シャルル9世(フランク・ベネット)のおかんで実権を握っているカトリーヌ・ド・メディシス(ジョセフィン・クローウェル)の企みによりプロテスタント教徒が大量虐殺された事件を、カトリックの青年ラ・トゥール(ユージン・パレット)とその婚約者でプロテスタントのブラウン・アイズ(マージョリー・ウィルソン)の2人にスポットを当てて描かれています。
公開当時脚光を浴びた超クローズアップはこんな感じ。

わお、マージョリー・ウィルソン、美しいですね。
上の画像は顔部分だけを切り取って加工している訳ではありません。この画像の四辺がそのままスクリーンだと思ってください。
かなりのドアップだよこれは。
ちなみにこの超クローズアップは美女にしか使われません。
サイレント映画の大スター、ダグラス・フェアバンクスだってバストショット止まりだってのに、美女はやっぱりいいやね。

【イントレランス】ユダヤ篇
イエス・キリスト(ハワード・ゲイ)が水を酒に変えるという初めての奇跡を起こしてから磔 にされるまでが描かれるんですけど、この章はなぜか「キリスト篇」じゃなくて「ユダヤ篇」とされるのが一般的なようです。

私はキリストが出てくる映画が苦手です。特にアメリカの映画。
どういう熱量で観たらいいのかよく分からなくないですか?
【イントレランス】バビロニア篇
誰もが【イントレランス】と聞いて一番に思い浮かべるであろう章がこちら。
紀元前538年にペルシャ人によって征服された都市バビロンを描いた「バビロニア篇」。

この章はホントに開いた口が塞がりません。
人間なんて米粒大よ?
CGじゃないのよ?
全員が全員思い思いの演技してるのよ?
上の画像で言えば巨大な柱の上の象の銅像(ぷっ)のとこにも人がいます。さらにこの画像は見切れてしまっていますがその奥の城門の上にも大きな通路があって人が歩いています。
ビルで言うたら軽く10階建て分は行ってる高さ。

ね?
このセット観たら解体するんじゃなくて何とか他に使い回せへんかったんかな~とか考えてしまうでしょ?
【イントレランス】現代アメリカ篇
もっとも感動を呼ぶのが、D・W・グリフィス監督の前作【國民の創生】で黒人から逃げ惑う少女を演じたメエ・マーシュがまたしても忘れられない名演を見せる「現代アメリカ篇」。
1915年/アメリカ/監督:D・W・グリフィス/出演:リリアン・ギッシュ、エルマー・クリフトン、ラルフ・ルイス、ロバート・ハーロン、ヘンリー・B・ウォルソール、メエ・マーシュ注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気に[…]

無邪気な少女から恋する乙女へ、そして子を慈しむ母となり、夫を救うために奔走する妻となる。
特殊メイクしてるわけでもなし、髪型と服装と表情豊かな演技力だけで七変化するメエ・マーシュから目が離せない。
この章のラストではちょっとしたカーチェイス(追いかけてんの電車だけど)まで繰り広げてくれます。どうやってんのよこの移動撮影。

私はメエ・マーシュから赤ん坊を奪い取るオールド・ミス(死語だね)の軍団を観た時、【イントレランス】が内包するテーマと発するメッセージをしか と受け取ったような気がしました。

お前らみたいなオールド・ミスこそがIntolerance!(←怒ってる)
映画【イントレランス】の感想一言
「グリフィス・ガール」とも呼ばれたリリアン・ギッシュ(もちろん出てる)は「ゆりかごを揺らす女」として4つの物語をつないでいます。
最後までまったく同じアングルで、ただただ静か~に地味~にゆりかごを揺らしているだけなんですけど、なぜか4つのどの物語にもマッチしていて、グリフィス&ギッシュの宇宙を感じます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。