【嘆きの天使(1930)】マレーネ・ディートリヒ

映画【嘆きの天使(1930)】あらすじと観た感想とディートリヒの脚線美

1930年/ドイツ/監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ/出演:マレーネ・ディートリヒ、エミール・ヤニングス、クルト・ゲロン、ローザ・ヴァレッティ、ハンス・アルベルス

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【嘆きの天使(1930)】マレーネ・ディートリヒ
©Der blaue Engel/嘆きの天使より引用

遅咲きの大女優、マレーネ・ディートリヒをスターダムに押し上げた作品。監督はこれ以降長らく彼女とコンビを組むことになるジョセフ・フォン・スタンバーグ

マレーネ・ディートリヒはこの時すでに29歳。これまでもステージで歌ったりドイツ映画に出演したりしていましたが、国際的な知名度を一気に上げたのは紛れもなくこの映画。

助手
30歳手前かあ…女優としての旬は過ぎてしまってたんじゃないの?

それが全く逆なんですよ。

30代目前の円熟味彼女の生まれ持った退廃的なムードが抜群にマッチしたんでしょう。もし仮に出演時のマレーネ・ディートリヒが10代~20代前半の小娘であったとしたら、本日の映画はこれほど注目はされていなかったと思います。

ディートリヒのカラッとした色気が大好き、【嘆きの天使(1930)】です。

 

 

 

映画【嘆きの天使(1930)】のあらすじザックリ

ラート教授は融通の利かない謹厳実直な教授だった。彼の毎日は変化のない退屈なもので、今日も学生を叱りつけながら教壇に立つ。その日、学生の一人が落とした絵葉書を見て教授は仰天した。それは街のキャバレーに巡業に来ている歌妓舞踊団の歌手兼ダンサーの絵葉書であった。

 

 

マレーネ・ディートリヒの出世作

カッコいいですよね、ドイツの大女優マレーネ・ディートリヒ。

【嘆きの天使(1930)】マレーネ・ディートリヒ
©Der blaue Engel/嘆きの天使より引用

AFIの「映画スターベスト100」の女優部門においてもジュディ・ガーランドに続く9位にランクインしています。

参考 AFI=アメリカン・フィルム・インスティチュート。1967年に設立されたアメリカ合衆国において「映画芸術の遺産を保護し前進させること」を目的とする機関。

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そんな彼女の出世作となったのが本日のドイツ映画【嘆きの天使(1930)】。同年公開のアメリカ映画【地獄の天使(1930)】と“天使”カブりしてるけど、あっちの主演はジーン・ハーロウ

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【地獄の天使(1930)】ジーン・ハーロウ

しかも「嘆きの天使 Der blaue Engel」というのは映画に出て来るキャバレーの名称であって、何もマレーネ・ディートリヒ扮する歌手兼踊り子のローラ=ローラが“天使”という訳じゃありません。

【嘆きの天使(1930)】マレーネ・ディートリヒ
©Der blaue Engel/嘆きの天使より引用

そればかりか体をくねらせ思わせぶりな態度で男たちの熱視線を欲しいままにするローラは“天使”というより“悪魔”に近い。

この“小悪魔”ローラに骨抜きにされた挙句何もかも失い、最後には狂人のようになって過去にかじりついたまま動かなくなってしまう哀れな男を描いた映画です。

 

