【勇気ある追跡(1969)】ジョン・ウェイン

映画【勇気ある追跡(1969)】あらすじと観た感想。ネズミに法を守れと言っても無理

【勇気ある追跡(1969)】ジョン・ウェイン

1969年/アメリカ/監督:ヘンリー・ハサウェイ/出演:ジョン・ウェイン、グレン・キャンベル、キム・ダービー、ロバート・デュヴァル、デニス・ホッパー、ジェフ・コーリー、ストローザー・マーティン/第42回アカデミー主演男優賞受賞

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【勇気ある追跡】マティ・ロスとルースター・コグバーン
©True Grit/勇気ある追跡より引用

コーエン兄弟監督、ジェフ・ブリッジス主演による2010年の西部劇【トゥルー・グリット】のオリジナル版。

一般的にはリメイク版の【トゥルー・グリット】の方が評価が高い傾向にありますが、私は双方甲乙つけがたいと思っています。

 

主演には西部劇の大スター“デューク”ことジョン・ウェイン、ラスボスには個性派の名優ロバート・デュヴァル、有象無象にはハリウッドの異端児デニス・ホッパー

こんなそうそうたるメンツに囲まれても存在が薄れるどころかますます輝きを放つヒロイン、キム・ダービーにメロメロになる映画、【勇気ある追跡(1969)】です。

 

 

 

映画【勇気ある追跡(1969)】のあらすじザックリ

1880年代のアーカンソン州。気丈な少女マティ・ロスの父親は、馬の買い付けに出かけた折、同行していた雇用人のトムに殺されてしまう。マティは復讐を決意し、大酒飲みで片目の連邦保安官ルースター・コグバーンと、テキサス警備隊のラ・ビーフを雇ってトムを追う。

 

 

原題「トゥルー・グリット」の意味と父親を殺された小娘マティ・ロス

イェール郡で農場を営むロス一家。

一家の あるじロス氏は、丈夫ですばしっこいテキサス馬を買うため使用人のトム・チェニー(ジェフ・コーリー)を従えて旅に出ます。ところがもともと流れ者で素行が悪かったトムは、途中立ち寄ったフォートスミスの酒場でロス氏と口論になり、ロス氏を撃ち殺してしまいます。

【勇気ある追跡】マティ・ロス
©True Grit/勇気ある追跡より引用

父親の死の しらせを聞いたしっかり者の長女マティ・ロス(キム・ダービー)がすぐさまフォートスミスへ駆け付けます。マティは父の仇を討とうとしますが、トムは先住民地区へ逃亡したあとでした。

先住民地区の犯罪者を検挙できるのは連邦保安官のみ。

マティは町でも評判の非情な連邦保安官ルースター・コグバーン(ジョン・ウェイン)をお金で雇い、町で知り合ったテキサス・レンジャーのラ・ビーフ(グレン・キャンベル)と3人で連れ立って復讐の旅に出ます。

【勇気ある追跡】ジョン・ウェイン
©True Grit/勇気ある追跡より引用

 

マティはせいぜい14~15歳の少女なんですけどね。父親のロス氏が「我が家の経理部長」と呼ぶほどの経済観念と口達者さには舌を巻きます。

身長190cm超えの片目の大男ルースターにも、ずる賢い悪徳馬商人にも、多くのならず者をいなしてきたであろう宿屋のおかみさんにも、誰に対しても怖気ずくことなく自分の要求を簡潔に明示します。

マティ

こうこうでこうだからこう!

息つく暇なく完璧な論理を突き付けてくるのでだいの大人がしどろもどろ。

可愛い顔してこれはヤバイ。絶対政治家向き。マティのしゃべくりを観ているだけで何となく元気が湧いてくる。

加えて馬に乗ったまま川を渡るガッツを見せた日にゃああなた、家でポテチ食いながら映画観てる自分が恥ずかしくなってくるね。

別に親殺されてへんけど。

仮に親殺されてたとしても馬で川は渡らへんけど。

 

「True Grit」とは

原題「True Grit」はそんなマティを形容したものなんでしょう。

直訳は「真の勇気」

【勇気ある追跡】マティ・ロス
©True Grit/勇気ある追跡より引用

これだけだと見ず知らずのマティに力を貸してくれるルースターも真の勇気の持ち主として当てはまるじゃないのって思ってしまいそうなところですが、「Grit」には「そこら辺の小さな砂」と言う意味もあることを考えに入れると、やっぱりルースターを指してはいないんですよね。

どこにでもある細かい砂が風を味方につけ強烈な砂塵となって悪党に襲い掛かるお話です。

 

 

連邦保安官ルースター・コグバーンの正義

面白い西部劇なんですけど、ジョン・ウェインが出ていることでちょっとだけ残念に仕上がってしまっています。

【勇気ある追跡】ジョン・ウェイン
©True Grit/勇気ある追跡より引用
助手

えっ?!

逆でしょ?!

ジョン・ウェインありきでしょうに!

ええ、ええ、そうでしょうとも。そりゃ西部劇にデューク(ジョン・ウェインの愛称)は欠かせませんよ。

でも【勇気ある追跡】のデュークに限っては出さなくてもいいとこで存在感出し過ぎと言うか出過ぎと言うか…、クライマックスの「手綱を口でくわえて両手に銃を持って敵陣に突っ込んでいく」下りなんかはさすがに大仰 おおぎょうすぎてサブいんですよ。

 

こんなとこで長い尺を削らなくても、序盤ですでにルースターはめっちゃええこと言うてるのに。

家の食べ物をかじるネズミに「それは俺のや!食べるな!」と警告をしてから撃ち殺した時のセリフに彼の正義が垣間見えます。

俺は警告した。

ここのルールも説明した。

でもネズミに法を守れと言っても無理や(だから殺すしかない)。

ルースターが4年で23人もの犯罪者を殺したアウトロー保安官である理由が明らかにされているこの「俺ルール」だけで十分すぎるくらいカッコよかったのに。

 

あとはマティのサポートに徹してくれた方が良かった…かも知れない。

 

 

インパクトに欠けるロバート・デュヴァルとデニス・ホッパー

冒頭に書いたとおり、ロス氏を殺したトムをかくまうラスボスのネッド・ペッパーとしてロバート・デュヴァル、ネッド一味の雑魚 ざこ・ムーンとしてデニス・ホッパーが出演しています。

【勇気ある追跡】ロバート・デュヴァル
©True Grit/勇気ある追跡より引用

今や名優の称号を欲しいままにしているお二人ですが、【勇気ある追跡】ではインパクトに欠ける印象。彼らの演技が悪いんじゃなくて役柄の魅力がすでに薄い。

ネッドはルースターにチビだチビだと言われる小者だし(ネッドがチビなんじゃなくてルースターがデカいんじゃ…)、ムーンなんてしょっぱなから足を撃たれて痛い痛いとベソをかいてて、トム捜索に協力しようとした瞬間仲間のクインシーに指を切り落とされ刺殺されると言うご愁傷様な役どころ。

【勇気ある追跡】デニス・ホッパー
©True Grit/勇気ある追跡より引用

まあね、そんな時もあるよ。

 

 

映画【勇気ある追跡(1969)】の感想一言

朱縫shuhou

絶対マティのハッタリだと思っていた“ダゲット弁護士”が最後に本当にやって来るというオチは少々ありがちだけど爽快です。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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