ちょっと笑えない教授の末路

ギムナジウムのラート教授(エミール・ヤニングス)は、頭は良いけど偏屈で世間知らずのハゲのおっさん。いい歳こいて独身。て言うかこのままいけば十中八九“生涯”独身。

【嘆きの天使(1930)】マレーネ・ディートリヒ
©Der blaue Engel/嘆きの天使より引用

ある日のこと、ラート教授は学校で生徒たちから絵葉書を没収します。そこにはこの町へ巡業に来ている「嘆きの天使」一座の踊り子の写真が印刷されていました。

その内の一枚などは、「ふーっ」と息を吹きかけると羽のスカートがめくれて踊り子の脚が露わになるという破廉恥 ハレンチなもの。

【嘆きの天使(1930)】マレーネ・ディートリヒ
©Der blaue Engel/嘆きの天使より引用

これはけしからん!と怒りに震えるラート教授。

キャバレーに出入りしている生徒たちをふん捕まえるため、その晩早速「嘆きの天使」へ出掛けます。

【嘆きの天使(1930)】マレーネ・ディートリヒ
©Der blaue Engel/嘆きの天使より引用

先ほどローラのことを「“悪魔”に近い」と書きましたが、その前に「取りようによっては」と付け加えさせてもらいましょうか。

朱縫shuhou
ローラ=ローラは、「取りようによっては」“悪魔”に近い。

【嘆きの天使(1930)】は くだんの生徒たちにお灸を据えるためキャバレーへやって来たラート教授が魅惑の踊り子ローラに恋をしてしまって己の身を滅ぼす悲劇であるため、ローラがまるで悪女であるかのように評される映画です。

DVDの特典映像で淀川長治氏もこのようにおっしゃっています。

淀川長治

これはですね、ある教授がマレーネ・ディートリヒに騙されるお話なんですね。

マレーネ・ディートリヒが演じるローラと言う女性は、悪い悪い女なんですね。

作品の狙いとしては合ってるんでしょうけど、個人的には賛同いたしかねます。

だってこんなん、絶対ラート教授が勝手に身を滅ぼしてるだけやもん。

何もローラ悪くないやん。

【嘆きの天使(1930)】マレーネ・ディートリヒ
©Der blaue Engel/嘆きの天使より引用

まあローラが誘惑してるっちゃあしてるのかも知れないですけど、彼女はこれで食うてはりますからね?そりゃお金持ってそうなオッサンが店に来たら思わせぶりな態度取りますよ。

ええ歳こいて踊り子の営業トークを真に受けるラート教授がバカなんです。

だから若い頃勉強ばっかりしとらんと耐性つけるためにも少しは遊べって言うてるねん。誰にやねん。

【嘆きの天使(1930)】マレーネ・ディートリヒ
©Der blaue Engel/嘆きの天使より引用

若く美しい踊り子が自分と本気で愛し合っていると思いこむような世間知らずの老いぼれに粘着質に追い回されるローラの方が気の毒やわ。

 

名曲「フォール・イン・ラブ・アゲイン」

大体ローラは、まるでローラ自身を指しているかのような曲「フォール・イン・ラブ・アゲイン」を好んで何度も歌ってくれていたじゃないの。

何なん自分聞いてなかったん?天井桟敷席であんなにガッツリ見惚れてたのに?

私は頭のてっぺんから足の爪先まで恋の塊

それだけが私の世界 ただそればかり

 

自然に従うためにどうしよう

私にできることはただ恋することだけ

【嘆きの天使(1930)】マレーネ・ディートリヒ
©Der blaue Engel/嘆きの天使より引用

男たちは飛び回る 灯を巡る蛾のように

男たちが焼かれても私は何もできない

 

私は頭のてっぺんから足の爪先まで恋の塊

それだけが私の世界 ただそればかり

出典:「Falling in Love Again」(【嘆きの天使】より)

ほら最初から言ってるでしょ、「私の周りを飛び回る蛾みたいなお前がどないなろうと私は知ったこっちゃないからな」って。

聞け聞け。

 

 

映画【嘆きの天使(1930)】の感想一言

朱縫shuhou

キャバレーの踊り子にいれあげてることがバレてあっさり職を追われ、ローラの付き人を経てついにはピエロに身を落とすラート教授を演じたエミール・ヤニングスの鬼気迫る演技に息を飲む。

落ちぶれて行く自分とは対照的に、歳を重ねるごとに美しさもエンターテイナーとしての魅力も増してゆくローラ。彼女への嫉妬に狂う終盤は威風堂々たる以前の「ラート教授」は見る影もなく、まるでホラー映画に出て来るもの言わぬ怪物のように変貌してしまいます。

 

救いようもなさすぎてちょっとだけ同情するけど、心の底では「身の程わきまえろやオッサン」って思っちゃうんだよね、ふふ。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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